
名探偵ホームズ Blu-ray BOX【Blu-ray】 [ アーサー・コナン・ドイル ]





【アニメのタイトル】:名探偵ホームズ
【原作】:アーサー・コナン・ドイル
【アニメの放送期間】:1984年11月6日~1985年5月20日
【放送話数】:全26話
【監督】:御厨恭輔、宮崎駿
【シリーズ構成】:山崎敬之、島崎真弓
【キャラクターデザイン】:近藤喜文
【音楽】:羽田健太郎
【作画監督】:近藤喜文、丹内司、山内昇寿郎、田中平八郎、柳野龍男、友永和秀、北原健雄
【美術監督】:影山仁、山本二三
【制作】:東京ムービー新社、RAI、REVER
【制作協力】:東京ムービー、ぎゃろっぷ、テレコム・アニメーションフィルム
【放送局】:テレビ朝日系列
●概要
■ 犬たちが駆け巡るロンドンの謎
1984年11月から1985年5月まで、テレビ朝日系列にて放送された『名探偵ホームズ』は、コナン・ドイルが生んだ世界的な名探偵の物語を、新たな視点から生き生きと描いたテレビアニメ作品です。放送回数は全26話(うち未放送2話)、制作には日本アニメーションと東京ムービー新社(現在のトムス・エンタテインメント)が関わり、世界中のファンからも注目を集める作品となりました。
■ 名作文学とアニメーションの融合
斬新な世界観の構築
本作の最大の特徴は、原作小説『シャーロック・ホームズ』シリーズをベースとしながらも、キャラクターや設定を大幅にアレンジしている点にあります。登場人物は全員が擬人化された犬として描かれ、ストーリーは子どもでも楽しめるようユーモアと冒険心に富んだ展開が中心となっています。
この独特の世界観は、従来のホームズ像に新たな息吹を与え、ファミリー層を中心に幅広い支持を獲得しました。物語の舞台は19世紀末のロンドンですが、機械仕掛けの乗り物や奇抜な発明品が登場するなど、スチームパンク的な要素も含まれています。
■ スタッフ陣と制作体制
日英の才能が交錯した作品
『名探偵ホームズ』の制作には、当時のアニメーション業界を代表するクリエイターたちが携わっており、その中には後にスタジオジブリを立ち上げる宮崎駿監督の名もあります。宮崎氏は放送されたエピソードのうち、第4話・第5話・第9話・第10話を担当し、映画のような密度のある描写と躍動感のあるアクションで高く評価されました。
また、音楽には風間真が参加し、クラシカルかつ軽快なメロディが、19世紀ロンドンの雰囲気を一層引き立てています。オープニングテーマ「空からこぼれたSTORY」はダ・カーポが歌唱し、その優しくもノスタルジックなメロディが今なお多くのファンに愛されています。
■ 主な登場キャラクターたち
シャーロック・ホームズ
主人公であり名探偵。抜群の観察力と推理力を持ち、ロンドン中の事件に挑む知性派。犬種はフォックス・テリア風に描かれており、冷静さの中に好奇心と行動力を兼ね備えています。
ドクター・ワトソン
ホームズの良き相棒であり、医師。物語の語り手のような役割を果たし、ホームズの行動を補佐しつつ、視聴者の視点に近い立場でストーリーを導いていきます。
ハドソン夫人
ホームズとワトソンが間借りするベイカー街221Bの下宿の女主人。若々しく美しい女性として描かれ、気風の良さが魅力。
モリアーティ教授
シリーズを通しての最大の敵。犯罪界の天才と呼ばれ、様々な策略を巡らせてロンドンを混乱させます。部下であるトッドとスマイリーと共に、毎回ホームズと対決します。
トッド & スマイリー
モリアーティ教授の忠実な部下。ドジで間抜けな面もあり、時にコミカルな役割を担っていますが、悪事には手を抜きません。
■ 子ども向けながらも知的で丁寧な構成
『名探偵ホームズ』は基本的に1話完結型の構成で、毎回新たな事件とその解決が描かれます。ホームズとワトソンが協力しながら難事件を解き明かす流れは、原作における探偵小説の構造を踏襲しつつ、視覚的なギャグやスラップスティックな要素でテンポよく進行します。
子どもでも理解しやすいように工夫されたシナリオと演出は、教育的な観点からも評価され、知的好奇心を刺激する内容として保護者からも好意的に受け入れられました。
■ 放送当時の反響とその後の再評価
当時の視聴者からは「楽しい」「テンポが良い」「登場人物が魅力的」などの声が寄せられ、放送終了後も根強いファンを獲得していきました。特に宮崎駿が関わったエピソードは「ジブリ的ホームズ」としてファンの間で語り草となり、再放送やパッケージ化によって何度もリバイバルされています。
日本国内だけでなく、海外でも放送され、特にイタリアやフランスでは高い人気を博しました。イタリアでは「Il fiuto di Sherlock Holmes」というタイトルで親しまれ、宮崎エピソードを中心に放送されたこともあります。
■ 映像ソフト化とリマスター展開
作品の人気を受けて、以下のような形でパッケージ展開もされています。
★LD-BOX(1991年発売)
最初に全話が映像ソフトとしてまとめられたのはレーザーディスク版で、アニメファンのコレクターを中心に人気を集めました。
★DVD-BOX(2001年発売)
初のデジタルリマスター化による高画質での発売。特典映像や解説書が同梱され、ファンアイテムとしても完成度の高い商品となりました。
★Blu-ray BOX(2014年発売)
HDリマスターを施したBlu-ray版は、映像の鮮明さだけでなく音質の向上も図られた決定版ともいえる内容。新規特典や封入ブックレットなども魅力で、新旧ファンの心をつかみました。
■ なぜ今も愛されるのか:名探偵ホームズの魅力
アニメ『名探偵ホームズ』が放送から40年近く経った今もなお支持されている理由には、次のような要素が挙げられます。
親しみやすいキャラクター造形と動物アプローチ
犬として描かれた登場人物はビジュアル的にも可愛らしく、子どもでも受け入れやすい。
テンポの良いストーリー展開と完成度の高い演出
宮崎駿をはじめとするトップクリエイターが関わったことで、1話ごとのクオリティが非常に高い。
大人も楽しめる内容の深さ
子ども向けに作られてはいるものの、探偵ものとしての論理性や、19世紀の英国風情を生かした演出は大人にも訴求力があります。
繰り返し観ても飽きない演出とアニメーション
小気味よい音楽、リズミカルな作画、そして笑いと緊張のバランスが絶妙で、何度見ても発見があります。
■ 古典を軽やかに再構築したアニメーションの傑作
『名探偵ホームズ』は、原作の持つ推理の楽しさとキャラクターの魅力を、新しい解釈とビジュアルで子どもから大人まで広く伝えることに成功したアニメ作品です。その世界観、演出、音楽、脚本のバランスは、今見てもなお色あせることがありません。
過去の名作に敬意を払いながらも、時代に合った柔軟なアプローチで物語を構築した『名探偵ホームズ』は、アニメ史においても特筆すべき存在であり、今後も世代を超えて語り継がれていくことでしょう。
●あらすじ
■ 犬の紳士が織り成す「新たなベーカー街」
霧に包まれた19世紀のロンドン。ベーカー街221Bに住むのは、パイプがトレードマークの名探偵ホームズ(犬)。高い知能と観察眼を持ち、助手ワトソン医師(同じく犬)とともに、ロンドン中に渦巻く難事件の数々に挑む。彼らを取り巻く人物もすべて犬型キャラクターで、原作の厳粛な雰囲気から一転、コミカルかつ親しみやすい世界観が築かれている。
本作は、毎回起こる問題をホームズが推理し、容疑者を追い詰め、悪の計画を粉砕する「事件解決の一連の流れ」がベース。原作シャーロック・ホームズの設定を踏襲しつつ、アニメらしいアクションやコメディ要素がふんだんに盛り込まれている。全26話を通じて物語は展開し、視聴者を飽きさせないテンポで「今日もロンドンに平穏を取り戻す」冒険が繰り返されていく。
■ 容赦なき“宿敵”モリアーティとの頭脳戦
ホームズの前に立ちはだかるのは、原作にも登場する“悪の天才科学者”モリアーティ教授。シルクハットにマントをたなびかせ、独自の発明機械や策略を用いてロンドンを混乱に陥れようとする。貧しさゆえの執着なのか、いつのまにか「ホームズを打ち負かすこと」が彼の最大の目的となり、両者の頭脳戦は本作の大きな見どころとなっている。
モリアーティのもとには、元海賊の手下トッドとスマイリーなど、個性的な悪党キャラクターが控えており、彼らとの追跡・逃走劇には軽快なユーモアと緊張感が同居。視覚的にも躍動感ある映像が展開され、まるで活劇やコメディを見ているような爽快さが漂う。ときには子どもでも楽しめるエピソードが取り入れられることで、「推理+アクション+笑い」のバランスが非常にオリジナルであり、本作独自の魅力を構築している。
●登場キャラクター・声優
●シャーロック・ホームズ
声優:広川太一郎
明敏な頭脳と正義感を併せ持つ私立探偵。いつも事務所に籠るタイプではなく、自慢の“プロト・ベンツ”を自在に操って現場へひとっ飛び。パイプの煙をくゆらせつつ、状況を的確に分析する姿が印象的。依頼人には思いやりを示しつつ、上流階級には媚びないクールさも持ち合わせる。
●ジョン・ワトソン
声優:富田耕生
頼れる相棒で、医師という肩書きだが、本編ではむしろ現場同行が役回り。ふくよかな体格と親しみやすい人柄で、ハドソン夫人にも好かれる温厚な人物。ホームズが依頼を受ける場には必ず同行し、次回予告のナレーションも担当していた。
●ハドソン夫人(マリー・ハドソン)
声優:麻上洋子
ホームズとワトソンの下宿先の若き未亡人。家庭的で掃除・料理が得意、庭いじりも好む。一見おしとやかな令嬢然としているが、実は度胸があり、一度誘拐されても平然と対処。
●モリアーティ教授
声優:大塚周夫
“悪の天才”を自称するものの、どこか愛嬌ある犯罪学者。狼のような面相に片眼鏡、白いシルクハットとマントがトレードマーク。緻密な計画を立てるが、最後は勢い任せになることも多い。部下のスマイリーやトッドには手を焼きつつも、憎めない存在。ハドソン夫人には特別な感情を抱いている様子も見られる。
●スマイリー
声優:千田光男
海賊出身の一味の一員。長身でやや頼りなさげだが、心優しく、仲間思い。特にトッドを兄貴のように慕い、ハドソン夫人を守ろうとした場面も。
●トッド
声優:増岡弘
スマイリーと並び元ベンガル海賊。一味屈指のメカニック担当で、車や飛行機の操縦が得意。頼りがいのある“策士”だが、どこか抜けていてドジな面も。スマイリーには常に気を配り、多人数をまとめるしっかりもの。
●レストレード警部
声優:飯塚昭三
ブルドッグ顔を思わせる熱血漢で、ロンドンの治安を守ろうと情熱を燃やす警部。大量の警官を率いて捜査にあたるが、しばしばホームズに先を越されることも。正義感は人一倍だが、少々空回り気味な行動も。
●主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
●オープニング曲
曲名:「空からこぼれたSTORY」
歌手:ダ・カーポ
作詞:三浦徳子
作曲:佐藤健
編曲:福井峻
■ 幻想と冒険が交差する、オープニングにふさわしい楽曲
アニメ『名探偵ホームズ』のオープニングテーマ「空からこぼれたSTORY」は、その作品世界の扉を開くにふさわしい、幻想的でありながらも希望に満ちたメロディと詞が融合した名曲です。物語の舞台となる19世紀末のロンドンを思わせるクラシカルな雰囲気を持ちながら、どこか現代的な透明感も感じさせるこの楽曲は、放送当時の視聴者はもちろん、今なお懐かしさとともに語り継がれています。
■ 作詞者・作曲者のセンスが光る物語性のある構成
「空からこぼれたSTORY」というタイトル自体が詩的で、聴き手に「何か特別な物語が始まる」という予感を抱かせます。作詞を担当した三浦徳子は、数々のアニメ・ポップスのヒット曲を手がけてきた名手であり、彼女の紡ぐ言葉には、どこか懐かしさと優しさ、そして繊細な叙情性があります。
冒頭から描かれるのは、まるで雲の隙間から舞い降りてくる夢の断片。ひとつひとつの言葉が、まるで風景画のように情景を立ち上げ、物語世界へ自然に導いてくれる構成になっています。
作曲の佐藤健による旋律は、軽やかさの中に叙情的な深みを備えており、メロディラインの起伏は探偵譚にふさわしいドラマチックさを秘めています。特にサビに至る盛り上がりは、まさに物語の高揚感と呼応するように構築されており、聴く者の心を掴んで離しません。
■ 編曲の巧みさ
クラシカルとモダンの融合
編曲を担当した福井峻の手腕も、楽曲における魅力の大きな要因です。クラシック音楽のテイストを含ませつつ、現代的なリズムや構成も取り入れられており、作品の舞台設定と視聴者層の両方にマッチしています。
例えば、ピアノとストリングスによるイントロは、霧の都ロンドンの冷たくも美しい空気を感じさせ、徐々にリズムが加速していく中で、冒険が始まる高揚感を演出しています。ブラスセクションの控えめな使い方も、曲に上品さと奥行きを加えています。
■ ダ・カーポによる歌唱
優しさと語り口の絶妙なバランス
本楽曲を歌うのは、夫婦デュオとしても知られるダ・カーポ。彼らのハーモニーは、単に美しいだけでなく、どこか親しみを感じさせる語りかけのような温かさを持っています。特に女性ボーカルの優しく包み込むような声は、子どもから大人まで安心して聴ける“ナレーション”のような魅力を持ち、歌詞のひとつひとつがまるで物語の一節であるかのように感じられます。
さらに、サビでは二人の声が重なり、まるでホームズとワトソンの冒険の旅路を見守るような包容力が生まれています。まさに、作品と歌が一体化しているといえる歌唱です。
■ 歌詞の概要
希望、夢、そして日常のきらめき
歌詞の中で繰り返し登場するのは、“夢”や“空”、“物語”といったワード。これらは子どもたちの想像力を刺激し、日常を超えた“非日常”の世界へと飛び込むきっかけを与えてくれます。特に印象的なのは、見上げた空から物語が「こぼれてくる」という比喩的な表現。これは、何気ない日常の中にも冒険のきっかけが潜んでいるというメッセージとしても解釈できます。
また、歌詞全体には、「過去から未来へと続く不思議な出会い」や「小さな勇気の積み重ね」が描かれており、ただのオープニングソングを超えて、“人生賛歌”としての一面も持っています。
■ 視聴者の声
懐かしさとともに心に残る一曲
本曲が流れるたびに、多くの視聴者はテレビの前で胸を高鳴らせたことでしょう。当時の子どもたちにとっては、これから始まるワクワクする推理劇への期待を高めてくれるものであり、大人になってから改めて聴くと、その優しい音色とメッセージ性に、胸がじんわりと温かくなるという声が多く聞かれます。
近年ではYouTubeや配信サービスでも改めて注目されており、「子どものころの思い出がよみがえる」「この歌を聴くと当時の自分に戻れる」といった感想がネット上でも多数見受けられます。中には、「この曲がきっかけで音楽に興味を持った」「オーケストラで聴いてみたい」という熱心なファンの声もあります。
■ 『名探偵ホームズ』という作品の顔として
「空からこぼれたSTORY」は、単なるアニメの主題歌という枠を超え、作品全体の世界観やテーマを見事に代弁した“音のプロローグ”ともいえる存在です。アニメソングの中には時代とともに忘れ去られるものも少なくありませんが、この曲は40年近く経った今でも多くの人の記憶に鮮明に残り続けています。
それはひとえに、作詞・作曲・編曲・歌唱のすべてが作品と調和し、視聴者の心に響く完成度を持っていたからでしょう。まさに、“空からこぼれた”かのように偶然と奇跡が重なって生まれた一曲。そんな感動を今一度、耳を澄まして感じてみてはいかがでしょうか。
●エンディング曲
曲名:テームズ河のDANCE
歌手:ダ・カーポ
作詞:三浦徳子
作曲:山中のりまさ
編曲:福井峻
■ ロンドンの夜風に包まれるような余韻
アニメ『名探偵ホームズ』のエンディングテーマ「テームズ河のDANCE」は、作品全体の雰囲気をやさしく包み込むような、情緒あふれるナンバーとして知られています。エンディングとは、視聴者にその回の物語をじんわりと噛み締めさせる役割を持つものですが、本曲はその“余韻”の醸成に極めて大きな効果を果たしています。
ロンドンを流れるテームズ河の名を冠したこの楽曲は、19世紀末の幻想と現実が入り混じる舞台を象徴しながら、心地よいメロディと詩情で一日の冒険の幕を下ろします。
■ 作詞者・作曲者のコンビが生む、詩と旋律の調和
作詞を手掛けた三浦徳子は、オープニング曲「空からこぼれたSTORY」と同じく、アニメ音楽における抒情表現の名手。その語彙の選び方や構成の巧妙さは、まるで文学のような情緒を楽曲に宿らせます。
一方、作曲を担当した山中のりまさは、柔らかな音階としっとりしたメロディ構成を得意とする作曲家。本楽曲では、決して派手さはありませんが、夜の河岸にふさわしい穏やかで、しかし少しのメランコリーを感じさせる旋律を見事に仕上げています。
特に印象的なのは、AメロからBメロ、サビへの展開がゆったりとしていること。急がず、まるで散歩するかのようなリズムは、テームズ河の穏やかな水面を思わせ、視聴者の心を自然に静けさへ導いてくれるのです。
■ 福井峻のアレンジが描く、音の情景詩
編曲を担当した福井峻は、クラシカルな構成と現代的センスを両立させる職人です。この楽曲では、リズムセクションを極力抑え、ピアノやストリングスを主体とした静謐な音作りがなされています。間奏部では、ハープや木管がそっと顔を覗かせ、まるで月光が水面を揺らすかのような繊細さを感じさせます。
さらに、ラストに向けてのコード展開はややジャズ寄りの色合いを持ち、子ども向けアニメとは思えない大人びた印象をも演出。この“音の洒落っ気”が、視聴者の耳に長く残る余韻をつくっているのです。
■ ダ・カーポの歌声が奏でる、心の調べ
歌唱を担当するのは、オープニング同様に夫婦デュオのダ・カーポ。彼らの温かな歌声は、聴き手の心にやさしく寄り添うような親密さを持ち、特にこのエンディング曲においては、より静かで内省的なトーンに仕上げられています。
女性ボーカルの透き通った声がメインを担い、男性ボーカルは控えめに、まるで夜の影のように寄り添う役割を果たしています。このバランスが、歌全体に夢のような浮遊感を与えており、子どもから大人まで、年齢を超えて癒しを感じさせるのです。
■ 歌詞の世界観
ロンドンの夜に舞う幻想
歌詞は、まるで絵本の1ページのような詩情にあふれています。テームズ河の静けさ、灯りの揺らめき、そしてその上で踊る“夢”や“物語”。それらが現実と交わりながら、やがて空へと舞い上がっていく様子が、抽象的かつ優美な言葉で綴られています。
「ダンス」という言葉がタイトルに入っていることからも、歌詞には“動き”や“リズム”が散りばめられており、それが楽曲全体にほのかな浮遊感を与えています。特定のストーリーを語るのではなく、感情や空気感を描き出すリリックが特徴で、それが『名探偵ホームズ』という作品の持つ“温かくてどこか物悲しい”世界観に見事にマッチしているのです。
■ 視聴者の感想
記憶に残る“静かな締めくくり”
「テームズ河のDANCE」は、放送当時から現在に至るまで、視聴者の記憶に深く刻まれているエンディング曲です。多くのファンが語るのは、「この曲を聴くと、子どものころの夜の静けさがよみがえる」「物語の余韻を噛み締めるのにぴったりだった」といった情緒的な感想です。
SNSや配信サイトのコメント欄でも、「エンディングで流れるこの曲が好きすぎて、最後まで毎回見ていた」「今でも口ずさめる」「子ども向けアニメとは思えないクオリティ」といった声が多く寄せられています。
また、アニメファンの間では「オープニングは冒険の始まりを告げるファンファーレ、エンディングはその冒険を胸にしまうための子守唄」と評されることもあり、構成全体におけるこの曲の役割の大きさが改めて認識されているのです。
■ 物語を包み込む“音の舞踏”
「テームズ河のDANCE」は、『名探偵ホームズ』というアニメ作品の世界観を静かに、そして確かに支えたエンディングテーマです。その美しい詞とメロディ、洗練された編曲、そして優しくも情緒深い歌唱──これらが結びついて生まれたのは、まさに“音楽による絵本”のような楽曲でした。
毎回のエピソードの最後にこの曲が流れるたび、視聴者はロンドンの夜の街角に立ち、物語の余韻とともに日常へと戻る心の準備ができたのではないでしょうか。
今なお多くのファンが愛し続けるこの一曲は、アニメソングの枠を超えた“時代を超える音楽”として、静かに語り継がれていくに違いありません。
●アニメの魅力とは?
■ 擬人化された犬たちが織りなす、ロンドン冒険譚
『名探偵ホームズ』最大の特徴のひとつは、登場キャラクターがすべて犬として描かれている点にあります。シャーロック・ホームズ、ジョン・ワトソン、モリアーティ教授、レストレード警部──誰もが“どこか憎めない表情”を持った愛嬌ある犬の姿をしており、物語全体が柔らかく、親しみやすい印象に包まれています。
このデフォルメにより、原作の緊張感あるサスペンス性よりも、“心温まるドラマ”や“滑稽でコミカルな追走劇”に重点が置かれ、ファミリー層を中心に多くの視聴者を引き込みました。それでいて、ホームズらしい推理の妙や知略を巡らす展開はきちんと守られており、大人の鑑賞にも十分堪えうる構成となっています。
■ 宮崎駿による初期演出
空への憧れと動きの魔術
本作は、スタジオジブリ設立前の宮崎駿が手がけたことで知られています。特に第1話「彼がうわさの名探偵」や第2話「悪の天才モリアーティ教授」など、宮崎が演出・絵コンテ・作画などに携わった回は、まるで映画のような完成度。飛行船、自動車、歯車仕掛けのギミック、空を舞うカーチェイス──彼の得意とする“空と機械のロマン”が画面いっぱいに描かれ、後の『紅の豚』や『天空の城ラピュタ』にも通じる“動きの美しさ”が存分に発揮されています。
また、宮崎回にはセリフの少ないシーンが多く、表情と動きだけでキャラクターの心情を伝える“サイレント映画的”な技法も多く見られます。こうした“演出の洗練”は、当時の子ども向けアニメの常識を大きく覆すものであり、アニメ表現の幅を一段引き上げたといっても過言ではありません。
■ 笑いとスリルの絶妙なバランス
悪役モリアーティ一味の魅力
物語を動かす重要な存在が、毎回奇妙で壮大な悪事を企てる“モリアーティ教授”とその部下たち──トッドとスマイリーの3人組です。彼らは本来なら冷酷で知略的な悪役として描かれがちですが、本作ではむしろ“どこか抜けていて愛らしい”存在。まるでロードランナーとワイリー・コヨーテのような、愉快な悪役スタイルが一貫して描かれています。
どんなに周到な計画も、最後にはホームズの一手であえなく失敗するお約束の展開。その中でモリアーティ一味は決して単なる“やられ役”にとどまらず、視聴者からも「また失敗したなぁ」「次こそは成功するか?」と期待される、奇妙な愛されキャラとして確立されていきます。
この“悪役に肩入れしてしまう構造”は、アニメならではの巧妙な演出手法であり、子どもたちにも「悪人=悪ではない」という複雑な感情を自然と教えていたとも言えます。
■ 胸に残る名曲たち
心に語りかける主題歌の力
『名探偵ホームズ』を語るうえで欠かせないのが、主題歌・挿入歌の存在です。オープニングの「空からこぼれたSTORY」、エンディングの「テームズ河のDANCE」ともに、デュオ「ダ・カーポ」が優しくも力強く歌い上げており、そのメロディと詞は今もファンの心に深く刻まれています。
特に「空からこぼれたSTORY」は、まるで物語の冒頭に風が吹き抜けるかのような爽快感と郷愁を併せ持ち、映像と重なって記憶に残る名曲となりました。歌詞の一節一節が、まさに“人生の旅”や“夢と現実のはざま”を象徴しており、大人になってから聴くとより深い意味を感じ取ることができます。
■ 制作スタッフの豪華さと手描き時代の魅力
制作は東京ムービー新社(現・トムス・エンタテインメント)が手がけており、作画・美術・背景すべてにおいて非常に高い完成度を誇ります。背景にはロンドンの街並みや霧の都の雰囲気が丹念に描き込まれ、アニメでありながら“クラシックな英国映画”のような品格が感じられます。
また、手描き時代ならではの温もりやアナログ的な質感が、登場キャラの表情や動きに独特の説得力をもたらしています。現在のデジタルアニメにはない“ゆらぎ”や“味”がこの作品には確かに存在し、今見直しても色褪せない魅力を放っています。
■ 世間の評価と今なお続く愛
当時の視聴率は高く、特に放送直後は子どもから大人まで幅広い層に受け入れられました。また、2000年代にDVD-BOXが発売された際も多くのリバイバルファンが購入し、「待ってました」「何度観ても飽きない」という声がネット上にも多数寄せられました。
さらに、近年ではサブスク配信やアニメ専門チャンネルなどで再放送が行われており、親子二世代・三世代に渡って愛される作品となっています。“時代に流されず残り続けるアニメ”として、確固たる地位を築いたといえるでしょう。
■ 『名探偵ホームズ』は今も、心の探偵である
推理もの、冒険もの、友情もの──『名探偵ホームズ』はそのどれでもあり、同時に“人生の縮図”のような優しさとユーモアに満ちた作品です。ホームズとワトソンの信頼、モリアーティ一味の奮闘、ロンドンの街に響く夕暮れの風景──どれもが心に残る名シーンとなり、視聴者の記憶を豊かに彩ってくれます。
「名作」とは、何年経っても語り継がれ、誰かの心に再び灯るもの。『名探偵ホームズ』は、まさにその定義にふさわしい一本です。もし未見であれば、ぜひ今一度、ロンドンの霧の中へと冒険に出てみてはいかがでしょうか。
●当時の視聴者の反応
■ アニメファンの心をつかんだ
初回エピソードでは、擬人化された犬の姿をしたホームズたちが颯爽と登場。これに対し、視聴者からは「ヨーロッパ風の街並みと犬のキャラデザインが絶妙にマッチしている」「まるで絵本のような世界観」といった好評が集まりました。特に子供層からは「怖くない推理もの」として受け入れられ、家庭内でも安心して見られる番組として支持を得ました。新聞のテレビ欄でも「新感覚の探偵アニメ」として紹介され、スタジオジブリが制作に関わっていることが補足されると、アニメマニア層からも注目を浴びました。
■ 温かみとメッセージ性
第3話では、迷子の人形を探してほしいという少女の依頼がホームズに舞い込むストーリーが展開。この回は、視聴者層の中でも特に母親たちからの反響が大きく、「子どもにやさしい世界観」「探偵ものなのに涙ぐんでしまった」と感動の声が多く寄せられました。ある家庭雑誌では、このエピソードを「家族愛を描いた傑作回」として紹介し、番組の社会的価値を評価しています。
■ 際立つキャラクター性
エピソード6「ミセス・ハドソンの秘密」では、普段は落ち着いた大家であるミセス・ハドソンが若き日を回想する展開に。アクション満載のカーアクションが描かれたこの回は、男性視聴者からの人気が高く、テレビ情報誌『週刊テレビガイド』では「アクションと人間ドラマのバランスが見事」と紹介されました。また、主人公だけでなく脇役にも深みを持たせた構成に対し、ファンからは「このアニメ、実は大人向けかも?」と再評価する声も。
■ 冒険色に胸躍る
モリアーティ教授とその部下たちが飛行機を使って悪事を働くエピソードは、放送当時の子どもたちに大人気でした。テレビ朝日の視聴者コーナーには「飛行機のデザインがかっこよかった!」「スマイリーの動きが面白い」などの声が多数寄せられたとの記録があります。メディアでは「スチームパンク的な魅力が詰まった回」として評価され、アニメ雑誌『アニメージュ』でもビジュアル面を特集するなど、画面美術に関しても高評価を得ました。
■ 欧州情緒とドラマ性の融合
ホームズとモリアーティ一味の攻防がドーバーを舞台に展開される回では、視聴者から「風景が印象的」「劇場アニメのようなスケール感」と驚きの声が多く寄せられました。特に映像演出に対する注目が高く、アニメ評論家の間では「1980年代のTVアニメでは異例のクオリティ」と評されました。また、テレビ雑誌に掲載された美術背景の紹介では「空気感が伝わってくるアニメ」として高評価を受けています。
■ コミカル回の評判
第12話ではワトソン博士のドジっぷりが全面に押し出され、普段とは異なるコミカルテイストの物語が展開されました。この回は子どもたちにとって大ウケで、視聴者は「ワトソンが主役の回、もっと見たい!」という感想を多数寄せています。教育テレビ系の子ども番組を取り上げる雑誌『月刊子どもとテレビ』でも「コメディと教訓を織り交ぜた好例」として言及されました。
■ 緊迫感のある展開が話題に
第17話ではスリリングな謎解きと犯人との頭脳戦が描かれ、いわば“本格推理”の色が強くなったエピソードです。読売新聞夕刊では「久しぶりに背筋がぞくっとした」「子ども向けとは思えない見応え」との読者の声が紹介され、世代を問わず楽しめる内容であることが浮き彫りになりました。この回はシリーズを語る上で「最も完成度が高い」と評するコアなファンも少なくありません。
■ 人物描写の巧みさ
ミセス・ハドソンが悲しみに沈む姿が描かれる第20話では、重めのトーンにもかかわらず放送後の反応は非常に好意的でした。特に女性視聴者から「アニメでこんなに感情移入できたのは初めて」「感情表現がリアルすぎる」との感想が相次ぎました。ある文芸評論家は「このアニメの脚本は単なる子ども向けではない。キャラクターの人生が見えてくる」と絶賛しています。
■ 書籍・雑誌における再評価と資料化
『名探偵ホームズ』放送後、アニメ評論を扱う出版物の中でも本作への言及は多く、『アニメーション・クロニクル1980s』や『テレビアニメ大図鑑』では「名作枠」に位置付けられています。とくに評価されているのが、アニメ作品としての「完成度の高さ」と「普遍的なストーリー運び」。あるアニメ誌では「これは宮崎駿が関わっていたからこその奇跡」と書かれ、未だにその制作背景が研究対象となっています。
●イベントやメディア展開など
■ 劇場上映で!「ナウシカ」との同時興行
3月11日公開、先行劇場版2話上映
放送開始前の1984年3月11日、『風の谷のナウシカ』と同時興行として「青い紅玉の巻/海底の財宝の巻」が上映されました。宮崎駿監督が演出を務めたこの劇場用パッケージは、約46分の特別編として公開。これにより、TVアニメ放送への期待感が一気に高まりました。
パンフレットとチラシ、熱狂的なキャッチコピー
劇場パンフやチラシには「抜きつ抜かれつ、大スリルの痛快ドタバタ冒険活劇!」といった煽り文句が躍り、子どもからファンまで幅広く受け入れられました。劇場ではテンポの良いチェイスシーンと愉快な追跡劇が強調され、観客レビューでも「一度見たらまた見たくなる」との声が引き出されました。
■ テレビ放送開始!全国に犬ホームズ旋風
11月6日、テレビ朝日系で放映スタート
11月6日からスタートした全26話は、イタリアRAIの企画の下、東京ムービー新社が制作。原作シャーロック・ホームズの登場人物をすべて犬に擬人化し、遊び心あふれるファミリー向けアクションとして再構築されました。
宮崎駿演出回の注目度アップ
第3~6話、第9・10話、第11話は宮崎駿が絵コンテ・演出を担当。ファンの期待を集め、放送当初からお茶の間で話題に。作画監督・キャラクターデザインを務めた近藤喜文氏のビジュアルも高く評価されました。
主題歌シングルのリリース
主題歌「空からこぼれたSTORY」(オープニング)、そして「テームズ河のDANCE」(エンディング)が、Da capoのシングル盤として徳間JAPANからリリースされ、テレビ・ラジオで頻繁に流れました。シングルレコードはメルカリなどでもコレクターズアイテムとして出回っていました。
■ グッズ & メディアタイアップの波及効果
アニメージュなど雑誌での大特集掲載
1984年1月号の『アニメージュ』などでは、劇場上映時期の先行情報や宮崎駿のコメント、スタッフインタビューなどが掲載され、ファンの購買意欲を刺激しました。
レコード、VHS、ポストカード販売
音楽レコード(45回転)やカセット、VHSビデオとしてリリースされ、当時から映像や音を手元に残したいというニーズに応える展開がなされました。特にVHSは紙ケース仕様でコレクターズアイテムとしての魅力もありました 。
●関連商品のまとめ
■ 映像関連商品
『名探偵ホームズ』の映像ソフトは、アニメファンの根強い支持を受けて、複数メディアで販売されてきました。放送当時にはVHSが中心で、東宝ビデオから全話収録のビデオカセットが複数巻に分けて発売されており、各巻には2話から3話が収録されていました。続いて1990年代にはレーザーディスク(LD)でも展開され、より高画質での視聴を求めるコアファン向けに提供されました。2001年にはDVD-BOXが発売され、TV放送された全26話(宮崎駿演出の4話を含む)が高画質で収録され、初のコンプリート形態として話題に。さらに2014年にはBlu-ray版もリリースされ、フルHDにリマスターされた映像と共に、特典映像やオーディオコメンタリーを収録した豪華仕様となっており、往年のファンだけでなく新規層にもアピールしました。
■ 書籍関連
書籍関連では、アニメ放送と並行して様々な出版物が登場しました。まず小学館の学年誌(『小学○年生』シリーズ)では、連載漫画やイラスト記事、ぬりえ・クイズページなどが継続的に掲載され、子どもたちの間で人気を集めました。また、アニメコミカライズも展開され、キャラクターを擬人化ならぬ擬犬化した世界観を再現する形で描かれたフルカラー漫画が多数出版されました。さらに、徳間書店の『アニメージュ』や近代映画社の『アニメディア』では、特集記事、スタッフインタビュー、制作資料の紹介などが行われ、宮崎駿や片渕須直らの演出回を中心とした深堀りが多く見られました。近年では設定資料集やアートブックの復刻版も登場し、アニメーションの資料的価値が再評価されています。
■ 音楽関連
『名探偵ホームズ』の音楽は、アニメと同様に長く愛されている要素のひとつです。オープニングテーマ「空からこぼれたSTORY」、エンディング「テームズ河のDANCE」といった名曲は、放送当時にEPレコードとしてビクター音楽産業から発売されました。のちにLPアルバムとして劇伴音楽も収録されたサウンドトラック盤が発売され、背景音楽(BGM)の魅力も世に広まりました。1990年代にはCD化され、2000年代にはデジタルリマスターされた再販CDが登場。また、近年では配信サービスでも楽曲がリリースされ、ダウンロード販売やストリーミングでも楽しむことが可能になっています。ボーカルを担当したダ・カーポのやさしく温かい歌声と、佐藤健や山中のりまさによるキャッチーなメロディは、アニメファンのみならず音楽ファンからも評価されています。
■ ホビー・おもちゃ関連商品
『名探偵ホームズ』のホビー・おもちゃ関連商品は、1980年代中盤のキャラクターグッズ市場においても独特の地位を築いていました。まず特筆すべきは、タカラ(現タカラトミー)やバンダイによって発売されたプラモデルやミニフィギュア。中でも「プロトベンツ(ホームズの愛車)」のプラモデルは可動ギミック付きで、スチームパンク風のデザインが子どもたちの心を掴みました。登場キャラクター(ホームズ、ワトソン、モリアーティなど)を模した可動フィギュアやソフビ人形も人気で、特に犬の擬人化デザインがユニークなため、マスコット人形として女性層にも受け入れられていました。
また、ぬいぐるみやぬいぐるみキーホルダーなども登場しており、小学生を中心に文房具と組み合わせて持ち歩かれることも多かったです。ジグソーパズルやパネルゲーム、すごろくなどの家庭向け商品も多く、家族で楽しむ知育的なアイテムとして展開されていました。さらには、1985年には変形ギミック付きのロボ風おもちゃも試験的にリリースされるなど、当時のホビー市場のトレンドにも積極的に追随しています。
その後、2000年代に入ってからは、アニメの再評価に伴ってガレージキットや一部フィギュアの復刻品が登場し、アニメショップやイベント限定で販売されることもありました。2020年代に入ってからは、カプセルトイ(ガチャガチャ)やミニチュアフィギュアなど、レトロアニメブームの一環として再商品化される例も見られます。
■ ゲーム関連商品
『名探偵ホームズ』を題材にしたゲーム類は当時としては限られていたものの、キャラクターと世界観を活かした様々な形式の遊びが展開されました。まず代表的なのが、ボードゲームタイプの「ホームズ探偵団すごろく」。サイコロを振ってロンドン市内を移動し、事件を解決していくというルールで、複数人で遊べる形式が子どもたちに好まれました。カードゲームでは、事件カードと推理カードを組み合わせて手札を揃えると犯人を特定できる形式の「推理バトルカード」などが登場し、知育要素を含んだ商品となっていました。一方、テレビゲームに関しては、ファミリーコンピュータやセガマークIIIといった当時の家庭用ゲーム機で直接的な『名探偵ホームズ』のゲームは発売されていませんでしたが、キャラクターを模したミニゲーム(LCD画面の電子ゲーム)や、関連番組のコラボ景品として配布された限定ミニゲームも存在しました。また、近年ではファン有志によるパロディゲームや同人ソフトの形でPC向けに制作されるケースもあり、デジタル上での復活の動きも一部に見られます。
■ 食玩・文房具・日用品
当時の『名探偵ホームズ』関連商品には、低価格帯かつ日常的に使える商品も多く揃っていました。たとえば文房具では、キャラクターイラスト入りのノート、消しゴム、鉛筆、下敷き、筆箱などが全国の文具店や小売店で販売され、小中学生の必需品となっていました。学習帳の表紙にホームズやワトソンの姿が描かれたものは特に人気でした。食玩では、ガムやキャンディとセットでミニシールやブロマイドが付属するタイプが流通しており、シールを集めて専用のアルバムに貼っていくコレクション性が人気の要因となっていました。日用品では、ランチボックス、コップ、歯ブラシセットなどが販売され、家庭や学校での使用にも活躍。また、お風呂グッズ(タオルや石けんケース)も一定のラインナップがあり、子どもたちの日常に自然に溶け込んでいました。
■ お菓子・食品関連
『名探偵ホームズ』のキャラクターをあしらった食品関連商品も一部展開されており、当時のアニメとのタイアップとしては珍しい試みでした。主に発売されたのは、キャラクターのイラストが印刷されたパッケージのチョコレートやビスケット、キャンディなど。特に「名探偵ホームズの謎解きチョコ」として販売された商品には、包み紙の内側に簡単なクイズやなぞなぞが掲載され、食べながら楽しむ知的遊びとして好評を博しました。また、期間限定でヨーグルトやプリン、ゼリーといった冷蔵食品とのコラボ商品もスーパーやコンビニで販売されたことがありました。缶ジュースとのコラボでは、キャラクターラベル付きの炭酸飲料などが子ども向けに展開され、空き缶を集めて飾る「缶コレクション」的な楽しみ方をする子どもたちも見られました。こうした食品関連商品はアニメと生活を結びつけるツールとして大きな役割を果たしていたと言えるでしょう。
●オークション・フリマなどの中古市場での状況
■ 映像関連商品(VHS・LD・DVD・Blu‑rayなど)
ヤフーオークションでは、テレビシリーズ全26話のDVD‑BOX(初回限定盤)が1.3万円~1.4万円台(送料込み)で継続的に出品・落札されています。また、EMOTION the Best盤は9,460円~13,310円程度で出回っています。VHSやLDも根強く人気で、VHSセット(Ⅰ~Ⅴ+劇場版)は3,000円台で売れやすく、単品では500円~1,000円台が多いです。LDでは平均2,000円前後、最高ではMemorial Boxが8,500円ほどつく例もあります。劇場版や35mmフィルムカットなどのレア品は2,000円程度ですが、BDボックスとしてディスクのみで最高1.1万円台の落札例もあります。全体的に、映像系はBOXセットの需要は安定しつつ、単品品も手頃な価格帯で入手しやすくなっています。
■ 書籍関連(コミック・雑誌・関連書籍)
「宮崎駿」名義で制作された関連書籍やアニメージュ誌のバックナンバーも出品されています。落札相場は比較的幅があり、アニメージュ1984年1月号などの当時誌が810円。完全英語版対訳テキストは2,390円 。また、テレホンカードやビニールバッグなどの雑誌付録や非売品グッズが500円~2,200円程度で落札されています。平均落札価格は宮崎駿関連で5,592円、最安150円、最高14万円という超レア品含みの実績もあります。書籍関連は一般誌+付録+専門書と幅広く、希少性によって価格差が大きいのが特徴です。
■ 音楽関連(EP・LP・CD)
音楽系アイテムの出品数は少ない傾向ですが、主にサントラや挿入歌のEP/LPが稀に登場します。平均的な落札価格は約5,500円前後。具体例としては、劇場版のサウンドトラックLPやレア盤に人気が集中します。数千円~1万円程度までの価格帯にばらつきがありますが、コレクター層からの需要は安定しており、特にレコード形式の音楽を探す人には狙い目です。
■ ホビー・おもちゃ(フィギュア・プラモなど)
このカテゴリの取引件数はいちばん多く、平均落札価格は約4,300円 。具体的には、グッドスマイルカンパニー製figmaの「名探偵ホームズ」などが最高2~3万円台で取引され、平均1.4万円超(過去8件)と高額です。また一般的なフィギュアは最安2,290円~、最高1.85万円、平均~1万円超で推移 。ぬいぐるみ・プラモ・パズルなども、状態や付属品によって500円~数千円で動いています。同一商品でも未開封新品が出ると高値になり、中古品は2,000~6,000円程度が中心です。超合金系や非売品グッズになると、1万円を超える価格での落札事例もあります。
■ ゲーム(ボード・カード・TVゲーム・電子ゲーム)
ゲーム関連は出品数が非常に稀で、特にテレビゲームソフトや関連ボードゲームはほとんど市場に出ない状態です。カードゲームも見かけず、電子ゲームもほぼ不在。ゲーム市場全体としては、出品がごく少ないため、「見つけたら即買い」レベルの希少価値があります。ボードゲーム等もまれに登場するものの、価格は2,000円~5,000円程度で即落される傾向が強いです。全体では700文字に満たない簡潔な状況ですが、出物乏しく、市場は冷えています。
■ 食玩・文房具・日用品
こちらも出品数は少なめですが、文房具(キャラクター筆記具や下敷き)・日用品(タオル、マグカップ販売当時モノ)などが散発的に出回っています。価格帯は数百円~1,000円台。食玩などの食玩はほぼ出ず、仮に出れば500円~1,500円程度で落札されます。全体平均落札価格は1,000~2,000円程度で、コレクション用途の軽グッズとして一定の需要があります。
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