
日本アニメーション 世界名作劇場主題歌・挿入歌大全集 第1集 [ (アニメーション) ]





【アニメのタイトル】:ミームいろいろ夢の旅
【製作】:日本アニメーション、TBS
【アニメの放送期間】:1983年4月3日~1985年9月29日
【放送話数】:全127話
【監督】:横田和善
【シリーズ構成】:黒田昌郎
【脚本】:一色伸幸、黒田昌郎 ほか
【キャラクターデザイン】:関修一、坂巻貞彦 ほか
【音楽】:渡辺岳夫
【監修】:糸川英夫
【絵コンテ】:岡部英二、鈴木孝義、高井誠
【美術監督】:吉原一輔、藤田勉、工藤剛一、石津節子、松宮正純 ほか
【音響監督】:藤野貞義
【放送局】:TBS系列
●概要
■ 親子で楽しむ科学ファンタジーの幕開け
1983年4月3日から1985年9月29日まで、TBS系列の日曜朝に放送されたアニメ『ミームいろいろ夢の旅』は、単なる子供向けアニメではなく、知的好奇心をくすぐる“教育と娯楽の融合”を目指した科学教養番組でした。本作は、アニメーション制作に定評のある日本アニメーションと、TBSの協力体制のもとで誕生。視聴者の心に優しく語りかけながら、科学の面白さを自然に伝えることに成功した作品として高い評価を受けました。
■ キャラクター「ミーム」と語る不思議な世界
物語の案内人であり、視聴者の分身とも言える存在が「ミーム」です。彼は、柔らかな外見とユーモアを持ち合わせたキャラクターで、子どもたちにとっては友達のような存在でした。毎回、科学に関するテーマを軸に旅を繰り広げ、視聴者を不思議な世界へ誘います。昆虫の生態や地球の成り立ち、人体のしくみから宇宙の構造に至るまで、ミームの語り口は、専門用語をかみ砕き、遊び心を添えてわかりやすく解説していきます。
■ 様々な分野にまたがる「夢の旅」
本作の特筆すべき点は、単なる科学知識の伝達に留まらず、視野の広がりを感じさせるテーマ設定にあります。たとえば、エジプトのピラミッドの建設方法や、恐竜時代の気候、海中探査の方法、細胞の中の仕組みなど、多彩なジャンルを横断的に扱っています。それぞれの回で取り上げられる題材は、教科書の枠を超えたスケールの大きな“知の冒険”でした。
■ 絵と動きで伝える科学:ビジュアルの力
アニメーションならではの表現手法が、本作をより魅力的なものにしています。難解な理論や見えない現象も、親しみやすいキャラクターや鮮やかな映像を通してビジュアル化され、子供たちに「見ることで理解する」体験を提供しました。例えば、顕微鏡でしか見えないミクロの世界を冒険する回では、まるでファンタジー作品のような演出で細胞やウイルスが擬人化され、理解を促します。
■ 子供の教育に寄与した社会的意義
このアニメは単なる娯楽作品ではなく、「考える力」「知りたいという意欲」「学びの楽しさ」を育むことを大きな目標として掲げていました。1984年には厚生省児童福祉文化奨励賞を受賞しており、その社会的意義が高く評価されています。教科の枠を超えた総合的な学びを提供する教材的価値があることも、受賞理由の一つといえるでしょう。
■ 家庭での学習支援ツールとしての役割
当時、この番組はテレビ放送と並行して家庭向けの学習支援ツールとしても利用されました。番組内で紹介されたテーマを、親子で調べたり話し合ったりすることで、家庭内での学びの時間が自然と増えていきました。また、一部学校でも視聴が推奨され、教育現場でも補助教材として使われたことがあります。
■ 幻となった映像ソフトとその背景
『ミームいろいろ夢の旅』は、放送当時にVHD(ビデオ・ハイ・ディフィニション)方式で全6巻が映像ソフト化されました。しかしこのVHDは市場に定着せず短命に終わり、その後製造も打ち切られました。結果として、番組全話を視聴できる手段は今日ほとんど残されておらず、再評価を望む声も多く聞かれます。現在、全話が手に入る映像メディアは存在していないため、当時の放送を録画した個人コレクションや記録が貴重な資料とされています。
■ 子供たちの記憶に残る“楽しく学ぶ”体験
放送当時、小学生だった視聴者たちの記憶の中に、『ミームいろいろ夢の旅』は“日曜の朝のワクワクする時間”として刻まれています。視覚的な面白さ、ミームの親しみやすさ、そして身近な不思議を解き明かす喜び——それらすべてが一体となって、科学への入口となる貴重な体験を提供しました。
■ まとめ:未来へ繋ぐ“科学の種”
『ミームいろいろ夢の旅』は、子どもたちに向けた科学の入口として、丁寧に、そして楽しく「知ることの面白さ」を伝えてきました。その試みは、単なる知識の提供にとどまらず、子どもたちの中に“学ぶ楽しさ”という種をまいたのです。そして、その種は時を越えて、多くの人々の知的好奇心を育てる原点となっています。
●あらすじ
■ 電子世界から現れた奇妙な友達「ミーム」
ある日、12歳の好奇心旺盛な少年・大介と、しっかり者の8歳の妹・さやかの前に、まるでテレビやパソコンの画面から抜け出してきたかのような、奇妙なピンク色の生物が姿を現す。その生物は「ミーム」と名乗り、言葉を話し、さらには髪の毛を自在に操って物をつかむという、まさに未知の存在だった。ミームはただのマスコットキャラではない。彼はあらゆる時代、あらゆる知識の次元へと導く、旅の案内人なのである。
この出会いがきっかけとなり、大介とさやかの生活は一変する。ミームの力で、彼らは一瞬にして現在から過去へ、現実から仮想へと移動できるようになるのだ。行き先はただ一つ、「知の世界」。歴史を彩った偉大な科学者や発明家、自然界の不思議な現象、そして人類が積み重ねてきた叡智が眠る舞台へと、彼らは毎回ワクワクする冒険へ旅立っていく。
●登場キャラクター・声優
●ミーム
声優:藤田淑子
ピンク色の髪を持ち、コンピュータの画面から現れる不思議な存在。彼女は科学の知識に精通しており、子供たちの疑問に対して的確な解説を提供します。その姿は親しみやすく、視聴者にとって科学の世界への案内人として描かれています。彼女の登場により、物語は科学的な探求と冒険が交差する魅力的な展開を見せます。
●大谷 大助
声優:神保なおみ → 小宮和枝
12歳の少年で、妹のさやかと共にミームと出会い、科学の旅に出発します。好奇心旺盛で、未知の事柄に対して積極的に関心を示す性格。物語の中で、彼の素朴な疑問が科学的な探求のきっかけとなり、視聴者と共に知識を深めていきます。
●大谷 さやか
声優:室井深雪
8歳の少女で、大助の妹。兄と共にミームと出会い、科学の世界を旅します。彼女の純粋な疑問や感受性が、物語に柔らかさと親しみやすさを加えています。兄妹のやり取りや、ミームとの交流を通じて、視聴者に科学の楽しさを伝える役割を果たしています。
●主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
●オープニング曲
曲名:「ポケット宇宙」
歌唱:山野さと子、コロムビアゆりかご会
作詞:武鹿悦子
作曲:渡辺岳夫
編曲:青木望
■ 無限の可能性を詰めた“ポケット”から始まる冒険
アニメ『ミームいろいろ夢の旅』の扉を開くのが、このオープニングテーマ「ポケット宇宙」である。本作の冒頭を彩るこの楽曲は、科学や歴史という広大な知識の宇宙へと飛び立つ子供たちの胸の高鳴りを、そのまま音楽として表現したようなきらめきに満ちている。
タイトルの「ポケット宇宙」は、子どもが何気なく持っている小さなポケットの中に、想像力と学びの世界が無限に広がっているという詩的な発想を元にしており、日常から非日常へとジャンプする“扉”の象徴でもある。手の中に収まるほどの小宇宙が、やがて銀河の果てまで広がる壮大な冒険の入り口になっていく──そんな希望と夢を秘めた言葉だ。
■ 詞に描かれる「科学のファンタジー」
作詞を手がけた武鹿悦子は、童謡からアニメソングまで幅広く活躍した作詞家であり、子どもの目線に寄り添いながらも、知性と感受性を引き出す言葉を綴る名手だ。「ポケット宇宙」においても、その特徴は存分に発揮されている。
たとえば、歌詞の中では「時間のトンネルをくぐって」や「星のささやきが聞こえる」といった、科学的要素と詩的なイメージが融合した表現が並ぶ。難解になりがちな“科学”というテーマを、やわらかく、夢のある言葉に置き換えて語っていく構成は、まさに教育アニメとしての本作の世界観にぴったりだ。
加えて「ポケット」という小さな存在を出発点にすることで、子ども自身がこの旅の主役であるという実感を抱かせてくれる。「ぼくの手のひら」「わたしのポケット」が、知識の銀河への出発点になる──そんな能動的な気持ちを育む詞世界が印象的だ。
■ 山野さと子とコロムビアゆりかご会の絶妙なハーモニー
メインボーカルを務めた山野さと子は、1980年代のアニメソングを代表する歌手の一人であり、優しさと明瞭さを兼ね備えたその歌声は、作品の雰囲気を柔らかく包み込んでくれる。彼女の透明感のある声質は、子供たちが耳を傾けやすく、親しみを抱く要因となっている。
加えて、児童合唱団「コロムビアゆりかご会」が歌に加わることで、楽曲全体が一層躍動的で明るくなっている。彼らの元気なコーラスが入る場面では、宇宙へと飛び出していくワクワク感が一気に広がる。童心と知的好奇心が交差するアニメの世界観を、音の面からもしっかりと支えている構成だ。
■ 作曲と編曲に込められた音の“教養”
作曲を担当したのは、アニメソング界の巨匠・渡辺岳夫。『機動戦士ガンダム』や『キャンディ・キャンディ』などで知られる彼の作風は、どこか懐かしく、しかし芯の通ったメロディーが特徴的だ。「ポケット宇宙」でもその手腕が光っており、子どもが自然と口ずさみたくなるような優しい音階の中に、重層的な広がりを感じさせてくれる。
編曲を手がけた青木望もまた、同時代のアニメ音楽に多く関わってきた実力派。彼による繊細なストリングスと打楽器のバランスは、曲全体に宇宙的なスケール感を持たせている。たとえばイントロ部分では軽やかなシンセサウンドが未来感を演出し、メインの旋律では木管と弦が融合して、知的かつ優しい響きを生み出す。こうしたアレンジは、単なるアニメ主題歌の域を超え、ひとつの“音楽教育作品”としても成立する完成度を誇る。
■ 視聴者の記憶に残る「学びのテーマソング」
当時『ミームいろいろ夢の旅』を視聴していた世代の多くは、「ポケット宇宙」を“学ぶことの楽しさ”と結び付けて記憶している。インターネット上の回想では、「この歌を聴くとノートを広げて何かを調べたくなった」「歌をきっかけに宇宙や科学に興味を持つようになった」といった声が複数見られる。
また、リズムが心地よく記憶に残りやすいため、数十年経った今でも「メロディーは口ずさめる」という人も多い。教養アニメという性質上、大ヒットアニメと比べて知名度は高くないが、それでもこの曲の持つインパクトは非常に強く、知的好奇心をくすぐる“入り口”としての役割を果たしてきたことは間違いない。
●エンディング曲
曲名:「ちいさいかわのうた」
歌唱:大杉久美子
作詞:武鹿悦子
作曲:渡辺岳夫
編曲:青木望
■ 一日の“旅”の終わりに流れる、静かな余韻
アニメ『ミームいろいろ夢の旅』における「ちいさいかわのうた」は、視聴者がその日の放送で得た知識や感動を静かに胸にしまい、次の世界へと想像をつなげる“エンディング”としての役割を果たしている。放送終了直前に流れるこの曲は、まるで温かい手のひらが子どもたちの背中を優しく撫でるような存在だ。
番組が終わり、物語の旅路が一段落した後、心にすっと沁み込むこのメロディは、視聴者にとって“知の冒険”を振り返るための時間でもある。忙しさやにぎやかさから一歩引いた、静謐で落ち着いた音楽のトーンが、日常と学びの世界を穏やかにつないでくれるのだ。
■ 「ちいさいかわ」が象徴するもの
この歌のタイトルである「ちいさいかわ」は、単なる自然の風景を描いているわけではない。それは、子どもの心に静かに流れる思索や感情、日々の成長を象徴したメタファーでもある。
詞の中には「そっと流れて やさしくつつむ」「どこか遠くへと続いてゆく」といった、抽象的だが詩情豊かな言葉が並ぶ。小さな川は、まだ完成されていない“知識の道”であり、これから大河へと成長していくプロセスを象徴しているのだ。その川を見つめる者──つまり子どもたち自身──もまた、その過程のなかで成長していく。
作詞を手がけた武鹿悦子は、こうした象徴表現に長けており、直接的な教訓ではなく、心象風景を通じて“学びの尊さ”を感じさせる構成が際立っている。
■ やさしさを歌に乗せた“大杉久美子”の表現力
この楽曲に命を吹き込んでいるのは、アニメソングの女王とも呼ばれる大杉久美子。彼女の歌声は、あたたかく包み込むような抒情性と、繊細な感情表現に定評がある。
「ちいさいかわのうた」においても、その実力は遺憾なく発揮されており、決して声を張ることなく、抑えたトーンで静かに語りかけるような歌い方が印象的だ。特にサビ部分では、微かなブレスや語尾の余韻が感情の揺らぎを丁寧に表現しており、まるで母親が子守唄を口ずさむような包容力を感じさせる。
その“語りかけるような歌声”は、視聴者に「今日の学びはどうだった?」と優しく問いかけるようであり、知識を一方的に与えるのではなく、子どもと一緒に感じ、考えるような関係性を築いてくれる。
■ 音楽的構成の美しさ
作曲を担当した渡辺岳夫は、多くの名作アニメに楽曲を提供してきた日本音楽界の巨匠。「ちいさいかわのうた」においても、そのメロディラインはシンプルながら深い余韻をもたらしてくれる。
曲は、短調を基調にしたやや物悲しげな導入から始まるが、後半では長調へと転調し、優しく包み込むような明るさを帯びてくる。この構成は、まるで川の流れのように、静かに始まり、心をあたためる光へと辿り着く流れを意識したものと考えられる。
青木望による編曲は、弦楽器やフルートを中心に、自然の音や空気の流れを想起させるような柔らかいサウンドに満ちている。特にフレーズ間に挟まれる控えめなストリングスの入り方や、ピアノの優しいタッチが、感情の起伏を支えており、まるで水面に落ちる一滴のしずくが波紋を広げていくような、繊細な演出となっている。
■ 視聴者の記憶に残る“余韻の名曲”
視聴者からの感想として多く見られるのが、「子ども心にこのエンディングを聴くと、なんだか胸がきゅんとした」「切なさと優しさが混じった不思議な気持ちになった」といった、感情的な共鳴の声である。
当時リアルタイムで観ていた世代は、大杉久美子の歌声に自然と涙が出たという声や、「学び」の最後をこの歌で締めくくられることで、頭と心の両方に“やすらぎ”が与えられていたと回想する人も多い。
特に印象的なのは、「自分の中に流れる“ちいさな川”がどこへ向かうのかを考えるきっかけになった」というコメントで、これはまさに楽曲の主題が視聴者に届いた証でもある。
●アニメの魅力とは?
■ 科学と歴史を旅する冒険
物語は、12歳の大助と8歳のさやかの兄妹が、パソコンの画面から現れた妖精ミームと出会うことから始まります。ミームの導きで、彼らは科学の世界へと旅立ち、ガリレオやニュートンなどの偉人たちと出会い、その功績や時代背景を学んでいきます。このように、実在の科学者や歴史的な出来事を取り上げることで、視聴者に科学や歴史への興味を喚起しました。
■ 作品の構成と変遷
本作は大きく前期と後期に分かれています。前期(第1話~第50話)は、大助とさやかの兄妹が中心となり、ミームと共に科学や歴史を学ぶエピソードが展開されます。後期(第51話~第127話)では、舞台が桜町に移り、科学探偵団と呼ばれる子供たちのグループが登場します。彼らはパソコンを駆使して問題を解決し、ミームと共に新たな冒険を繰り広げます。このように、作品は時代の変化や視聴者の興味に合わせて構成を変えながら、科学と冒険の物語を描き続けました。
■ 教育的価値と評価
『ミームいろいろ夢の旅』は、教育的な側面でも高く評価されています。1984年には児童福祉文化奨励賞を受賞し、子供たちの科学への関心を高める作品として認知されました。また、つくば科学万博とのタイアップも行われ、科学教育の一環としての役割も果たしました。視聴者からは、「科学者の試行錯誤の過程や当時の時代の様子を映しているところが面白い」といった感想も寄せられています。
■ キャラクターと声優陣
本作の魅力の一つは、個性豊かなキャラクターたちと、それを演じる声優陣です。ミーム役には藤田淑子さん、大助役には神保なおみさん、さやか役には室井深雪さんが起用され、彼らの演技が物語に深みを与えています。また、後期から登場する科学探偵団のメンバーたちも、それぞれの個性を活かして物語を盛り上げています。
■ 音楽と主題歌
作品のオープニングテーマ「ポケット宇宙」は、山野さと子さんとコロムビアゆりかご会が歌い、エンディングテーマ「ちいさいかわのうた」は大杉久美子さんが担当しました。これらの楽曲は、作品の世界観を彩り、視聴者の記憶に残る名曲として親しまれています。
●当時の視聴者の反応
■ 教育とエンターテインメントの融合:アニメの新たな試み
『ミームいろいろ夢の旅』は、科学をテーマにした教育アニメとして、子どもたちの好奇心を刺激することを目指しました。主人公の兄妹が、妖精のようなキャラクター「ミーム」と共に、科学者の頭の中を旅するという斬新な設定で、視聴者を引き込みました。このアプローチは、当時の教育番組としては革新的であり、アニメーションを通じて難解な科学の概念をわかりやすく伝えることに成功しました。
■ 視聴者の反応:リアルタイム世代の記憶
当時小学生だった視聴者にとって、『ミームいろいろ夢の旅』は日曜の楽しみの一つでした。科学というテーマにもかかわらず、物語性とキャラクターの魅力が相まって、多くの子どもたちが夢中になりました。特に、科学者たちの試行錯誤や時代背景を描いたエピソードは、視聴者の記憶に深く刻まれています。また、現代のテクノロジーを先取りした描写もあり、当時はSFのように感じられた内容が、現在では現実となっていることに驚きを覚える視聴者も少なくありません。
■ メディアと書籍での評価:教育的価値の再認識
放送当時、メディアや教育関係者からも高い評価を受けました。1984年には厚生省児童福祉文化奨励賞を受賞し、その教育的価値が認められました。また、教育現場でも教材としての活用が検討され、理科教育の補助教材としての可能性が注目されました。近年では、教育アニメとしての再評価が進み、科学教育の重要性が再認識される中で、再放送や配信が望まれる声も上がっています。
■ 現代における再評価:科学教育の原点として
近年、科学教育の重要性が再認識される中で、『ミームいろいろ夢の旅』のような教育アニメが再評価されています。特に、科学者の思考過程や時代背景を描いたエピソードは、現代の教育においても有用であると考えられています。また、インターネットや動画配信サービスの普及により、当時見逃した世代や新たな視聴者にもアクセスしやすくなっています。このような背景から、教育アニメとしての価値が再び注目されています。
■ 結びに:未来への道しるべとして
『ミームいろいろ夢の旅』は、科学教育とエンターテインメントを融合させた先駆的な作品として、多くの人々の記憶に残っています。当時の視聴者にとっては、科学への興味を育むきっかけとなり、現在の教育関係者にとっては、教育手法の一つとして参考になる作品です。未来の科学者や教育者を育てるためにも、このような教育アニメの存在意義は今後も続いていくことでしょう。
●声優について
■ ミーム(声:藤田淑子)
物語の中心となるキャラクター、ミームは、ピンク色の髪を持つ妖精のような存在で、科学の知識を豊富に持ち、子どもたちをさまざまな時代や場所へと導きます。その愛らしい外見と知的な振る舞いが特徴的です。
ミームの声を担当した藤田淑子さんは、明るく親しみやすい声質で、ミームの魅力を存分に引き出しました。彼女の演技は、子どもたちにとって科学を身近に感じさせる大きな要因となりました。藤田さんは、ミームのキャラクターについて、「子どもたちにとっての案内人として、優しさと知性を持ち合わせた存在を意識して演じた」と語っています。
■ 大谷大助(声:神保なおみ → 小宮和枝)
12歳の少年、大谷大助は、妹のさやかとともにミームと出会い、科学の旅に出かけます。好奇心旺盛で行動力のある性格が特徴です。
大助の声は、最初は神保なおみさんが担当し、その後、小宮和枝さんに引き継がれました。神保さんは、大助の元気さと少年らしさを表現し、小宮さんは、成長していく大助の内面を丁寧に演じました。小宮さんは、「大助の成長を感じながら演じることができたのは、貴重な経験だった」と述べています。
■ 大谷さやか(声:室井深雪)
8歳の少女、大谷さやかは、兄の大助とともにミームと出会い、科学の世界を旅します。好奇心旺盛で、時には兄をリードするしっかり者の一面も持っています。
さやかの声を担当した室井深雪さんは、彼女の無邪気さと芯の強さを見事に表現しました。室井さんは、「さやかの純粋な好奇心を大切にしながら演じた」と語っており、その演技は視聴者の共感を呼びました。
●イベントやメディア展開など
■ つくば科学万博とのタイアップ
1985年に開催されたつくば科学万博(国際科学技術博覧会)とのタイアップが行われ、番組の特別編が万博会場から生中継されました。これにより、番組の認知度がさらに高まり、科学への関心を持つ子どもたちにとって貴重な体験となりました。
■ 小笠原諸島からの生中継
1983年6月26日には、通信衛星「さくら2号a」の稼動を記念して、小笠原諸島からの生中継が行われました。この特別企画「ミーム小笠原に行く」では、衛星通信の実用化を紹介し、最新の通信技術を視聴者に伝える試みがなされました。
■ 音楽リリース
番組のオープニングテーマ「ポケット宇宙」は、山野さと子とコロムビアゆりかご会が歌い、エンディングテーマ「ちいさいかわのうた」は大杉久美子が担当しました。これらの楽曲はシングルとしてリリースされ、子どもたちの間で人気を博しました。
■ 書籍やグッズの販売
番組の人気を受けて、関連書籍やグッズも多数販売されました。例えば、番組の内容をまとめた書籍や、キャラクターのぬりえ、プレスシートなどが発売され、ファンのコレクションアイテムとして親しまれました。
●関連商品のまとめ
■ 映像関連商品:VHDビデオによる先進的アプローチ
● VHD全6巻セット(日本ビクター)
本作で最も注目された商品は、日本ビクターから発売されたVHD(Video High Density)ソフトである。VHDとは、レーザーディスクのような光学ディスクではなく静電容量方式を用いたビデオディスクで、専用プレイヤーで再生する方式の映像メディアであった。アニメ作品がVHD化された例は少なく、『ミーム』がそのひとつとして選ばれた背景には、教育的価値の高さと、学習教材としての活用を想定していたことがある。
教育機関や図書館などでも導入され、一部では授業の補助教材として使われていた記録もある。しかし、VHDプレイヤーの普及が進まなかったため、ソフトもまた市場から姿を消し、現在では極めて希少なコレクターズアイテムとなっている。
■ 書籍・学習誌:知的好奇心を刺激する出版展開
● 『ミームいろいろ夢の旅 科学ノート』(学習研究社)
アニメに登場した科学テーマをわかりやすくまとめた副読本的な書籍シリーズが、学習研究社から発売された。各巻にはアニメのエピソードをベースにしたイラストや、科学の豆知識、実験コーナーなどが掲載され、子供たちの家庭学習用教材として高い評価を得た。
巻頭には“ミームからのメッセージ”という挨拶文が添えられ、アニメの世界観を誌面でも体感できる構成
実験コーナーは、家庭にある道具でできる科学遊びが多く、親子のコミュニケーションを意識した内容だった
● 『ぼくらの科学大冒険・ミームの世界』全3巻(ポプラ社)
より低年齢層向けに書き下ろされた児童読み物シリーズ。ミームと大介、さやかの三人がさまざまな科学の世界を旅する物語を小説形式で再構成し、ストーリーと知識を融合させて展開していた。
■ 文房具・雑貨類:控えめながらも根強い人気
キャラクターアニメとしては異例ともいえる地味な展開ではあったが、一部の文具メーカーや教育用品会社との連携により、以下のようなアイテムが販売された。
● 学習ノート(ショウワノート)
「ミームいろいろ夢の旅 科学ノート」と題したキャラクター入りの自由帳・漢字帳・計算帳が発売され、表紙にはミームや大介・さやかのイラストが大きくプリントされていた。中には、「今日は何を発見した?」という欄が設けられており、子供が自主的に学びを記録するような仕掛けもあった。
● ステッカーシート&ぬりえ帳
ぬりえ帳は、全編が『ミーム』の各話の名シーンを線画で収録した構成で、色を塗りながらストーリーも追えるという趣向。ステッカーは“ミームが教えるひとこと豆知識”と題して、貼るだけで小さな科学の知恵を学べるデザインとなっていた。
■ 音楽メディア:主題歌ソノシートとレコード
● 『ポケット宇宙』/『ちいさいかわのうた』ソノシート(コロムビア)
当時の子供向けアニメでは定番となっていた“ソノシート”(薄型レコード)が、『ミーム』でも販売された。表面にはオープニングテーマ「ポケット宇宙」、裏面にはエンディング「ちいさいかわのうた」を収録。解説冊子には、作詞者・作曲者インタビューや歌詞の意味を解説したページもあり、読み物としての価値もあった。
● EPレコード/カセット版
シングルレコードとしてもリリースされ、演奏・歌唱はいずれもオリジナル音源。特に大杉久美子の「ちいさいかわのうた」は、静かな余韻と詩的な表現が評価され、子どもだけでなく保護者層にも受け入れられた。
■ . 教育イベント・タイアップ商品:教材の一環としての拡張
● 教育展示会・学習塾との連携
一部地域では、学習塾や科学イベントと連動した『ミーム』関連ワークショップが開催された記録がある。こうした場では、アニメのVHD映像を上映したのち、関連する実験キット(非売品)を使って体験学習を行う形式が多く、教材的な側面が強調された。
「ミームの宇宙たんけん」「かがくのふしぎショー」などのイベント名で展開
当日配布のプリントには、番組のイラストやキャラ解説が掲載されていた
■ レアアイテム・非売品グッズ:現代では幻となったプロダクト群
現在の収集家の間では、以下のような品が“幻のグッズ”として語られている。
● ミームのぬいぐるみ試作品(流通未確認)
関係者の証言によれば、主役キャラであるミームのぬいぐるみは試作段階まで制作されたが、販売には至らなかったとされる。理由は“知育作品としての品位を保つため”という当時の判断とも伝わっており、教育番組としての矜持が感じられるエピソードである。
● 番組スポンサー企業向けノベルティ
関係企業向けに配布された卓上カレンダーや販促用リーフレットも存在し、その一部はオークション市場などで極めて高値で取引されている。