
エポック社の野球盤 3Dエース オーロラビジョン&カセットビジョンとバーコードバトラー [6.バーコードバトラーII2 C0]【ネコポス配送..
【メーカー】:エポック社
【発売日】:1984年9月
【販売価格】:4,180円
【メディア】:ROMカセット
【ゲームジャンル】:アクションシューティングゲーム
●概要
■ 重力を逆手に取る縦型アクション
1980年代前半、家庭用ゲーム機市場は様々な創意工夫に満ちていた。その中でも1984年9月、エポック社がスーパーカセットビジョン向けに放った一作『エレベーターファイト』は、当時としては珍しい“縦方向の移動”を軸とした近未来型ガンアクションであり、異色の存在感を放った。単なる横スクロールでも、固定画面の撃ち合いでもない、エレベーターという限定的空間と立体的な階層構造を活かしたシステムは、今なお一部のマニア層の間で語り草となっている。
■ 世界観
宇宙暦2551年、銀河の静寂を破る影
物語の舞台は宇宙暦2551年――「銀河連邦」の支配下にある未来世界である。平穏が続いていたこの時代に突如現れた侵略者「ガーシム軍団」は、最新鋭のテクノロジーを用いて“スペースステート・デルタ”と呼ばれる要塞を築き上げた。プレイヤーが操作するのは、連邦特殊部隊の精鋭「アーリン」。彼の任務は、ガーシムが潜伏する巨大施設の最下層、地下31階に隠された中枢コンピュータを破壊することである。
この設定には、かつてエポック社が展開した『アストロウォーズ』シリーズで用いられた用語が再登場するなど、世界観のつながりを感じさせる要素が多く、ファンにとっては一種のスピンオフともとれる仕様になっている。
■ ゲームシステム
鍵を握る“垂直移動”と“4つの鍵”
ゲームの進行は、全4エリアによって構成されている。それぞれのエリアは地下10階層ごとに分かれており、最終目的地であるコンピュータルームのある第4エリア(地下31階)に至るまでには、3つの“セキュリティバリア”を突破しなければならない。
各エリアには4本の特殊な鍵が隠されており、それらをすべて集めることで次のエリアへの進入が許可される。これらの鍵はエレベーター内、敵が出現するフロア、隠し通路のような場所に設置されており、プレイヤーは多彩なアプローチで探索・戦闘を展開する必要がある。
エレベーターはプレイヤーの任意操作で上下に移動できるが、その途中で敵と交戦することもあるため、“昇降”そのものが戦術性を帯びている。
■ 主人公アーリンと武装
孤高の戦士、銀河の敵に挑む
プレイヤーキャラクター「アーリン」は、宇宙特殊部隊のエリートという設定を持つ。彼のメイン武器は高エネルギー粒子銃であり、連射性能よりも精密な狙撃性が重視されたものとなっている。射撃は水平方向に限られるが、敵の出現位置が階層ごとに変動するため、状況判断が重要となる。
また、防御性能は低めに設定されており、被弾すると即ミスというシビアな設計が特徴。ステージ内には回復要素は存在せず、純粋に操作技術と記憶力によって生き残るタイプのゲームである。
■ 敵キャラクター
多彩なガーシム軍兵器と罠の数々
『エレベーターファイト』に登場する敵は、単なる宇宙人ではない。ガーシム軍はさまざまな自律兵器を配置しており、例えば以下のようなユニットが登場する。
これらの敵は階層によって出現のパターンが異なり、後半になるにつれて配置も過激になっていく。中にはプレイヤーの行動に反応して移動速度や攻撃頻度が変化する“学習型AI”のような敵も存在し、単調さを感じさせない設計が光る。
■ ステージ構成
トラップと構造で魅せる三層のダンジョン
ゲーム全体は4ステージに分かれているが、そのうち前半3ステージは地下階層を10階ずつ担当している。例えば以下のような構成で進行する。
第1ステージ(地下1階~10階):入門的な構成で、基本操作とエレベーターの使い方を学ぶゾーン。
第2ステージ(地下11階~20階):トラップが急増。隠し鍵の探索と敵の動きの組み合わせに悩まされる。
第3ステージ(地下21階~30階):敵密度が大幅に上昇。バリア解除のための鍵配置もランダム化要素があり、記憶だけで進行できない難所。
最終ステージ(地下31階):中央コンピュータとの最終対決。タイムリミット付きで、すべての攻撃をかいくぐりながら破壊を試みる。
このように、階層ごとに違うギミックが施されており、単なる“昇降”だけのゲームではないという点が本作の最大の魅力である。
■ ビジュアルと音楽
機械的で緊張感ある演出
スーパーカセットビジョンのハード性能を活かしたグラフィックは、当時としてはなかなかの再現度を誇っていた。特にエレベーターの動作アニメーションや、フロア間のつなぎ部分の演出がよくできており、“縦の空間”の存在感をしっかりとプレイヤーに感じさせてくれる。
BGMは電子音を基調とした緊張感のある旋律で統一されており、各階で敵が出現するたびに変調が入るなど、演出的にも凝っていた。SE(効果音)は控えめだが、撃たれたときの効果音やバリア解除音は非常に印象的で、プレイヤーの記憶に残る。
■ ジャンルの先を行く独創性と戦略性
『エレベーターファイト』は、単に撃つだけのアクションゲームではない。“上下移動”という要素を中心に据え、空間の使い方と戦略、そしてプレイヤーの緻密な操作を要求する設計は、当時のタイトルの中でも際立っていた。
その硬派なゲーム性とSF設定、階層構造の緻密な作りこみは、スーパーカセットビジョンの名作として名高く、今なお愛されるに足る存在である。ゲーム史の隠れた傑作のひとつとして、その名は記憶にとどめておきたい。
●ゲームの魅力とは?
■ SF戦場に昇降するアクションの緊張感
『エレベーターファイト』の舞台は、地球連邦と敵対する異星人「ガーシム」が拠点とする超巨大ビル型基地。プレイヤーは特殊部隊員「アーリン」となり、ビル地下31階から最上階までを駆け上がりながら敵勢力を制圧していく。この設定自体、当時としてはかなり未来的であり、「エレベーターを使って敵の本拠地に突入する」というアイディアは、シチュエーション・アクションとして極めて斬新だった。
単に横移動だけでなく、縦の動き——つまりエレベーターの昇降を利用した立体的なアクション展開がこのゲームの最大の特徴である。エレベーターの上下移動に伴う緊迫感、敵の出現タイミングとの駆け引きなど、シンプルながらも奥深いプレイ体験をもたらしてくれる。
■ シンプルかつ戦略的な操作体系
操作は、スーパーカセットビジョン特有の8方向レバーと2つのボタンのみ。しかし、この制限が逆にゲームの戦術性を高めている。プレイヤーは、敵に向かって弾を撃つ「ショット」と、エレベーターの操作、ドアの開閉といった行動を状況に応じて選択していく。特にエレベーターの「閉め忘れ」や「開けっ放し」が致命的な結果を招くため、ボタン一つの使い方にさえ命運がかかるという、張り詰めた緊張感がある。
また、敵キャラの行動パターンもバリエーション豊かで、銃を持つ者、手榴弾を投げる者、突進してくる者などが階ごとに待ち受ける。それぞれの敵の特徴を覚え、どのタイミングで迎撃するかを考える「覚えゲー」的な要素も兼ね備えている。
■ クールな未来世界のデザインと演出
グラフィックは、スーパーカセットビジョンの性能を考慮すると非常に頑張っている部類に入り、特にビルの構造やエレベーターのアニメーションには独特のリアリティが感じられる。細かく動くエレベーターのメカニズム、床ごとに変化する背景、ドアの開閉に至るまで、プレイヤーの没入感を損なわない工夫が光る。
また、色彩のコントラストも秀逸で、暗めの背景とプレイヤーキャラの明るい色使いによって視認性も高く、ゲームの世界観にマッチしている。音楽はBGMというより環境音に近い仕上がりで、エレベーターの作動音や銃声など、メカニカルなサウンドがプレイヤーを未来世界へと誘う。
■ 高難易度が生む熱中と達成感
本作は決して「易しい」ゲームではない。敵の攻撃は容赦なく、またエレベーターの操作タイミングを誤れば即ミスというシビアなバランス。だが、だからこそ1フロアずつ着実に攻略していく緊張感と達成感が際立つ。特に、地下31階からスタートして地上階まで進む中で、わずかな油断が全体の流れを壊す恐怖は、ゲーマーにとって最高のスリルとなる。
こうした「努力とリスクが報われる」構成は、現在のローグライク系ゲームの源流とも通じる部分があり、プレイするほどに巧妙な難易度設計が味わえるようになる。
■ マニアの間で語られる“知る人ぞ知る名作”
発売当時の『エレベーターファイト』は、ファミコン全盛の時代にあって、スーパーカセットビジョンというマイナーハード専用ソフトであったこともあり、爆発的なヒットとはいかなかった。しかし、ゲームセンター的なアーケード感覚を家庭で味わえるタイトルとして、一部のプレイヤーには高く評価されていた。
特に、エレベーターを「単なる移動手段ではなく、戦術の中核」として取り入れた点は、今なお先進的であると再評価されており、レトロゲーム愛好家の間では隠れた傑作として扱われている。また、パッケージに記された副題「ガーシム軍団滅亡の日」という劇画調のコピーも、多くのファンに強い印象を残している。
●感想や評判
■ プレイヤーが語る“斜め上の操作感”
本作の最大の特徴は、その名のとおり“エレベーター”を用いた縦の移動と、銃撃による戦闘を組み合わせたシステムだ。敵の基地に潜入し、地下31階の制御室を目指すという設定は、多くのプレイヤーに新鮮な緊張感をもたらした。
プレイヤーの声として特に多かったのは、以下のような内容である。
「上下の動きに戦略性があるなんて当時は驚きだった」
「ただ撃つだけじゃダメ。エレベーターのタイミングを読み切らないと進めない」
「何度も途中で挟まれたけど、それがクセになる難しさだった」
つまり、ただのガンアクションではない。「動きの読み合い」「時間配分」「先読み」が求められる点が、多くの子どもたちにとって“難しいけど面白い”という評価に繋がっていた。
■ 世間が受け止めた“異色作”としての存在感
当時の家庭用ゲーム市場は、任天堂のファミリーコンピュータやセガのSG-1000などが主流となりつつある中、スーパーカセットビジョンはマイナーハードという立場に甘んじていた。だが、そんな中にあって『エレベーターファイト』は一定の話題性を保ち、「変わり種ソフト」の代表格として記憶されている。
家庭でプレイした子どもたちの多くは、「友達の家で初めて触った」「見た目が他のゲームとまるで違っていた」と証言しており、ハードの知名度を超えて作品そのものにインパクトがあったことが伺える。
また、一部のアーケードゲーマー層からは「ゲームセンターでは体験できない奇妙な緊張感があった」という声もあり、スーパーカセットビジョンならではの独自路線に対して一定の評価を示していた。
■ 専門誌の記述
実験的作品としての評価
当時のゲーム専門誌(例:『マイコンBASICマガジン』や『テレビゲームマガジン』など)では、『エレベーターファイト』は技術的なチャレンジ精神に富んだ作品として、特集記事やレビューの中で取り上げられていた。
とある誌面では以下のような記述が確認されている。
「単なる横スクロールに飽きた読者諸君に推したい一作。縦移動の新しい切り口と、SF世界観が相まって、不思議な没入感を生み出している」
また、別の媒体ではエレベーターを“舞台装置”として見る見方が紹介され、
「敵との戦闘よりも、どの階層にどう移動するかが鍵になる。これは既存のアクションゲームの文法を超えている」
といった具合に、斬新さが肯定的に評価されていた。ただし、操作性については「慣れが必要」との指摘も多く、万人向けとは言いがたいというスタンスも同時に記述されている。
●イベントやメディア展開など
■ 全国玩具販売店での「体験会ラッシュ」
エポック社はこのタイトルの発売に先立ち、全国の大手玩具店や百貨店玩具売場において、スーパーカセットビジョン本体とともに『エレベーターファイト』を試遊できる「体験キャラバン」を実施。東京・大阪・名古屋を中心に約30か所以上で週末限定イベントが開催され、エレベーターの上昇・下降を模した可動ディスプレイが目を引いた。
このイベントでは、専任スタッフがプレイ操作を解説しながら、参加者に地下31階を目指すスリリングなミッションを体験させた。特に男子小中学生を中心に、ガンアクションと階層を登り下りするという新鮮なゲーム性が「まるでビルが敵に見える」と話題となり、口コミでゲームへの関心が広がった。
■ 雑誌タイアップ記事と付録連動企画
当時の人気ゲーム・ホビー雑誌『マイコンBASICマガジン』『ファミリーコンピュータマガジン(創刊前夜の特集)』『テレビマガジン特別増刊』などでは、エポックとタイアップした記事や広告が掲載されていた。中でも話題を呼んだのは「銀河連邦極秘ミッションブック」と題された小冊子形式の付録である。
この付録には、ゲーム内の設定世界を拡張する短編SFストーリーや敵勢力「ガーシム軍団」の紹介、さらには主人公アーリンのプロファイルや作戦図などが記されており、「ただのアクションゲームではない」ことを強く印象づけた。
読者投稿コーナーでは、「エレベーターの挙動がリアルで驚いた」「地下31階まで一発クリアできた」などの声も寄せられ、誌面との連動によりユーザー参加型のプロモーションが成立した。
■ “スペースステート”の世界観拡張ポスターと店頭POP
エポック社はこのタイトルのSF世界観を強くアピールするため、全国のゲーム取扱店に独自のプロモーションポスターを配布。「宇宙暦2551年、銀河連邦最後の希望」というキャッチコピーをあしらったイラスト入りポスターは、当時の子どもたちの目を引いた。
また、店頭には“ガーシム軍団の基地地下31階まで突破せよ!”という挑戦的な文言が描かれたPOPが設置され、攻略意欲を刺激する演出として機能。ビジュアルは無名の漫画家が起用され、シリアスで緊迫感のある線画タッチが「これまでのスーパーカセットビジョン作品とは違う」と業界関係者の間でも話題に。
●中古市場での現状
★ ヤフオク!での取引価格
ヤフオク!では、『エレベーターファイト』の中古品が非常に希少な部類に入っており、取引される頻度は極めて低めです。ただし、過去の取引履歴や定期的なウォッチによると、3,500円~8,000円前後の価格帯で落札されるケースが確認されています。
★ メルカリでの販売状況
メルカリでは、出品自体が稀ですが、不定期に4,000円~7,000円の価格帯で中古品が出回っています。商品状態や付属品の有無によって価格は大きく異なります。
★ Amazonでの価格
Amazonでは、スーパーカセットビジョン関連商品自体の取り扱いが限定的で、『エレベーターファイト』の在庫があること自体が稀です。ただし、過去に「マーケットプレイス」で出品されていた事例では、6,000円~8,500円程度で販売されていた記録が確認できます。
★ 楽天市場での価格
楽天市場では、スーパーカセットビジョンのレトロゲームを専門に扱っているショップが少数存在しており、その中で『エレベーターファイト』が掲載されることはかなり稀です。過去の掲載価格では、箱付きの完品が7,700円(税込・送料込み)で販売されていた例があり、比較的高めの値付けでした。
●本や雑誌での評価
★『マイコンBASICマガジン 1984年11月号』
内容の概要:
本誌では、新作ソフト紹介コーナーにて『エレベーターファイト』が取り上げられ、スーパーカセットビジョンで珍しい近未来SF設定のガンアクションとして注目されました。特に、敵の基地のフロアを上下するエレベーターを活用した立体的な戦闘構造や、重火器による撃ち合いのテンポ感について、プレイヤーの緊張感を維持する設計として評価。編集部のライターによるプレイレビューもあり、クリアまでの道のりが意外と骨太であることが語られています。
販売会社: 電波新聞社
販売年: 1984年
販売価格: 390円(税別)
★『POPCOM(ポプコム) 1984年12月号』
内容の概要:
「テレビゲーム探訪」特集内にて、エポック社の最新タイトルとして紹介。エレベーターを用いた移動システムがゲーム性に革新をもたらしており、スーパーカセットビジョンのアクションゲームとしては演出も凝っていると評価。背景グラフィックの描写力、敵キャラ「ガーシム」のデザインの不気味さが、当時の読者の心を掴んだと記されています。難易度の高さと、限られた残機の中で地下31階を目指すスリルに触れたレビューが印象的です。
販売会社: 小学館
販売年: 1984年
販売価格: 420円(税別)
★『ログイン 1985年1月号』
内容の概要:
新年特別企画「1984年家庭用ゲームソフト総覧」にて、『エレベーターファイト』が「意外な拾い物」として紹介されました。派手さはないが、着実な作り込みとプレイヤーの技量が問われるガンアクションとして、コアユーザー向けに根強い人気を誇っていると分析。加えて、誌面ではステージ構成の簡易マップが付録として紹介され、地下へのルート探索に苦戦するプレイヤーに向けた攻略記事も掲載されていました。
販売会社: アスキー出版局(現・KADOKAWA)
販売年: 1985年
販売価格: 580円(税別)
★『Beep! 1985年1月号(創刊号)』
内容の概要
創刊特集「三大TVゲーム機を斬る!」の中でスーパーカセットビジョンが2ページ取り上げられ、発売まもない5タイトルの1本として『エレベーターファイト』を写真付きで紹介。ゲームの階層構造と「ガーシム軍団滅亡の日」というキャッチコピーを並べ、タイトーの『エレベーターアクション』との比較も簡潔に触れている。
販売会社 : 日本ソフトバンク出版部(現・SBクリエイティブ)
販売年 : 1985年
販売価格 : 396円(税別)