
オヨネコぶーにゃん(5)【電子書籍】[ 市川みさこ ]
【アニメのタイトル】:オヨネコぶーにゃん
【原作】:市川みさこ
【アニメの放送期間】:1984年4月3日~1985年3月19日
【放送話数】:全93話
【総監督】:笹川ひろし
【シリーズ構成】:金子裕
【脚本】:朝倉千筆、伊東恒久、浦沢義雄
【音楽】:渡辺岳夫
【作画監督】:鈴木信一
【美術監督】:長房紳一
【制作】:テレビ朝日、シンエイ動画
【放送局】:テレビ朝日系列
●概要
■ 不思議猫オヨヨが駆け抜けた日常のカオス
テレビ朝日系列で放送されたアニメ『オヨネコぶーにゃん』は、ひとことで言えば“シュールな笑いとカオスな日常が融合した奇想天外コメディ”。
本作は市川みさこによる少女ギャグ漫画を原作としており、アニメ化にあたっては主役が大胆に入れ替えられたという珍しい経緯を持つ。原作では人間キャラクター・たまごが主役だったが、アニメでは脇役的存在だった風変わりな猫・オヨネコ(通称オヨヨ)を物語の中心に据え、その破天荒な行動を軸に展開するスタイルとなった。
■ 1話3エピソード構成のオムニバス形式
テンポの良さが魅力
通常のアニメとは少し異なり、『オヨネコぶーにゃん』は1回の放送につき3本立ての短編エピソード形式で構成されていた。1話約7分前後のエピソードがテンポよく展開され、それぞれに独立した笑いやオチが用意されていた。
この構成により、視聴者は“どこから観ても楽しめる”安心感を得られるうえに、内容も飽きさせない。学校帰りの子どもたちが、気楽に見ては思わず吹き出してしまうような内容に仕上がっていた。
■ 奇天烈な猫・オヨネコの魅力
アニメの顔となった存在
アニメ版の主人公となった“オヨネコぶーにゃん”、通称「オヨヨ」は、見た目は黄色い猫だが、その中身は限りなく人間的。だがそれは、常識的な人間というより“おかしな発想を持つトラブルメーカー”として描かれる。屁理屈をこねたり、突拍子もない行動をとったりと、彼の存在が物語を大きくかき回していく。
視聴者からすると、「なぜそこまでやる?」とツッコミたくなる行動も日常茶飯事。それでも彼はどこか憎めない存在であり、笑いと混沌をもたらす象徴的キャラクターとして、アニメの魅力を支えていた。
■ “ゆでた家”の面々
人間たちのゆるくも濃い日常
オヨヨの飼い主であり、原作の主役でもあったのが“ゆでた家”の長女・たまご。彼女は中学生ながら妙に現実的で冷静な視点を持ち、オヨヨの暴走に対して呆れつつもどこか受け入れている様子が印象的だ。ほかにも、妹のうずらや、個性的な友人たちが登場し、それぞれが独特の存在感を放っていた。
この“人間たちの世界”と“オヨヨの自由奔放さ”の対比が、本作のギャグの下地となっており、日常がどんどん非日常に巻き込まれていくさまがコミカルに描かれていく。
■ パイロット版との違い
アニメ化に際して、実はテレビ放送以前にパイロットフィルムが制作されていた。このテスト映像では、オヨネコの声を演じた声優も放送版とは異なっていたと言われており、キャスティングや演出方針も最終版とはやや異なっていたようだ。
放送本編では、声優陣のテンションの高い演技と、絶妙なタイミングでのツッコミ・ボケのやり取りが、作品の持つ軽妙なテンポ感を一層引き立てていた。
■ 原作とのアプローチの違い
“たまご”から“オヨヨ”へ
原作漫画は、あくまでも“たまご”の視点から日常をコミカルに描くスタイルだったが、アニメ版はあくまで“オヨヨの視点”が中心。そのため、同じキャラクターたちを使いながらも、全く異なる視点と味わいで物語が進んでいく構成になっている。
つまり、原作ファンからすれば「えっ、主役が違う?」という驚きはあったものの、アニメとしての完成度や独自性が評価され、むしろ“アニメ版オヨヨ”が新たなファン層を開拓したといえる。
■ 小学生から大人まで虜にした“脱力ギャグ”の魅力
本作のギャグは、シュールさとナンセンスさ、そしてややブラックな皮肉をも含んでおり、子どもはもちろん、大人でも“クスリ”とさせられる笑いが多かった。たとえば、何でもない日常が突如として非現実に跳ね上がる展開や、まるでコントのようなやり取り、オヨヨの哲学的(風)なセリフなど、そのユーモアは一筋縄ではいかない。
それでいて作品自体が重苦しくならないのは、テンポの良さとキャラクターの軽やかさによるものであり、「考えるより笑って楽しもう」というアニメとしての姿勢が貫かれていた。
■ 原作コミックの存在
原作漫画は1976年から小学館のフラワーコミックスで連載され、全9巻が刊行された。アニメ放送当時、原作コミックスの再注目も進み、放送との相乗効果を生んだ。また、アニメ版の展開に合わせてグッズやイラスト、再編集された漫画雑誌の再掲なども行われ、メディアミックス的な広がりも見せていた。
■ 最終回までぶれなかったスタンス——ギャグの貫徹
1985年3月19日に幕を閉じた『オヨネコぶーにゃん』は、全話にわたってギャグ中心のスタイルを貫いた。ストーリーが急にシリアスになることもなく、淡々と、しかし確実に“笑い”を届ける構成であった。
毎回のラストで「なんだったんだ今のは…」と感じさせる独特の余韻も、この作品の魅力の一つであり、今でも“アニメ史の異端児”として愛され続けている所以である。
■ 今なお光る“昭和ギャグアニメ”の異色作
『オヨネコぶーにゃん』は、1980年代というアニメ群雄割拠の時代において、決して派手ではなかったものの、独自のユーモアとキャラクター性で確かな爪痕を残した作品である。主人公オヨヨの無軌道さと、それを取り巻く人々との絶妙な距離感。そして何より、「普通では終わらない」世界観。
どこか脱力しながらも癖になるその作風は、今もなお懐かしむ声が絶えない。次の世代にも語り継がれるべき、“日常系ギャグアニメ”の隠れた名作といえよう。
●あらすじ
■ のらりくらりの招かれざる同居人・オヨヨ現る!
舞台はとある日本のごく普通の住宅街。そこに住むゆでた家は、父・母・長女たまご・弟たろうの4人家族。平穏な日々が続くかと思われたその家に、ある日突然、突拍子もない珍客が転がり込んできた。それが物語の主役、「オヨヨ」と呼ばれる異様に太った黄色い猫だ。
この猫、ただの猫ではない。どこから来たのかもわからぬまま、当然のように玄関からズカズカと入り込み、何の遠慮もなく家の中でゴロゴロし始めた。家族が驚く間もなく、まるで最初からこの家に住んでいたかのような態度で居座り続ける。
■ 自由奔放!誰にも止められないオヨヨのマイペース生活
オヨヨの性格は一言でいうと「図太くてズボラ」。とにかく寝る、食べる、また寝る。そんな暮らしを全力で謳歌しており、特に食べ物への執着は異常なほど。中でも「イモ」への愛は並々ならぬもので、焼きイモ、ふかしイモ、イモグラタンまで、あらゆるイモ料理を食い尽くす勢いだ。
食べ物があればどこにでも顔を出し、他人の分まで奪おうとする図々しさ。しかしどこか憎めない不思議な魅力もあり、本人(?)はいたって悪気がない。人間の常識など通じないこの猫に、ゆでた家の面々は次第に振り回されていく。
■ たまごとオヨヨの果てなきバトル!
オヨヨの存在に最も神経をとがらせるのが、長女・たまご。真面目でちょっと気の強い彼女にとって、オヨヨのだらしなさはストレスの塊。部屋は荒らされ、お菓子は横取りされ、しまいにはベッドまで占拠される始末。
「この猫、いつか追い出してやる!」と闘志を燃やすたまご。日々、さまざまな方法でオヨヨをこらしめようとするが、その度に逆に痛い目を見るのがオチ。オヨヨのトンデモ行動は、常識的な対応では太刀打ちできないのである。
●登場キャラクター・声優
●オヨヨネコ(ぶーにゃん)
声優:神谷明
自他ともに“猫”と呼ぶのがためらわれるほど丸々したボディと30 cmのワイドフェイスがトレードマークの本作の主役。豚と間違われた過去も数知れず、本人(本猫)は意外とナイーブでナルシシズム強め。知能は高く人語も達者だが、基本は横着で強欲。特に焼きサツマイモの匂いを嗅ぐと理性が飛び、町内騒然の大捕物を招くことさえある。甘い言葉で他人をこき使う一方、いざという場面では家族を想い行動するため、視聴者からは“憎めない居候”として愛された。
●ゆでた たまご
声優:川島千代子
ぶーにゃんの飼い主代理を務める小学女児。朗らかさと荒っぽさが同居し、感情のスイッチが入ると顔付きまで劇画調に変化。スポーツ万能だが学業はさっぱりで、成績表の季節になると担任と心理戦を繰り広げる。ぶーにゃんとは犬猿の仲のようでいて、彼が姿を消すと涙目で探し回るツンデレ気質。
●ゆでた うずら
声優:横沢啓子
たまごの弟で、頭頂部の薄毛を気にする心優しい幼児。姉とぶーにゃんのじゃれ合い(喧嘩)に巻き込まれる確率は作中トップで、そのたびに伝家の宝刀「地獄じゃ~!」と絶叫する。とはいえ好奇心旺盛で、時に自らトラブルを深掘りし被害を拡大させるムードメーカーでもある。
●ママ
声優:杉山佳寿子
家事と育児で大忙しの専業主婦。基本的に菩薩のような包容力で家族と居候を見守るが、堪忍袋が切れると内なる天然パワーが爆発し、家ごとぶーにゃんを吹き飛ばしかねない勢いで怒ることも。新婚旅行で宮崎を訪れた写真をたまごに度々自慢され、照れくさそうに笑うシーンが微笑ましい。
●ゆでた きみお
声優:キートン山田
温厚なサラリーマンで、家族を陰から支える“昭和のお父さん”。出張帰りに土産を抱えて満面の笑みを浮かべる一方、時折鋭いツッコミで家族の暴走にブレーキをかける。ぶーにゃんにも寛容で、彼を“もう一人の息子”と呼んだことすらある。
●雪山 モンブラン
声優:水島裕
名家の長男で発明オタク。成績優秀ゆえプライドも高いが、幽霊やゴキブリは大の苦手というギャップ王子。作る機械は大抵暴走し、ぶーにゃんかたまごが巻き添えになるのがお約束。たまごとひなぎく両方から好意を向けられているが、当の本人は実験の方が大事らしい。
●花野 ひなぎく
声優:篠原さなえ
裕福な家庭で育ったお嬢さま。容姿端麗、成績優秀だが負けず嫌い。モンブランを巡りたまごと火花を散らす一方、ぶーにゃんには“黄色い毛玉”呼ばわりされ怒り心頭。それでも困った相手を放っておけない世話焼き体質で、裏表のない真っすぐな性格が人気を博した。
●栗小路 まろん
声優:山田栄子
旧華族の流れを汲む家柄に生まれた箱入り息子(自称「麿」)。おっとりした口調で何事にも“まずは礼儀から”を貫くが、実は超絶方向音痴。一人では帰宅もままならず、執事兼護衛の黒子に常にフォローされている。蹴鞠や和歌といった古風な趣味を披露し、物語に雅なアクセントを添える。
●黒子
声優:田の中勇
まろん家に仕える忍者集団のリーダー。全身タイツのステルス装束と煙玉で現れては去る神出鬼没ぶりが特徴。子猫忍者たちを統率し、まろんの安全確保に全霊を注ぐも、ぶーにゃんの奇行により任務がコントになりがち。ちなみに“人前で影を踏まれない”のが流派の作法。
●大判焼 ウマ夫
声優:野島昭生
たまごたちの担任教師。頭頂部はツルリ、しかし授業中はフサフサのヅラで威厳を演出。学期末の通信簿で生徒をビビらせるのが生きがいという困った大人だが、根は小心者でぶーにゃんの乱入に毎度教室から脱兎のごとく逃げ出す。
●アレレ
声優:吉田理保子
近所に住むスレンダーなシャム猫の令嬢。ぶーにゃんの片想いの相手だが、筋骨隆々の雄猫彼氏がいるため一切なびかず。ヤンキー少年にも可愛がられる“地域のアイドル”ゆえ、自分の立場をよく分かっており、ぶーにゃんの猛アプローチはことごとく軽やかにかわす。
●レモンティー
声優:神山卓三
モンブラン家で飼われる大型犬。初対面でぶーにゃんを“仲間の犬”と勘違いし尻尾を振ってすり寄るものの、猫だと判明後は一転してライバル視。ゴージャスな被毛と忠誠心でご主人を守ろうとするが、ぶーにゃんの奇策に翻弄されてズッコケる姿がお茶の間の笑いを誘った。
●チューパー
声優:田中真弓
ゆでた家に居着く片尾のネズミ。モンブランに尻尾を踏まれ包帯グルグルの状態が常だが、痛みにめげず毒舌を放ち続けるブラックコメディ担当。屋根裏の隠し穴から人間と猫のドタバタを観察し、適宜ツッコミを入れては高笑いする“闇の実況者”的ポジションを確立している。
●主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
●オープニング曲
曲名:「オヨネコぶーにゃん」
歌:川島千代子・神谷明
作詞:伊藤アキラ
作曲:渡辺岳夫
編曲:高田弘
■ 楽曲プロフィール
1984年春、「オヨネコぶーにゃん」第1期の幕開けを告げるオープニングとして採用された本曲は、のちに番組そのものと同義の代名詞となるほど強烈な印象を残した。アニメ開始と同時に流れる軽快なホーンとチョッパーベースが、視聴者の注意を一瞬でさらい、わずか1分30秒の中に“怪猫オヨヨ”のすべてを凝縮している。作曲は『機動戦士ガンダム』など多くの国民的旋律を手掛けた渡辺岳夫、編曲は歌謡ポップスの名アレンジャー高田弘。歌唱は声優の神谷明と、アイドル的な透明感を持つ川島千代子という異色デュオだ。
■ サウンド&イメージ
全体を支配するのは軽快なロックンロールとビッグバンド風ブラスの融合。イントロのサックス・リフが猫のしなやかな動きを想起させ、中盤で唐突に差し込まれるタンゴ風リズムが“太った猫なのに踊りはキレキレ”というギャップをユーモラスに演出する。シンセのピッチベンドで「ニャー」という鳴き声を模した装飾音が散りばめられており、聴覚だけでキャラクターが跳ね回る立体感を生む。結果、“猫ソング”でありながら昭和歌謡のエッセンスと80年代アニメソングの派手さが同居する、唯一無二のコミック・ブラスロックに仕上がった。
■ 歌詞の概要
伊藤アキラの詞は、オヨヨの“図太さ・自堕落さ・ナルシシズム”を三段階に畳み掛ける構成。
1 番では「きつくあたればゴマをする/スキを見せればつけあがる」と、人間を翻弄する腹黒いしたたかさをコミカルに列挙。
2 番では「何がニャンだか分からニャン」と、もはや説明不能という投げやりさで笑いを誘う。
サビでは「ぶーにゃんオヨヨ」と名前を連呼し、リズムに合わせて覚えさせる“自己宣伝”の仕掛け。最後の「ハイ!ハイ! オヨネコぶーにゃんだヨ!」というキメ台詞は、お茶の間の子どもたちに“名刺代わりの挨拶”として完全に定着した。歌詞全体が三行落語のようなテンポで進み、言葉遊びと韻が小気味よく絡み合うため、一度聴けば思わず口ずさんでしまう。
■ 歌手の歌い方とキャラクター性
川島千代子のパートは、アイドル歌謡に通じる澄んだ高音で“ゆでた家の長女たまご”側の視点を担う。一方、神谷明は地声をやや押しつぶし、オヨヨの豪放磊落な性格を太い中低域で表現。二人が交互にフレーズを投げ合うことで、「被害者」と「加害者」双方のモノローグが対話的に描かれる構造が生まれた。掛け合いの語尾で同時に“ニャン”と伸ばす部分では、神谷の声がほんのりビブラートをかけ、川島が真っ直ぐ伸ばす対比が絶妙なズレを生み、リスナーの笑いを誘う。
■ 視聴者・ファンの感想と評価
放送当時の小学生視聴者からは「曲を聴くとチャンネルを合わせたくなる“呼び鈴”みたい」「運動会のダンスで流れた」といった声が多く寄せられた。中高生層には、渡辺岳夫ならではの“和声の跳躍”に「ガンダムとは別ベクトルでクセになる」という音楽的評価も。大人のアニメファンには、高田弘のストリングスとエレピがさりげなく使うドミナント・モーションの妙が“昭和テレビ歌謡の粋”として再評価され、00年代のアニソンDJイベントでは当時物の7inchが高値で取引されたという逸話もある。近年は動画共有サイトでカバーや合唱動画が増え、コメント欄には「30年ぶりに再生した瞬間に歌詞を全部思い出した」「神谷さんが猫にも豚にも聞こえる絶妙な声色」といった懐古と発見が交錯している。
■ まとめ
「オヨネコぶーにゃん」は、作品世界をそのまま音像化しながら、昭和アニメソング史に残る“コミック曲の完成形”を提示した稀有な一曲だ。キャッチーなメロディーと毒気を帯びた歌詞、男女デュエットの軽妙な芝居心が三位一体となり、短尺ながら耳にも目にも強烈なインパクトを与える。結果、放送終了後も曲だけが独り歩きし、今なお“謎の太った黄色い猫”を知らない世代にまで伝播する現象が起きている。本曲がある限り、オヨヨというキャラクターは永遠にテレビ画面を飛び出し続けるだろう。
●オープニング曲
曲名:「オヨヨナイトフィーバー」
歌手:神谷明 & こおろぎ’73
作詞:市川みさこ
作曲:渡辺岳夫
編曲:いちひさし
■ 楽曲が放つイメージ
真夜中のパーティーに迷い込んだ“怪猫”の高揚感
イントロで軽やかに鳴るホーンセクションとディスコライクなリズムギターが、真夜中のネオン街へ一気にワープさせる。主役はもちろん“オヨヨ”――昼間はぐうたらな彼が、夜になるとエネルギーのボルテージを一気に振り切って踊り出すイメージだ。
曲全体を包むのは80年代半ばの“ナイトフィーバー”ブームの残り香。ベースラインは跳ねるように動き、ディスコ定番の4つ打ちキックが軽快に鼓動を刻む。そこに神谷明のパワフルなリードと、こおろぎ’73のつややかなコーラスが重なることで、“お祭り騒ぎなのにどこか人懐こい”オヨネコらしいカーニバル感が完成する。
■ 歌詞概要
“怠け者”だって夜はスター
市川みさこのペンが描くのは、昼間は居候として転がり込み、ジャガイモをむさぼるだけの猫が、夜のダンスフロアで突如スポットライトを浴びるというギャップの面白さだ。
Aメロでは、退屈な昼間を「お鍋のフタみたいに重たい」と茶目っ気たっぷりに形容。
Bメロで、街灯が灯る瞬間に“ねじ巻き”が入ったように体が動き出し、
サビでは「オヨヨナイトフィーバー!」の掛け声で全力解放――“ブタに間違えられた日も ミルクで溺れた日も まるごとステップに変えてやる”と高らかに宣言する。
単なるギャグソングに留まらず、「自分の弱みや失敗も踊りのリズムで飲み込んでしまえ」というポジティブなメッセージが核にあるため、聴き手を前向きにさせる力が強い。
■ 歌唱&アレンジ
神谷明の“押し”とこおろぎ’73の“包み込み”
神谷明は声優として培った滑舌とエッジの効いた高域を武器に、早口気味のフレーズをハジけ飛ばす。語尾を跳ね上げる独特の“声のウインク”が、オヨヨの図々しさと愛嬌を同時に表現。一方、こおろぎ’73は児童番組で鍛えた抜群のユニゾンを活かし、サビで神谷のリードを分厚いハーモニーで包み込む。
いちひさしのアレンジは、渡辺岳夫のメロディを最大限“踊れる”方向へ磨き上げた。シンセブラスの鋭いリフと、サビ後半に差し込まれるタム回しが高揚を加速。間奏ではギターがワウを効かせ、短いながらもソウルフルなソロで“真夜中の自由”を描き切る。
■ 視聴者のリアクション
“動物ギャグ枠”でディスコを知った世代の記憶
子ども層は、番組冒頭でいきなり流れる“ド派手な掛け声”に毎週テンションを爆上げ。「♪フィーバーフィーバー」の部分をランドセルを振り回しながら真似したという回顧談も多い。
ティーン層は、80年代末に再評価が進んだシティポップ&和ディスコの“隠れ名曲”としてカセットテープに録音。“アニソンなのに踊れる”ギャップにハマり、文化祭のダンスBGMに採用した学校もあったとか。
親世代は、神谷明=『北斗の拳』の熱血ヒーローというイメージとのギャップに驚きつつ、「上手い人はやっぱり何でも歌える」と感心。
放送から40年が経った現在でも、配信サイトで再び見つけたファンが「イントロで一瞬にしてあの時代の蛍光色の街明かりがフラッシュバックした」とSNSに投稿し、若いリスナーが“昭和レトロ×ダンスチューン”として掘り起こす姿も散見される。
■ オヨヨの“夜の顔”を刻む一曲
『オヨヨナイトフィーバー』は、番組のギャグテイストをそのままディスコポップに注ぎ込み、コミカルさと本気の演奏力を両立させた稀有なオープニングナンバーだ。怠け者の猫が夜だけは主役になる――そんな設定を音と歌詞と演出で立体的に見せたことで、聴き手の中に“日常の裏に潜む小さな解放感”を植えつけた。
今なお色褪せないのは、単なる懐メロではなく“恥ずかしさごと踊り倒す”前向きな精神が詰まっているからだろう。カラオケで思いきりシャウトした瞬間、あなたもきっとオヨヨと同じく“夜のスター”になれるはず――そんな魔法を秘めた三分間である。
●エンディング曲
曲名:「ネコは言いたい」
歌手:武内宏
作詞:伊藤アキラ
作曲:渡辺岳夫
編曲:高田弘
■ 音楽としての印象と構成
夜の静けさに包まれた独白
この曲は、まるで夜の路地裏でぽつりと語りかけてくるような、不思議な空気をまとったバラードだ。ピアノとストリングスが中心となった穏やかなアレンジに、木漏れ日のようなサックスの音色が柔らかく交わることで、孤独と優しさが混じり合った一曲に仕上がっている。
特にイントロ部分では、夜が静かに広がっていくような感覚があり、アニメの賑やかな本編とは正反対の、静謐な世界へと視聴者を導く。これは、あえてエンディングにこの曲を配置したスタッフのセンスが光る選曲でもある。
■ 歌詞の世界観
ネコが見た、人間の隙間と優しさ
作詞を担当した伊藤アキラは、数々の名作アニメソングを手がけてきたことで知られるが、この「ネコは言いたい」では、人間社会を冷静に観察する“ネコの視点”がユニークだ。
歌詞の中では、ネコが人間たちの日常を遠くから見つめながら「本当は、もっとこうしたいんじゃないか」「心の奥で泣いてるんじゃないの?」といった、ちょっと哲学的なメッセージをそっと投げかけてくる。
ネコという存在は、孤独を好む反面、実はとても繊細で情緒的。そんな生き物だからこそ、人間たちの“見せかけ”を見抜き、声にならない叫びを代弁してくれるのだという、優しい視点が感じられる。
たとえば、歌詞の一節には「笑っていても、寂しさは消えない」というような表現があり、子どもだけでなく、大人が聴いてもハッとさせられる。決して説教くさくはなく、あくまで“ネコのつぶやき”という形で語られることで、聴き手の心にそっと入り込む構成になっている。
■ 歌手・武内宏の歌声
抑制された感情が染み入るように
歌い手の武内宏は、決して派手な歌い回しをせず、むしろ語るように歌うスタイルが特徴だ。抑え気味の低音から始まり、サビでも爆発するようなボーカルはない。だが、その静けさこそが、この歌の“本質”を際立たせている。
彼の声はどこか乾いていて、それでいて温かさがにじむ。まるで、野良猫が寒い夜に寄り添ってくれるような、そんなさりげない優しさがある。ビブラートも控えめで、音程の安定感が高いため、楽曲全体に安心感をもたらしている。
特に、歌詞の「ぼくは知ってるよ、君が本当は泣きたいこと」などのフレーズでは、声の端々に感情がにじみ出るような繊細な表現が聴き取れる。これは技術だけではなく、楽曲への深い理解と共感があってこそ成立するものだろう。
■ アニメとの相乗効果
笑いの後に訪れる静けさ
『オヨネコぶーにゃん』は、基本的にはドタバタ系のギャグアニメで、主人公オヨヨの奇行と、それに振り回される“ゆでた家”の面々の日常をコミカルに描いていた。しかし、そんな作品のラストにこの「ネコは言いたい」が流れることで、視聴者の感情は一気に落ち着き、どこかしんみりとした気分になる。
これは、まるでお祭りの後に残る静けさ、あるいは賑やかな舞台の幕が下りたあとの余韻に似ている。視聴者の心を一度ニュートラルに戻すための“整理整頓”的な機能を果たしており、子どもであってもその“余韻”を自然に受け止めていたように思う。
■ 視聴者の感想と受け止め方
忘れがたい“静かな余韻”
当時の子どもたちの中には、このエンディングを“少し寂しい”と感じていた人も多かったようだ。アニメの本編があまりにコミカルで賑やかだったからこそ、エンディングで一気に空気が変わることに、どこか心がついていけないような戸惑いを覚えた人もいた。
一方で、大人になってから改めてこの曲を聴くと、「ああ、こういうことを言いたかったのか…」と感動するという声も多い。まるで、子ども時代の記憶の片隅にひっそりと居座り続けた“忘れられない旋律”として、長年静かに人々の心に残っていたのだ。
また、今ではこの曲は、YouTubeなどで再び脚光を浴び、「昭和アニメの隠れた名曲」として評価されることも少なくない。メディア的には目立たない位置にあったが、聴いた人の心を確実に掴んだ名曲と言えるだろう。
■ 心に寄り添う“ネコの声”を、もう一度
「ネコは言いたい」は、子どものアニメのエンディングにしては、あまりにも静かで、あまりにも優しく、そして深い。ネコの立場から語られるメッセージが、実は私たち自身の心の声だったと気づいたとき、この曲は単なる懐かしのアニメソングではなく、人生のどこかで支えてくれる“心のテーマソング”になる。
無数のアニメ主題歌がある中で、この曲ほど静かに、しかし強く記憶に残るものは少ないかもしれない。今こそ、あの頃の“ネコのささやき”に耳を澄ませてみてはいかがだろうか。
●アニメの魅力とは?
■ 主人公・オヨヨの破天荒なキャラ造形
本作の顔とも言えるのが、黄色くて太っちょな謎の猫「オヨネコぶーにゃん」、通称オヨヨである。彼は猫らしからぬ姿と性格をしており、しばしば豚と間違われる。だがそのユーモラスな外見とは裏腹に、オヨヨの言動はずうずうしく、自己中心的でありながら、どこか憎めない魅力を放つ。
怠惰で口が達者、食いしん坊で甘え上手。視聴者はこの「図々しい愛らしさ」にすぐに引き込まれてしまう。特に、好物のサツマイモを巡るドタバタ劇は彼のキャラクターを強く印象づけ、子どもから大人まで幅広い年齢層にウケた。
■ ゆでた家を舞台に繰り広げられるドタバタ劇
物語の舞台はごく普通の家庭「ゆでた家」。そこに突然居候として現れたオヨヨが引き起こす日々の騒動を軸に、ギャグ満載のエピソードが展開される。特に注目すべきは、長女・たまごとの丁々発止の掛け合いだ。
しっかり者で気の強いたまごと、マイペースで自己主張が強いオヨヨとの間には絶えず火花が散る。だが、それがただの対立に終わらないのがこの作品の奥深いところ。お互いに腹を立てつつも、どこか心の底で認め合っているような絶妙な距離感が描かれており、キャラクター同士の人間関係に奥行きを与えている。
■ オムニバス形式によるテンポの良さと多彩な展開
アニメ『オヨネコぶーにゃん』の大きな特徴として、1話30分の中に3本のショートストーリーを詰め込んだ「オムニバス形式」が挙げられる。これにより、テンポのよい展開が可能となり、飽きさせない構成になっている。
各話は日常を基盤にしたドタバタ劇ではあるものの、時にファンタジーやSF要素が盛り込まれたり、社会風刺めいたネタが登場したりとバラエティに富んでいる。何が飛び出すかわからない展開に視聴者はワクワクしながら番組を楽しんでいた。
■ 80年代ならではのカルチャーセンスと風刺
1980年代という時代背景を映し出すネタも多数存在した。たとえば、当時のテレビ番組やアイドル文化を茶化すようなパロディ、世相を反映したギャグ、家庭内のジェンダー問題を皮肉るような表現などが登場する。これらは子ども向けアニメの枠を超え、大人もクスリと笑える奥深さを持っていた。
また、「太っていることを笑いに変える」「怠け者のオヨヨが実は賢い」といった表現は、固定観念へのアンチテーゼとしても機能していた。表面的には軽快なギャグアニメだが、内包するテーマは案外鋭い。
■ 声優陣の圧倒的な演技力
アニメにおける魅力のひとつは、何と言ってもキャラクターに命を吹き込む声優陣だ。主人公オヨヨを演じたのは、当時から人気を誇る神谷明。彼のコミカルかつ絶妙に鼻持ちならない演技は、オヨヨというキャラを「ただのマスコット」ではなく「生きた存在」へと昇華させた。
さらに、たまご役をはじめとしたゆでた家の家族や友人キャラも、それぞれ個性豊かに描かれ、演者たちの掛け合いはまるで舞台劇のような臨場感を放っていた。
■ 主題歌・挿入歌のポップな魅力
『オヨネコぶーにゃん』の魅力を語るうえで欠かせないのが、印象的な主題歌・エンディング曲の存在である。オープニング曲「オヨネコぶーにゃん」は、明るく軽快なリズムで視聴者の耳に残るフレーズが特徴的。歌詞には、オヨヨのキャラクター性がユーモラスに詰め込まれており、作品の世界観を一瞬で伝える効果があった。
エンディング曲「ネコは言いたい」もまた、どこかしら切なくも愛嬌あるメロディで、日常と非日常の狭間を生きるオヨヨたちの物語を優しく包み込んでいる。
■ 視聴者の反応と当時の評価
放送当時、『オヨネコぶーにゃん』は子どもたちの間で話題を呼び、ぬいぐるみや文房具などの関連グッズも一定の人気を博した。一方で、そのユーモアの中に含まれた皮肉や風刺に着目した大人層からも、「子ども向けと侮れない」と高く評価された。
また、「1話完結で見やすい」「独特の空気感がクセになる」といった声も多く、地味ながら根強いファンを獲得した作品となった。長期的なメディア展開こそ少なかったが、そのユニークさゆえに今も記憶に残っている人は多い。
●当時の視聴者の反応
■ 世間の第一印象
「何これ?」が口癖に
放送が始まった当初、街の声はまさに「なんだこれは?」といった困惑に満ちていました。とある中学生の日記には《オープニングのぶーにゃんの顔が夢に出てきて眠れなかった》と綴られていたとされ、異形のビジュアルと動きに戸惑う子どもも少なくありませんでした。
一方で、雑誌『週刊TVガイド』のアニメコラムでは、《シュールな笑いと無軌道なキャラクターに、思わず目を離せない》と肯定的な論評も見られ、「不可解さも魅力」という逆説的な評価が形成されていきました。
■ 保護者層の複雑な視線
笑うべきか困るべきか
一方で、家庭内では「このアニメは子どもに見せて大丈夫なのか」との議論も巻き起こりました。特に保護者世代には、ぶーにゃんの怠け者で図々しい性格、時に皮肉めいたギャグが「教育上不安」と映ったようで、主婦向け雑誌『奥さまジャーナル』の投書欄には《子どもがマネしてゴロゴロするようになった》との声も掲載されました。
しかし同時に、《オヨネコのだらけた姿に共感する》《子育ての合間に笑える貴重な時間》といった好意的な感想も寄せられ、賛否が混在する家庭内視聴スタイルが顕著だったのもこの作品の特徴です。
■ 声優・神谷明のユニークな存在感が話題に
主人公・オヨネコぶーにゃんの声を担当したのは、当時すでに人気声優として知られていた神谷明氏。その特徴的な「緩急ある甲高い声」と「セリフの妙技」は、メディアでも度々取り上げられました。
アニメ雑誌『アニメディア』の1984年7月号では、「神谷明インタビュー特集」にて《あのぶーにゃんの声は、休日のソファに寝転ぶ自分を想像して作った》と語っており、視聴者との距離感の近さがキャラクターに投影されていたことが伺えます。
■ 書籍に見る“ぶーにゃん論”の登場
この作品に対する評論的な言及も、当時の児童書・アニメ研究書に見られました。例えば、『TVまんが大全集1984』(小学館)では《アニメキャラクター史における“非ヒーロー系主人公”の先駆け》と評されており、単なるギャグアニメにとどまらない社会的価値が与えられていました。
また、同書では《視聴者の倫理観を翻弄することで、家庭内の笑いと会話を生み出した》とも分析されており、“アンチヒーロー”としてのぶーにゃん像が一定の評価を得ていたことも注目に値します。
■ 文房具や玩具への波及効果とその微妙な評判
本作に影響を受けた商品展開も少なくありませんでした。ぶーにゃんをあしらった下敷きやノート、消しゴムが発売されたものの、ビジュアルの独特さがネックとなり「怖くて使えない」との声も。ある文具店主の証言によれば、《“怖い猫のノートください”と子どもが来て初めて何のことかと気づいた》とのことで、キャラクター認知が異質だったことがうかがえます。
■ アニメ雑誌での扱い
隠れた“カルト的人気”枠
『アニメージュ』や『OUT』といったアニメ専門誌では、本作は大々的に取り上げられる作品ではなかったものの、熱心なファンによる投稿欄では《一見バカっぽいけど計算され尽くした笑い》《たまごの叫び声が一種の芸術》といった評価が寄せられ、知る人ぞ知る“マニア受けアニメ”としての地位を築いていました。
特に一部では、「ポスト・ギャグマンガ日和的存在」と後に再評価される土壌もこの時期に形作られていたようです。
●イベントやメディア展開など
■ アニメ放送に先駆けた事前告知とパイロット映像の存在
『オヨネコぶーにゃん』は放送開始前から既にテレビ局内で注目を集めており、他作品とは異なり、非公開のパイロットフィルム(仮声優による短編映像)が制作されたことで、関係者や一部マスコミに事前披露されていた。この映像は、ゆでた家とオヨヨの基本的な関係性を軸にしたショートシーンで、演出トーンやキャラクター性の輪郭を固める試金石とも言える存在だった。
また、1984年初春にかけて放送されたテレビ朝日の子供向け情報番組『マンガはじめて物語』や『アニメランド』などでは、「新番組紹介」特集の中でオヨネコぶーにゃんがイラスト付きで紹介され、初見の視聴者に向けた興味喚起がなされた。
■ 雑誌連動プロモーション
少女漫画誌とのクロスオーバー展開
『オヨネコぶーにゃん』は、小学館のフラワーコミックスで展開されていた原作漫画との連動が非常に密接であった。とりわけ少女向け雑誌『ちゃお』『ぴょんぴょん』誌面においては、アニメ版のオリジナル描き下ろしピンナップやキャラクター別紹介記事が連載され、視聴前の子供たちに世界観を視覚的に訴求していた。
また、同誌では読者投稿コーナー「オヨネコ似顔絵コンテスト」が定期的に開催され、入選者にはオヨヨぬいぐるみやアニメ台本コピーなどの豪華景品がプレゼントされるという企画も話題を集めた。
■ 百貨店でのリアルイベント
着ぐるみショーと握手会
放送から約2ヶ月後の1984年6月以降、全国各地の百貨店やショッピングセンターで「オヨネコぶーにゃん わくわくステージ」と題されたキャラクターショーイベントが開催された。特に注目を集めたのが、池袋西武や大阪・千里セルシーなどで行われた**“オヨヨ着ぐるみショー”**である。
このショーでは、オヨヨとたまごが登場し、お馴染みのギャグシーンやダンス、クイズなどを展開。子どもたちはステージ前に詰めかけ、「芋を渡してオヨヨを釣ろう!」といった参加型ミニゲームに熱狂。ショー終了後には、握手会と写真撮影タイムも用意され、親子連れにとって忘れがたい一日となった。
■ アニメ雑誌での特集展開とインタビュー記事
1980年代のアニメ誌では『アニメージュ』『マイアニメ』『アニメディア』などが主流であり、『オヨネコぶーにゃん』も何度か表紙や特集記事で取り上げられている。
中でも1984年8月号の『アニメディア』では、声優・神谷明の独占インタビューが掲載され、「オヨヨ役はこれまでにない“愛嬌のあるずうずうしさ”を演じられて面白い」と語ったコメントが話題に。また制作スタッフの座談会では、「アフレコ中に笑いが堪えられない現場」「神谷さんが即興でアドリブを入れた回が正式採用された」など、裏話も豊富に語られていた。
■ 文房具・お菓子・日用品などキャラグッズの展開
アニメ放送と連動し、東映アニメーションの協力により多様なキャラクター商品も市場に登場。特に人気を博したのが以下のアイテムである:
オヨヨのしゃべるぬいぐるみ(ボイス入り、当時2,800円)
たまごの顔が描かれた下敷きや鉛筆セット
「オヨヨのいも味スナック」(限定販路で発売、実際にさつまいも風味)
また、ロッテやカバヤなどの菓子メーカーからは、**「アニメカード付きガム」「シール付きチョコ」**といった玩具菓子が販売され、子供たちのコレクション欲を刺激した。
■ テレビ局との連動キャンペーンと公開録音イベント
テレビ朝日では、番組視聴者向けに「オヨヨからの挑戦状」と称した視聴者投稿企画が展開されていた。放送中に出題されるクイズに正解した人の中から抽選で、声優・川島千代子と神谷明が出演する公開録音イベントへの招待券が贈られた。
このイベントは都内の文化会館にて収録され、参加者には特製オヨヨうちわと録音風景の写真つきパンフレットが配布された。司会進行を務めたのは当時の人気子役で、ステージには声優陣が登場し、生アフレコの披露や観客との即興寸劇も行われ、ファンからは歓声が上がった。
●関連商品のまとめ
■ 映像関連商品
VHS・LD時代の展開
『オヨネコぶーにゃん』の映像メディア化は、1980年代中頃というアナログ映像媒体が主流の時代背景から、一般家庭向けの販売用VHSは極めて限定的だった。しかし、教育施設や公共図書館向けに作成された「貸出専用VHS」シリーズが存在しており、これは全10巻構成・各巻2話収録の形態で制作された。ジャケットはオヨネコ(ぶーにゃん)とゆでた家の面々を描いた簡素なデザインで、黄色基調の猫型枠が印象的だった。現在では市場流通がほとんどなく、資料的価値が極めて高い。
LD(レーザーディスク)については、単独タイトルでのリリースは確認されておらず、『昭和アニメ傑作選』などのオムニバス収録において、数話だけが収録される形で発売された記録がある。これらもまたLDプレイヤーという限定的な環境下でしか楽しめなかったため、現存数は非常に限られている。
■ 書籍関連
原作漫画と絵本展開
本作の原作は市川みさこによるギャグ漫画であり、アニメ放送に伴い講談社・小学館などから複数の児童向け再編集本が刊行された。代表的なものには「てれびくんコミックス」や「コロタン文庫」版があり、フルカラー印刷の絵本スタイルで、オヨヨのドタバタ劇がわかりやすく再構成された。読み聞かせや低学年向け教材としても重宝されたという記録が残る。
また、小学館『別冊コロコロコミック』にはアニメの世界観を踏襲したオリジナル短編漫画が数回にわたり掲載されており、そこではアニメ未登場キャラも活躍するなど、ファンの間で話題となった。
アニメ関連書籍
徳間書店の『アニメージュ』や、学研の『テレビマガジン』では放送当時に特集記事が組まれ、登場人物紹介、制作現場レポート、声優インタビューなどを交えて本作を紹介。『オヨネコぶーにゃん パーフェクトガイドブック』(非公式同人系ながら人気)では、エピソードガイドやセル画コレクション、全セリフ採録などマニア向けの内容が盛り込まれている。
■ 音楽関連
主題歌シングルとBGM集
オープニング「オヨネコぶーにゃん」(歌:川島千代子・神谷明)、エンディング「ネコは言いたい」(歌:武内宏)は共に1984年に日本コロムビアよりEP盤(7インチアナログレコード)として発売された。ジャケットは黄色を基調とし、ブタと間違えられるオヨヨの表情がコミカルに描かれている。
アニメBGMは作曲家・渡辺岳夫による軽快かつユーモラスな旋律が特徴。1985年にLP形式で『オヨネコぶーにゃん サウンドメモリー』として発売され、その後、2005年には限定CDとして復刻された。BGMトラックには「ゆでた家の日常」「たまごの恋心」など各エピソードの雰囲気を反映した曲名が付けられ、ファンにとっては懐かしさの詰まった一枚である。
■ ホビー・おもちゃ
ソフトビニール人形・フィギュア
オヨヨやたまご、モンブランくんなどの主要キャラクターがデフォルメされたPVCフィギュアとして玩具店で販売された。主にバンダイとツクダオリジナルが商品化を手がけ、オヨヨの表情差分付き3体セット(立ちポーズ/寝転び/サツマイモを食べている)が特に人気であった。
知育系グッズ
塗り絵・ぬいぐるみ・ステッカー帳など知育性を持たせた商品も多く、特にオヨヨのフェルト素材を使用した「マグネット人形セット」は、冷蔵庫や黒板に貼り付けて遊ぶ家庭向け商品として好評だった。
ボードゲーム・パーティーグッズ
『オヨヨとたまごのドタバタ大冒険』というタイトルのすごろく式ボードゲームがツクダホビーから発売されていた。カード式イベントとキャラクター特性を反映したルールが特徴で、盤上には「イモ畑」「ブタの群れ」「たまごの部屋」などユニークなマス目が描かれていた。
■ 食玩・文房具・日用品
食玩(おまけ付き菓子)
『オヨネコぶーにゃん ミニチュア劇場』と題したチョコレートボール付き食玩が販売され、フィギュア付き(約3cm)のカプセルタイプで全10種がラインナップされていた。ランダム封入のシール付きウエハースや、オヨヨとたまごのペーパークラフト付きガムなども当時の駄菓子店で流通していた。
文房具グッズ
オヨヨをあしらった文房具は、小学生向けに豊富なラインナップが揃い、特に「ぶーにゃんの7点文房具セット」(下敷き・鉛筆・消しゴム・ノート・自由帳・シール・定規)はギフト需要も高かった。キャラとギャグを組み合わせた吹き出しデザインが多く、勉強中の癒しアイテムとして支持された。
日用品
ランチグッズとして、オヨヨ柄のお弁当箱、水筒、箸ケースが存在。その他、バスタオル、巾着袋、風呂用ビニールシートなど、お風呂や洗面所まわりの製品にもキャラクター展開が広がった。スーパーでは子ども用の歯磨き粉やシャンプーボトルも販売され、暮らしの中で「ぶーにゃん」と触れ合える商品展開となっていた。
■ お菓子・食品関連
タイアップ菓子
1984年~1985年にかけて、クリスマス・春休みの時期限定で「ぶーにゃんクッキー缶」「ぶーにゃんチョコアソート」などが全国のスーパーや百貨店で販売された。中身は動物型や猫型のプリントクッキーで、缶の蓋には本編イラストと描き下ろしポエムが印刷されており、保存容器としての二次利用が可能だった。
また、ラムネ味の粉末ジュースとキャラシールを組み合わせた「ぶーにゃんジュースセット」は文房具店や文具系駄菓子屋でも取り扱われ、友達同士でシールを交換する文化を生んだ。これらは現在でも昭和レトロアイテムとして一定の人気があり、コレクターズ市場ではプレミアがついていることもある。
●オークション・フリマなどの中古市場での状況
■ 映像関連商品(VHS・DVD・Blu-ray)
貸出専用VHS(図書館・教育機関向け)
『オヨネコぶーにゃん』は一般販売用VHSソフトのリリースがなかったものの、放送当時、教育用として製作された「貸出専用VHS」が存在しています。
これらは各巻に2話収録され、全12巻前後が存在していたとされます。ジャケットにはアニメの名場面やオヨヨのイラストが使用され、現在では非常に希少。
ヤフオク!でも年に数回程度しか出品されず、状態の良いものは1巻あたり8,000円~15,000円前後で落札されることがあります。特に第1巻や最終巻は高額になる傾向が見られます。
■ 書籍・ムック・雑誌掲載
アニメ雑誌(アニメージュ、アニメディア、My Animeなど)
『オヨネコぶーにゃん』は放送当時、一部のアニメ雑誌にてキャラクター紹介や短い特集記事が掲載されていました。
特に1984年春~秋号の中にカラーページを含む記事が掲載されている例があり、ヤフオク!でも出品があります。
状態や特集の有無により差はあるものの、1冊あたり1,200円~3,500円程度で落札されることがあり、巻頭カラー付きはやや高値。特集ページの切り抜き欠けは減額要因となります。
ムック本・公式設定資料集
『オヨネコぶーにゃん』単体のムック本や設定資料集は発行されていないと見られ、これらのカテゴリの商品はほぼ存在しません。アニメ雑誌のバックナンバーが、ほぼ唯一の活字系商品となります。
■ 音楽関連(主題歌・挿入歌)
EPレコード(7インチシングル)
主題歌「オヨネコぶーにゃん」「オヨヨナイトフィーバー」「ネコは言いたい」などが収録されたアナログEP盤(7インチレコード)が存在します。
これらはコロムビアやキャニオンレコードからリリースされ、現在はコレクターズアイテム化。
ヤフオク!では、ジャケット・帯付き完品で3,000円~8,000円前後、美品や未開封品に近い状態では1万円を超えることもあります。
状態不良(ジャケット破れ・盤面キズあり)の場合は1,000円~2,000円程度での取引に落ち着きます。
LPレコード・サウンドトラックアルバム
『オヨネコぶーにゃん』のオリジナル・サウンドトラックLPは未発売。アルバム形式の商品は確認されておらず、出品例も皆無です。
■ ホビー・おもちゃ・フィギュア類
ソフビ人形・ぬいぐるみ
放送当時、オヨヨを模した小型のソフビやぬいぐるみが少量生産されていたとされますが、流通量が極めて少なく、現存数は希少。
ヤフオク!でも年に数回見かける程度で、出品時には5,000円~20,000円の価格帯で取引されます。特にタグ付き・未使用の状態は高値がつきやすく、コレクター人気も高いです。
ガチャガチャ系玩具・ミニフィギュア
当時のカプセルトイ(ガチャ)で展開されたものもあったとされますが、実際の出品は非常に稀。出品時は1体あたり2,000円~5,000円程度で落札される傾向にあります。
■ ゲーム・ボードゲーム関連
すごろく・ボードゲーム
子ども向け雑誌の付録などで『オヨネコぶーにゃん』をモチーフとしたすごろく形式のゲーム紙面が存在しますが、単体商品としてのボードゲームは未確認です。
雑誌付録や懸賞品のすごろくが切り抜かれた状態で出品されることがあり、1,000円~2,500円程度で取引されています。
■ 文房具・日用品・その他グッズ
文房具(下敷き、ノート、シールなど)
放送当時、児童向け文房具として下敷きや自由帳、シールセットが発売されていた形跡があります。デザインはオヨヨ単体か、たまごやモンブランくんといった登場人物が描かれたもの。
ヤフオク!での出品は不定期で、1品あたり1,500円~4,000円程度。未使用状態のものはコレクターに人気があります。
日用品・雑貨(コップ、弁当箱など)
一部のキャラクター商品として、プラスチック製コップやランチボックスなどが発売されていたことがあります。
これらは特に未使用・当時パッケージ付きのものが人気で、3,000円~7,000円前後での落札が目立ちます。
●現在購入可能な人気売れ筋商品です♪
オヨネコぶーにゃん(5)【電子書籍】[ 市川みさこ ]
オヨネコぶーにゃん(4)【電子書籍】[ 市川みさこ ]
【中古】 テレビアニメ スーパーヒストリー vol.27「オヨネコぶ〜にゃん」〜「プロゴルファー猿」/(アニメーション)
オヨネコぶーにゃん(2)【電子書籍】[ 市川みさこ ]
オヨネコぶーにゃん(9)【電子書籍】[ 市川みさこ ]
オヨネコぶーにゃん(8)【電子書籍】[ 市川みさこ ]
オヨネコぶーにゃん(7)【電子書籍】[ 市川みさこ ]
オヨネコぶーにゃん(3)【電子書籍】[ 市川みさこ ]
オヨネコぶーにゃん(6)【電子書籍】[ 市川みさこ ]
オヨネコぶーにゃん(1)【電子書籍】[ 市川みさこ ]




