
【中古】[FX] 卒業2 〜Neo Generation〜 FX リバーヒルソフト (19941223)
【メーカー】:リバーヒルソフト
【発売日】:1994年12月23日
【販売価格】:8,800円
【メディア】:CD-ROM
【ゲームジャンル】:シミュレーションゲーム
●概要
1994年5月27日にPC-9800シリーズ向けに初めてリリースされ、その後PC-FXを含む複数のプラットフォームに移植されました。PC-FX版は、NECの次世代機としてのローンチタイトルの一つであり、他のタイトルとともにPC-FXの初期ラインナップを飾りました。本作は、前作の基本的なゲームシステムを踏襲しつつ、新たな要素や改良を加えることで、より深いゲーム体験を提供しています。
■ ゲームシステムと特徴
プレイヤーは、清華女子高等学校の3年B組の担任教師として、5人の生徒を指導します。ゲームは1年間のスケジュールに基づいて進行し、平日は授業や課題を通じて生徒の学力や体力などのパラメータを向上させ、休日にはイベントや特別な活動が発生します。
本作では、生徒たちの座席配置を変更する「席替え」システムが導入されており、隣り合う生徒同士の相性や座席の前後関係によって、学習効果やストレスの蓄積度が変化します。また、生徒からの「好意」と「敬意」という2つのパラメータが設定されており、これらのバランスを考慮しながら指導を行うことが求められます。
■ キャラクター紹介
本作に登場する5人の生徒は、それぞれ異なる背景や性格を持ち、プレイヤーの指導によって成長していきます。
・石橋 美佐子(声優:南場千絵子):生徒会長であり、品行方正かつ成績優秀な優等生。しかし、協調性に欠ける一面もあり、他の生徒との関係に課題を抱えています。
・犬塚 さおり(声優:萩森侚子):関西出身の元気な少女で、ギャンブル好きという一風変わった趣味を持っています。明るく社交的な性格ですが、時に突飛な行動をとることもあります。
・シンディ桜井(声優:浦和めぐみ):ブラジルからの帰国子女で、明るく陽気な性格が特徴です。英語が得意で、異文化交流にも積極的に取り組みます。
・谷 由利佳(声優:鈴木砂織):天然系の性格で、時に突飛な発言や行動を見せます。しかし、数学が得意で、意外な一面を持っています。
・安田 舞奈(声優:中島千里):体力が低く、すぐに疲れてしまう傾向があります。しかし、根は真面目で努力家な一面もあり、適切な指導によって成長が期待できます。
また、プレイヤーのアドバイザーとして、校長(声:岸野幸正)が登場し、ゲームの進行をサポートします。
■ PC-FX版の特徴と改良点
PC-FX版では、パラメータの数値表示を減らし、生徒たちの表情や台詞から心理状態を読み取るシステムが導入されています。これにより、より直感的で感情移入しやすいゲームプレイが実現されています。また、ビジュアル面でも大幅な強化が行われ、豊富なイベントCGやアニメーションが追加されています。さらに、校長先生が新たなキャラクターとして登場し、プレイヤーへの助言やサポートを行います。
■ エンディングの多様性と評価システム
本作では、生徒たちの卒業後の進路や関係性に応じて、複数のエンディングが用意されています。一流大学への進学、就職、結婚、フリーターなど、プレイヤーの指導によって様々な結末が待っています。また、プレイヤー自身の評価も「完璧教師」「優秀教師」「エロ教師」など、多岐にわたります。
■ 総評
前作の魅力を継承しつつ、新たな要素や改良を加えることで、より深いゲーム体験を提供しています。生徒たちの個性や成長を見守りながら、教師としての責任を果たす過程は、プレイヤーにとって感動的な体験となるでしょう。また、PC-FX版ならではの演出やシステムの改良により、シリーズファンだけでなく、新たなプレイヤーにもおすすめできる作品です。
●ゲームの魅力とは?
■ 教師としての1年間をリアルに体験――プレイヤーの役割と物語構造
プレイヤーは、名門・清華女子高校に新任教師として赴任し、5人の個性的な女子生徒を指導する役目を担う。彼女たちはいずれも問題を抱える「問題児」として設定されており、学力・体力・芸術性・気配りといった多様なパラメーターを持つ。
この作品の最大の特徴は「1年間という時間の流れ」を強く意識させる構成だ。平日は授業・指導、週末は外出や特訓、季節ごとのイベント、そして進路指導と、現実世界の学校生活を模したようなリズムで展開する。行動一つひとつが彼女たちの未来を形作っていくという実感があり、プレイヤー自身が“教育”を通して成長を体験するシステムが構築されている。
■ 個性あふれる5人のヒロインたち――感情移入を誘うキャラクター描写
登場する5人の女子生徒は、容姿・性格・背景ともに緻密に作り込まれており、いずれも一癖あるが魅力的なキャラクターとしてプレイヤーに深い印象を残す。
自由奔放な天才少女
家庭の事情を抱えた繊細な少女
人間関係に不器用な孤高の天才
自信がなく消極的だが努力家
リーダー気質で面倒見のよい姉御肌
彼女たちとの会話や行動はフルボイスで展開し、PC-FXの性能を活かしたグラフィックと音声演出により、まるで実際に生徒と向き合っているかのような臨場感を演出している。時折見せる小さな変化――笑顔、照れ、怒り――が積み重なり、プレイヤーの心に深く残るのだ。
■ 教育とは選択の連続――プレイスタイルが運命を変える戦略性
本作において、プレイヤーの一挙手一投足が生徒たちの成長に直結する。授業の指導方針、休日の行動予定、進路へのアドバイスなど、細かく選べる要素が多く、単なる育成SLGとは一線を画す奥深さがある。
また、「厳しく叱る」「優しく励ます」「一緒に悩む」といった教師としてのスタンスも重要で、どのような関わり方を選ぶかで生徒たちの信頼度や行動が変化する。スケジュールの管理だけでなく、“人間としてどう向き合うか”という問いを投げかけてくるのが本作の醍醐味だ。
■ 恋愛だけじゃない、人間ドラマの深み――感動と涙のエンディングへ
『卒業II』が高く評価された理由の一つに、“恋愛一辺倒ではないストーリー展開”がある。たしかに、好感度を高めればエンディングで特別な関係になることも可能だが、それ以上に注目すべきは、「夢に向かって巣立っていく生徒たちの背中を見送る教師の気持ち」が強調されている点だ。
卒業式で涙を流すヒロインの姿や、教師への最後の一言など、感情を揺さぶる演出が随所に散りばめられており、プレイヤーは“別れの美学”という普遍的なテーマに触れることになる。単なる「攻略対象」ではなく、“人生を共に歩んだ教え子”としての存在感があるのだ。
■ PC-FXという舞台装置――ハード性能を活かした映像と演出
PC-FXはCD-ROMによる映像処理と音声再生に強みを持ったハードであったが、当時としては珍しい“動画志向型”のゲーム機だった。その特性を活かし、『卒業II Neo Generation』ではアニメーションの挿入やフルボイスシーン、効果的なBGM演出が随所に取り入れられている。
グラフィックはアニメ調の美しい2Dを基調としており、カットインや背景美術も丁寧に作られていた。音楽はシーンごとの感情に寄り添ったメロディで構成されており、特に卒業式や告白イベントのBGMは感動的だと評判が高かった。
■ メディア評価とプレイヤーの反応――静かな名作としての存在感
発売当時、PC-FXというマイナーなプラットフォームであったこともあり、メディア露出は限られていたが、ゲーム雑誌では「教育シミュレーションとしての完成度の高さ」「キャラの掘り下げが深く、感情移入しやすい」といった好意的な評価が目立った。
また、後年には「埋もれた良作」としてネット掲示板やブログで再評価される動きもあり、特にシリーズファンからは“最も心に残る卒業作品”として挙げられることもある。中古市場では希少性もあり、未開封品は高値で取引されることも。
■ 『卒業II』が与えた影響と今なお語られる理由
『卒業II Neo Generation』は、単なる美少女ゲームではない。「教育とは何か」「信頼とは何か」「別れとは何か」という深いテーマを内包し、システムと演出の両面でプレイヤーに問いかけるタイトルだった。
その後もシリーズは続いたが、PC-FX版ならではの映像演出やキャラクター描写の丁寧さは、独自の価値を放ち続けている。ゲームとしてのバランスだけでなく、人生を描く“人間ドラマ”としての側面においても、後世に語り継がれる作品と言えるだろう。
●感想や評判
■ キャラクターデザインの変更:
前作の竹井正樹から、漫画家のこばやしひよこに変更され、キャラクターの雰囲気が一新されました。
■ 座席配置システムの導入:
生徒の座席を変更することで、学習効果や生徒同士の相性に影響を与える新システムが追加されました。
■ 好意と敬意のパラメータ:
生徒が教師に対して抱く「好意」と「敬意」が別々に設定され、指導方針やイベントに影響を与えるようになりました。
■ キャラクターの個性について:
前作に比べて生徒たちの個性が控えめになったとの意見があり、特に前作の強烈なキャラクター性を好んでいたプレイヤーからは物足りなさを感じる声もありました。
■ ゲームシステムの進化:
座席配置やパラメータ管理など、新たなシステムが追加されたことで、より深い戦略性が求められるようになり、やりごたえが増したとの評価がありました。
■ イベントの多様性:
体育祭や文化祭などのイベントが豊富に用意されており、プレイヤーは生徒たちとの関係性を深めながら、さまざまなシチュエーションを楽しむことができました。
■ システム面の進化:
前作からの改良点として、ユーザーインターフェイスの向上や新システムの導入が挙げられ、プレイしやすさが向上したとの評価がありました。
■ シナリオの評価:
一方で、シナリオ面では前作の焼き直し感が否めず、革新性に欠けるとの指摘もありました。
●イベントやメディア展開など
■ プロモーションイベントの展開
『卒業II Neo Generation』の発売に合わせて、リバーヒルソフトは多岐にわたるプロモーションイベントを実施しました。特に注目されたのは、東京・秋葉原で開催された発売記念イベントで、声優陣によるトークショーやサイン会が行われ、多くのファンが詰めかけました。また、ゲームショップとのタイアップ企画として、購入者特典として限定ポスターやクリアファイルが配布され、コレクター心をくすぐる仕掛けが施されていました。
■ メディア展開とその影響
本作は、ゲーム雑誌やアニメ雑誌での特集記事が組まれ、キャラクター紹介や開発者インタビューが掲載されました。特に、当時人気を博していた『ファミ通』や『電撃PCエンジン』では、表紙を飾るなど大々的に取り上げられました。さらに、ラジオ番組との連動企画として、主要キャラクターの声優がパーソナリティを務める番組が放送され、ゲームの世界観を広げる試みがなされました。
■ ファンの反応とコミュニティの形成
『卒業II Neo Generation』は、発売直後からファンの間で話題となり、インターネット掲示板や同人誌即売会での交流が活発化しました。特に、キャラクターごとのエンディング分岐や隠し要素の情報交換が盛んに行われ、攻略本やファンブックの需要が高まりました。また、同人誌即売会では、本作を題材とした二次創作作品が多数出展され、ファンコミュニティの拡大に寄与しました。
■ 続編や関連作品への影響
『卒業II Neo Generation』の成功を受けて、リバーヒルソフトは続編やスピンオフ作品の開発に着手しました。その中でも、セガサターン版やプレイステーション版への移植が行われ、より多くのユーザーに本作が届くこととなりました。また、キャラクター人気に着目したドラマCDや小説版の展開も行われ、メディアミックス戦略が功を奏しました。
●中古市場での現状
■ Yahoo!オークション
Yahoo!オークションでは、状態や付属品の有無により価格が変動しますが、以下のような価格帯で取引されています。
中古品(状態良好):約1,000円~1,500円
未使用品・未開封品:約2,000円~5,000円
特に、帯や説明書、アンケートハガキなどの付属品が揃っている場合や、未開封品はプレミアム価格が付く傾向にあります。
■ 他機種版との価格比較
『卒業II Neo Generation』は、PC-FX版のほかにもPCエンジンやセガサターン、プレイステーションなどで発売されました。それぞれの機種での中古価格は以下の通りです。
PCエンジン版
中古品(状態良好):約1,000円~3,000円
未使用品・未開封品:約5,000円~10,000円
セガサターン版
中古品(状態良好):約500円~1,500円
プレイステーション版
中古品(状態良好):約500円~1,000円
PC-FX版と比較すると、他機種版は流通量が多いため、比較的安価で入手可能です。
●本や雑誌での評価
★『PC Engine FAN』(徳間書店)1994年12月号・1995年1月号
内容:PC-FX特集にて『卒業II Neo Generation』を数ページにわたり取り上げ。キャラクターのビジュアル紹介、開発者インタビュー、育成システムの解説、発売直前情報などが掲載された。PC-FXにおけるキラータイトルとして強く推されていた。
販売会社:徳間書店
販売年:1994年・1995年
販売価格:定価490円(当時)
本誌では“PC-FXで今最も期待される育成ゲーム”として紹介され、リバーヒルソフトのブランド性やシナリオ性を高く評価していた。読者投稿コーナーでも「待望の卒業シリーズ最新作」という声が複数紹介されていた。
★『電撃PCエンジン』1995年1月号(メディアワークス)
内容:レビュー記事とともにキャラクターの魅力、エンディングの分岐構造、教師としての立ち位置の斬新さなどを中心に詳細な分析が掲載。編集部の女性記者によるプレイ日記も掲載され、ゲームに対する多角的な視点が提供された。
販売会社:メディアワークス
販売年:1995年
販売価格:定価550円(当時)
特に“女性プレイヤーも楽しめる育成SLG”として紹介された点が他誌と異なる視点で、家庭用ゲーム雑誌でのバランス感ある評価として注目された。
★『BEEP! メガドライブ増刊 PC-FX特集号』(ソフトバンク)
内容:PC-FXの新作ソフトラインナップとして『卒業II』をカラー1ページで紹介。簡易システム解説、ビジュアル、登場キャラクター5人のプロフィールが掲載。
販売会社:ソフトバンク
販売年:1994年末
販売価格:定価580円
ページ数は少ないものの、“アニメファン向け”という切り口で、同時期のPC-FXアニメ系ソフトとの比較としても掲載された。
★『The卒業II Neo Generation スペシャルパック』(販促用限定冊子)
内容:一部の店舗で配布された予約者特典冊子。キャラクター設定資料やミニインタビュー、学校設定、ゲームの一部イベントCGのラフ画などが収録。
販売会社:リバーヒルソフト(制作協力:NECアベニュー)
販売年:1994年
販売価格:非売品(予約特典)
流通数が非常に少なく、現在ではマニア向けのコレクターズアイテム。オークションでもほとんど出回らず、ゲーム本体よりも高値で取引されることもある。
★『Graduation II ~Neo Generation~ メモリアル・ブック』
内容:1995年頃、イベント会場で限定販売されたファン向けビジュアルブック。声優座談会や、ユーザー投稿のキャライラスト、開発秘話など盛りだくさんの内容。
販売会社:非公式ファンプロジェクト(流通元不明)
販売年:1995年頃
販売価格:当時1,000円程度
ゲーム公式というよりも、コアファンが中心となって発行したとされ、PC-FXファンイベントでの限定販売。内容の密度が濃く、ファンにとっては幻の書物とも言われる存在。
★『卒業II Neo Generation 原画集』
内容:本書は、キャラクターデザインを担当したこばやしひよこ氏による原画を収録したイラスト集です。ゲーム内で使用されたビジュアルや未公開のラフスケッチなど、ファン必携の内容となっています。
販売会社:ぴよこ屋(こばやしひよこ個人サークル)
★『卒業II Neo Generation 小説版(全4巻)』
内容:ゲームのストーリーを基にした小説で、各巻ごとに季節をテーマにした物語が展開されます。
販売会社:角川スニーカー文庫
販売年:1994年3月~1995年5月
ゲームでは描ききれなかったキャラクターの内面やエピソードが深く掘り下げられています。