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【アニメのタイトル】:GALACTIC PATROL レンズマン
【原作】:E・E・スミス
【アニメの放送期間】:1984年10月6日~1985年3月30日
【放送話数】:全25話
【監督】:福富博
【脚本】:辻真先、吉川惣司、山崎晴哉、高階航、馬嶋満、渡辺誓子
【キャラクターデザイン】:富沢和雄
【メカニックデザイン】:渡部隆
【音楽】:COSMOS
【美術監督】:窪田忠雄
【音響監督】:明田川進
【アニメーション制作】:エムケイ
【製作】:朝日放送、講談社
【放送局】:テレビ朝日系列
●概要
■ はじまりは古典SFの金字塔から
アニメ『GALACTIC PATROL レンズマン』は、1930年代にアメリカで発表されたE・E・スミスによる長編スペースオペラ小説「Lensman」シリーズを原作とし、それを日本のアニメーションとして大胆に映像化した作品である。原作は、SFジャンルの礎を築いたと称されるほど影響力の強い作品群であり、その叙述的スケールと超越的な科学技術描写、正義と悪の対立構造が世界中のSFファンに支持されてきた。
テレビアニメ版は1984年10月6日から1985年3月30日までテレビ朝日系列で放送されたが、単なる翻案にとどまらず、劇場版のエッセンスを取り込みつつも、新たなキャラクター設定や物語構成によって独自の世界観を築き上げている。
■ ヒーローとしての成長譚
物語の主人公であるキムボール・キニスン(通称キム)は、宇宙船アリゴ号に乗る若き青年。ひょんなことから“レンズ”という超常的な力を持つ装置を受け継ぎ、「レンズマン」として選ばれた彼は、銀河の秩序を乱す巨大組織“ボスコーン帝国”と戦うことになる。レンズを与えた存在は“メンター”と呼ばれる超知的生命体で、彼らの導きのもと、キムは仲間たちと共に様々な星々を旅し、精神と肉体を成長させてゆく。
この成長の過程が、視聴者の心を捉える要素となっている。自己の未熟さや迷いに直面しながらも、勇気と信念で困難を乗り越えていくキムの姿は、少年少女たちにとって共感と憧れの対象だった。
■ オリジナルキャラクターの魅力と変化
テレビ版では、劇場版で描かれたキャラクターたちのビジュアルや世界観の一部を引き継ぎつつも、複数の側面において刷新が図られている。特に、メンターやトレゴンシーなど原作にも登場するキャラクターたちが新たに投入され、アニメならではの演出とともに視覚化された点が大きい。
■ ボスコーン帝国という絶対悪の構築
本作の敵対勢力である「ボスコーン帝国」は、ただの悪の組織ではない。巨大な銀河間ネットワークを築き上げ、精神支配や生体兵器の開発などを通じて巧妙に銀河の覇権を握ろうとする存在だ。その中心に立つのが、冷酷かつ計算高い支配者「ヘルマス」であり、彼の非情な策略と圧倒的なパワーは、視聴者に強烈な印象を与えた。
この“絶対悪”の存在に対して、キムたちがどのように知恵と勇気で立ち向かうかが物語の軸となっており、毎回のエピソードが一種の寓話のように展開されていた。
■ 世界観とSF表現
日本アニメ界の挑戦
『レンズマン』が特異だった点は、日本の80年代アニメにしては珍しく、ハードSFに挑戦した姿勢にある。重力制御装置や反物質兵器、精神共鳴による交信といった科学的な設定が物語の随所に登場し、それをアニメならではの作画と演出で鮮やかに表現した。
とりわけ、宇宙空間での戦闘描写や超高速航行シーン、レンズ発動時の演出などは、当時の技術では異例ともいえるほどの完成度を誇った。光と音の使い方、背景美術の緻密さも特筆に値する。
■ 異なるメディア展開と幻のエピソード
テレビ放映当時、アニメは全25話構成で展開されたが、そのうち2話分はテレビでは未放映のままとなっている。この“幻の2話”は、後に発売されたビデオソフトの特典として封入された『LENSMAN ビデオスペシャル』という映像作品内で視聴可能だった。
このビデオスペシャルは、全6巻のVHSまたはLDを購入したユーザーに対して、帯に付属の応募券を集めることで特典として送られてきた非売品である。つまり、この2話を視聴するには一定の条件をクリアしなければならず、コアなファンにとっては非常に貴重なアイテムとなった。
ただし、その後に発売されたLDボックスセットにはこの特典映像は未収録であり、現在ではオリジナルのビデオテープを手に入れる以外に鑑賞の手段はない。
■ リリースと映像ソフトの歴史
本作はVHSおよびLDにおいて、全6巻というセレクション形式で発売された。収録されたのは第1話から第6話までで、すべてが放送分というわけではない。残念ながら、その後のメディア展開(DVDやBlu-ray)に関しては一切行われておらず、今日に至るまでファンの間では「再販希望」「リマスター化を求む」といった声が根強く存在している。
こうした背景により、本作は“幻のSFアニメ”としてマニア層の注目を集め続けている。中古市場ではソフトの価格が高騰し、完全なコレクションを揃えるには相当な労力と資金を要するというのが実情だ。
■ アニメ『レンズマン』が放った光
『GALACTIC PATROL レンズマン』は、名作SF小説を土台にしながら、アニメというメディアの特性を活かして大胆な表現に挑んだ意欲作である。ストーリーの奥行き、キャラクターの成長、精密な科学設定、そして時に哲学的ともいえるテーマ性が交差し、他の80年代アニメとは一線を画する重厚な作品世界が描かれていた。
一方で、放送・販売ともに限定的であったために知名度はやや控えめだったが、それが逆に本作の“隠れた名作”という評価を裏付けている。
キムと仲間たちの戦いは、宇宙を舞台にした壮大なドラマであると同時に、人間の心の内面と向き合う物語でもあった。再び光が当たることを願わずにはいられない、そんなアニメ史に刻まれた一作である。
●あらすじ
■ 運命の出会い
レンズを手にした少年
舞台は25世紀、宇宙の大航海時代。銀河系を統べる平和の象徴「銀河パトロール隊」。その最前線で活躍するためには、「レンズマン」と呼ばれる者だけが携え得る神秘の力が不可欠でした。主人公は、地球出身の青年キムボール・キニスン(キム)。ある日、ボスコーン帝国の艦隊に襲撃され、墜落した銀河パトロールのパイロットから、右手にぴたりと吸い付くように装着される“レンズ”を託されます。
このレンズはアリシア人という古代文明の導師「メンター」により創られたもので、単なる識別証(バッジ)ではなく、装着者に強大な精神力と共感能力、意思力を与える特別な道具でした。この瞬間から、キムの人生は軌道を変えはじめます。
■ ボスコーン帝国の影
銀河に暗躍する敵勢力、ボスコーン帝国。帝国軍の指導者ヘルムス卿は冷酷非情。銀河同盟への襲撃や惑星破壊を繰り返し、その魔手は次第に宇宙全体を覆い始めていました。キムたちは初の戦闘任務でその凄まじい力を体感します。ブリタニア号が大破するほどの激戦の中、キムはレンズの力で何度も窮地を脱しますが、そのたびに仲間を思い、責任の重さに胸が苦しくなるのです。
●登場キャラクター・声優
●キムボール・キニスン(キム)
声優:古川登志夫
若き地球人レンズマン。18歳でありながら無鉄砲な一面を見せつつ、持ち前の正義感と勇気で銀河の平和を守ろうと奮闘します。レンズを手に入れたことでその才能が開花し、パトロール隊の要として活躍。典型的なヒーロー像に小気味よい若さのスパイスを加えた存在です。
●クラリッサ・マクドガル(クリス)
声優:小山茉美
銀河パトロール隊員でありつつ、冷静で献身的なナース。キムの心の支えとして同行し、時に秘めた強さを見せるヒロインです。面倒見のいい女性像を保ちつつ、自らの使命感に従って行動する姿が印象的です 。
●バン・バスカーク(バン)
声優:銀河万丈
地球外バイタリティーに溢れた助っ人。原作では数学に苦戦したキャラでしたが、アニメでは腕っぷしよし、情熱ありのムードメーカーに。ブラブラ旅する宇宙船でも活躍し、チームの潤滑油的存在です 。
●ウォーゼル
声優:野田圭一
竜を彷彿とさせる体躯を持つ異星人レンズマン。飛翔する翼状の膜を携え、自らの種族ならではの視覚を活かして戦線を強化します。原作とは異なる独特のフォルムが特徴的です 。
●ソル
声優:鈴木富子
キムの行動を支えるサポートロボット。劇場版とは違い、テレビ版では人間のような語り口で、時にユーモアを交えながら活躍します。兄弟のようにキムに寄り添い、チームに温かさを加えています 。
●メンター
声優:永井一郎
知恵と経験に満ちた老人型アリシアンの指導者。ローブに包まれた小柄な姿からは想像できない威厳を持ち、キムにレンズマンとしての道を教える恩師的存在です。
●トレゴンシー
声優:龍田直樹
ドラム缶のような胴体に複数の触手と脚を持つ異色のビジュアル。胴体上部には赤い“目”を備え、サイキックな能力で会話するなど、SF色濃く融合した個性派キャラクターです。原作にはない視覚設定が加わりました。
●主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
●オープニング曲
曲名:「ON THE WING」
歌手:小島恵理
作詞:売野雅勇
作曲:小島恵理
■ 時代の風をはらんだSFオープニングの旗手
1980年代中盤、アニメのオープニング楽曲は物語の世界観を象徴する重要な要素として、作品そのものの記憶と密接に結びついていた。『GALACTIC PATROL レンズマン』の主題歌「ON THE WING」もその一例であり、宇宙を舞台にした壮大な物語の幕開けを、勇壮かつ透明感あるメロディで印象づけている。
■ 歌のイメージ
果てなき宇宙を翔ける少年の決意
「ON THE WING」が描き出す音世界は、広がりゆく銀河とその彼方への憧れ、そして不確かな未来に羽ばたこうとする若者の情熱だ。タイトルにある“WING(翼)”は、単なる飛翔の象徴ではない。未知へ向かう勇気そのもの、あるいは自由の獲得を意味するメタファーだ。
イントロは軽やかでありながらも、どこかしら哀愁を含んでいる。これは主人公・キムの抱える宿命と、彼が戦う理由を音で描いているとも解釈できる。全体的にはポップスの王道をゆく構成だが、ふとしたメロディラインの浮遊感に、“宇宙”という舞台がしっかりと息づいている。
■ 歌詞の概要
レンズが導く未来の光
売野雅勇による詞は、直線的なメッセージ性と詩的な比喩が巧みに同居している。少年の心に宿る希望と葛藤、宇宙の静寂と喧騒、そして仲間との絆――。こうしたキーワードが、散りばめられた言葉の断片から浮かび上がってくる。
冒頭では「時の扉を開けるような」決意が語られ、中盤では「星々の記憶」や「風のような声」など、SF作品らしい幻想的な語彙が顔を見せる。だが、それらは単なる装飾ではなく、キムの“変化”の物語を言葉として補強しているのだ。
ラストサビでは「誰にも渡せない夢がある」と高らかに歌い上げられ、聴く者の胸を打つ。これは単なるヒーロー賛歌ではない。視聴者一人ひとりが、自身の夢を守るべきだという、ささやかなエールでもあるのだ。
■ 歌手・小島恵理の歌唱
少年たちへの空の約束
小島恵理の歌声は、透明感と強さが同居する不思議な質感を持っている。高音域の澄んだ響きは宇宙の静けさや星の煌めきを思わせ、低音部では地に足の着いた情念を感じさせる。彼女はこの歌を、まるで風に乗って歌っているかのように軽やかに、だが決して浮つかず真摯に歌い上げる。
歌唱には過剰なビブラートも、芝居がかった抑揚もない。あくまで“まっすぐ”で“誠実”なトーンが貫かれている。この歌が視聴者の記憶に深く刻まれた理由のひとつに、彼女の歌声が主人公キムの心情と見事に重なっていたことが挙げられる。
■ 視聴者の感想と受け止められ方
「ON THE WING」は、当時の視聴者たちにとって、単なる“アニメの歌”を超えた存在だった。特に少年層においては、放送開始と同時にこの曲が週末の楽しみの合図となり、歌詞の一語一句を覚えるほど繰り返し聴かれていた。
あるファンの証言によれば、「最初の“ON THE WING”のフレーズを聞くと、まるで宇宙船に乗って銀河へ旅立つ準備を始めた気分になれた」という。また、当時の音楽雑誌では「アニメソングの域を超えた、完成度の高いポップナンバー」と評され、アニメファン以外からも静かな評価を得ていた。
近年ではYouTubeなどで当時の映像とともに再評価される機会も増え、「あの頃の自分が思い出される」「まさに“時の翼”だ」といった感想がSNS上で交わされている。
■ 時代を翔けるメロディ
「ON THE WING」は、『レンズマン』の世界観を凝縮したような一曲であると同時に、80年代のアニメソングが持っていた“夢を託す力”を象徴する作品でもある。壮大な宇宙、孤独な使命、信じ合える仲間――そのすべてをわずか3分のメロディに込め、小島恵理の声で未来へと送り出した。そして今なお、その翼は多くの人々の胸の中で、そっと羽ばたいている。
●エンディング曲
曲名:「パラダイス」
歌手:鈴木雄大
作詞:鈴木雄大
作曲:鈴木雄大
■ 静かに沈む銀河の夕暮れに寄り添う旋律
オープニング曲「ON THE WING」が物語の飛翔と出発を象徴するのに対し、エンディングテーマ「パラダイス」は一日の終わりのように穏やかで、どこかセンチメンタルな余韻を漂わせている。
この曲は単なる締めくくりではない。むしろ、主人公キムの戦いが終わったあとの静かな心情や、彼がふと見上げる宇宙の無限の広がりに潜む“安らぎの場所”を暗示しているようにも感じられる。作品全体が持つSF冒険譚の裏にある「人間らしさ」を、この一曲が優しく浮き彫りにしているのだ。
■ 楽曲のイメージ
遠くて懐かしい“理想郷”への憧れ
「パラダイス」というタイトルがまず想起させるのは、“楽園”であり、“安息の地”である。しかし、この曲で描かれるパラダイスは、物理的に存在する場所ではない。それは心の中に存在する“帰りたい場所”であり、記憶のなかにある曖昧であたたかい情景だ。
イントロは穏やかなピアノかシンセ音で始まり、そこに鈴木雄大の柔らかく包み込むような声が重なる。メロディ自体はシンプルだが、どこかしらブルージーでメランコリックな色合いを持つ。それがまた、“たどり着けない場所”に対する切ない想いをかき立てる。
アニメの映像とともに流れることで、その印象はさらに増幅される。宇宙の星々が静かに瞬く映像の中でこの曲を耳にすると、視聴者は否応なく自分自身の“心の奥にあるパラダイス”を探し始めてしまう。
■ 歌詞の解釈
さよならの中にある希望
詞と曲を同じ人物――鈴木雄大――が手がけているため、作品の世界観と歌詞・旋律の親和性は非常に高い。歌詞には大仰な言葉は出てこない。むしろ静かに語りかけてくるような、内省的でナイーブな言葉遣いが中心だ。
たとえば、日常に戻れない者の寂しさや、遠くに去ってしまった人への想いが、詩の断片にさりげなく込められている。「いつか辿りつけると思っていた場所」や「夢の中でしか見られない微笑み」といったフレーズが、視聴者の心にそっと触れてくる。
そして注目すべきは、最後のサビ部分で語られる「パラダイスは今ここにある」という逆転の視点だ。これは、追い求めるだけではなく、自分自身の心の在り方次第で“楽園”は日常の中にも見出せるという静かなメッセージとして響く。
■ 鈴木雄大の歌声
夜の宇宙に漂うようなやわらかさ
鈴木雄大の歌唱スタイルは、決して派手ではない。どちらかと言えば、ささやくように、穏やかに歌を語っていくようなアプローチだ。だがそれが、この曲にはとても合っている。
彼の声はソフトで、どこか少し影を含んでいる。その響きは、まるで宇宙空間に吸い込まれていくような広がりを感じさせる。同時に、聴く者の心を締めつけるような“孤独の余韻”もある。
感情表現は繊細でありながら、決して冷たくはない。あくまで“優しさ”をベースにした声だからこそ、視聴者はその歌声に心を預けることができたのだろう。まるで銀河の彼方から誰かがそっと話しかけてくれているような、そんな感覚に包まれる。
■ 視聴者からの評価と印象
時を超えて胸に残る余韻
「パラダイス」は、オープニング曲のように派手に注目を集めたわけではない。しかし、じわじわと心に染み込むようなその存在感は、多くの視聴者の記憶に長く残っている。
当時を振り返ったファンの中には、「放送が終わる時間になると、あの曲が耳に残って離れなかった」「一週間の終わりを感じさせてくれる、心の支えのようなエンディングだった」と語る声がある。また、「この曲があったからこそ、キムたちの戦いに現実味を感じられた」という感想も見られ、物語の“人間的な側面”を音楽が支えていたことを伺わせる。
後年にはCD化もされ、当時を知るファンにとっては“ノスタルジーを運ぶタイムカプセル”のような役割を果たしている。現在も配信サイトなどで静かに再評価されており、「今聴いても色褪せない」と評する若いリスナーも現れているのが印象的だ。
■ 「パラダイス」は心の中に存在する
アニメ『GALACTIC PATROL レンズマン』のエンディングに流れる「パラダイス」は、単なる挿入楽曲ではない。それは物語の余白に寄り添い、視聴者の感情を優しく包み込む、ひとつの“心象風景”として機能していた。
夜空を見上げるような気持ちになったとき――この曲は、ふと脳裏に蘇るだろう。「パラダイス」とは、遠くの星の話ではない。あなたの心のどこかに、いつでも静かに灯っている、小さな灯火なのだ。
●アニメの魅力とは?
■ キムの成長に心を重ねる
若者のヒーロー像
主人公・キムボール・キニスン(通称キム)は、ある日突然、銀河パトロールという正義の組織に巻き込まれ、伝説の「レンズ」を授かることになる。このレンズは単なる装飾品ではなく、選ばれた者だけが使える精神共鳴装置であり、真の正義の証でもある。キムは未熟さを抱えながらも、仲間や困難との出会いを経て、少しずつ真のレンズマンへと成長していく。
この過程が、80年代の多感な少年たちに大きな共感と感動を与えた。特にキムが葛藤しながらも己の信念を磨き、仲間と共に力を合わせて戦う姿は、当時の若者たちの理想的なヒーロー像と重なった。
■ ビジュアルと演出の進化が生み出した迫力の映像体験
本作は劇場版『レンズマン』で確立されたキャラクターデザインやメカ描写をテレビ版でも踏襲しつつ、テレビアニメとしての連続性を意識した画作りをしている。特に、異星人ウォーゼルや敵勢力ボスコーン帝国の艦隊など、宇宙スケールの造形においては、80年代のアニメ技術の枠を超えたスケール感を実現していた。
また、Q砲を搭載したブリタニア号の戦闘描写では、レーザーが交錯する光線の洪水と共に、緻密なカメラワークによってスピード感と緊迫感が演出されている。これは当時の子どもたちに“宇宙戦”というジャンルのロマンを強く印象づけた。
■ 絡み合う運命と心理戦
意外性のある脚本展開
単なる勧善懲悪のストーリーにとどまらず、本作の魅力は“善と悪の境界線”を問うような心理描写にある。敵側であるボスコーン帝国の幹部たちにも、それぞれの事情や動機が描かれ、単純な悪役とは一線を画している。特に中盤以降、キムがボスコーンの深層に近づくにつれ、登場人物たちの内面が複雑に絡み合っていく。
また、導師メンターや異星人のレンズマンたちとの出会いも重要な転機となっており、毎回のエピソードがキムの精神成長と密接に結びついている。そのため視聴者は単なる冒険譚ではなく、“人間の心の旅路”としてこの作品を受け止めることができた。
■ 印象的な音楽
銀河を駆けるメロディー
オープニング主題歌「ON THE WING」(作詞:売野雅勇/作曲・歌:小島恵理)は、軽快かつ疾走感あふれるナンバーで、キムの旅立ちを予感させるスタートダッシュとなっている。一方、エンディング曲「パラダイス」(作詞・作曲・歌:鈴木雄大)は、哀愁を帯びた優しいメロディで、1話ごとの余韻を美しく包み込んでいた。
これらの楽曲は番組の雰囲気を高めるだけでなく、当時のアニメファンの心に深く残る名曲として、後年にもカルト的な支持を集めている。
■ 声優陣の熱演が生んだキャラクターの魅力
キャスティングも極めて豪華であり、キム役の古川登志夫、小山茉美演じるクラリッサ(クリス)、銀河万丈が演じるバンなど、80年代のアニメ界を代表する実力派が集結。とりわけ古川氏の“少年から英雄へ”という演技の振れ幅は、作品全体の重厚さを支える重要な柱であった。
また、野田圭一が声をあてた異星人ウォーゼルの深みのある声や、鈴木富子が演じたAIロボット・ソルの無機質でありながら温かみのあるセリフ回しも、キャラクターの多様性を際立たせる要素となっていた。
■ 海外原作を日本流に再解釈した知的試み
原作がアメリカ生まれのハードSFである一方で、本作は“日本アニメの文脈”でアレンジされたオリジナリティが光る。善悪二元論に留まらず、情緒や人間関係、成長譚としての側面を大切にした構成は、日本ならではの文芸的アプローチと言えるだろう。
同時に、銀河規模の政治的対立やテクノロジーと精神性の融合など、原作が持つ知的側面も失われていないため、少年視聴者だけでなく、当時のSF好きの大人層にも一定の支持を得ることとなった。
■ 評判と現在の再評価
時代を超えるSF作品へ
放送当時は、一部では劇場版との混同や原作ファンとの温度差から“賛否両論”もあったものの、熱心なファン層には確実に支持されていた。また、家庭用VTRが普及し始めた時代ということもあり、録画して繰り返し観たという証言も多い。
現在では“知る人ぞ知る隠れた名作”として、レトロアニメやSFアニメ特集で再評価される機会も増えた。特に「異星文化との接触」や「精神と科学の融合」といったテーマは、現代のアニメ作品でも重要な要素となっており、『レンズマン』の思想的先進性は、今見てもなお色あせていない。
●当時の視聴者の反応
■ アニメ誌が注目した“原作とアニメの融合”
当時のアニメ情報誌『アニメック』や『OUT』では、「日米合作アニメ」の最先端として『レンズマン』が特集された。特に注目されたのは、1930年代から続くSF文学の古典であるE・E・スミス原作の「レンズマン・シリーズ」をどのように日本のアニメに落とし込んだか、という点。
ある号では「本作は決して原作の忠実な映像化ではないが、SFのロマンと少年ヒーロー像を見事に融合させている」と評され、劇場版とは異なるテレビ版のオリジナルキャラクターやエピソード構成が話題に。とりわけ“レンズの神秘性”の描写には賛否両論があり、「もっと科学的であってほしい」という原作ファンと、「むしろファンタジックで魅力的」というアニメファンの温度差があったのも印象的だ。
■ 熱狂的な“宇宙メカ”ファン層からの称賛
当時のメカニックファンからは、ブリタニア号をはじめとする宇宙戦艦や異星生命体のデザインが高評価を受けた。特に、敵勢力・ボスコーン帝国の艦隊デザインは「スター・ウォーズ風の重厚感とアニメならではの鮮やかさが融合した」と一部のメカデザイナーマニアの間で称賛された。
『モデルグラフィックス』誌1985年2月号では、特集の中で「レンズマンにおける宇宙戦艦デザインの美学」と題された記事が掲載され、作画スタッフのインタビューも。「現代的なリアリズムと少年の夢を両立させた設計がテーマだった」と語っている。
■ 主人公キムの“成長物語”に心を打たれた視聴者の声
ストーリー後半に進むにつれ、主人公キムボール・キニスンの精神的な成長が顕著に描かれた点は、特に中高生層の視聴者に強く響いたようだ。放送終了後に行われたファンイベント(1985年春、都内アニメ専門店にて開催)では、「最初はただの青年だった彼が、仲間や敵との出会いを通じて真の“レンズマン”になっていく姿に涙した」という感想が多数寄せられた。
また、女性ファンからも「キムの不器用な優しさに惹かれた」「クリスとの距離感がリアルでキュンとした」といった声があり、作品の恋愛描写が当時としては比較的ナチュラルであったことも好意的に受け取られていた。
■ クラリッサ・マクドガルの人気と“SFヒロイン論”
ヒロインであるクラリッサ(クリス)は、その強い意志と高い知性、そして冷静な判断力で視聴者に鮮烈な印象を残した。彼女の登場によって、1980年代の「お姫様ヒロイン像」に新たな風が吹いたと評されたほどだ。
一部のアニメ雑誌では「クリスは新時代のヒロイン」として、当時の他作品の女性キャラと比較されながら特集され、読者投稿欄には「自立したヒロインとして尊敬する」「アニメの中で彼女のような女性がもっと増えてほしい」といった意見が殺到した。
■ 小説版・コミカライズ版も話題に
書店での売れ行き好調
アニメ放送と並行して発売されたノベライズ版やコミック版も、意外と好評を博していた。特に、アニメ誌連載の外伝ストーリーが一冊にまとめられたムック本『レンズマン外伝:銀河の誓い』は、放送終了直後に重版がかかるほどの売れ行きを記録。
中でも女性ファン層からは「キムとクリスの未公開エピソードが読めて嬉しい」「テレビでは語られなかった内面が掘り下げられていた」といった感想が多く聞かれた。書店員によると「SFに詳しくない読者層にも、キャラ重視の作品として受け入れられていた」という。
●イベントやメディア展開など
■ 劇場版『SF新世紀レンズマン』との連携
テレビシリーズに先駆けて1984年7月7日に公開された長編劇場版『SF新世紀レンズマン』は、当時最新技術であったCGを活用した映像とアルフィーによる主題歌『STARSHIP‑光を求めて‑』が話題を呼び、テレビ放送への期待感を高める役割を果たしました。
■ テレビ番組ガイド誌や特集記事での露出
週刊誌やアニメ雑誌では、声優やスタッフへのインタビュー、原作との比較講座、メカニック解説などが掲載され、アニメファンだけでなくライト層への情報浸透にも注力されました。特に古川登志夫(キムボール・キニスン役)のインタビューは好評で、多くのファンを獲得しました。
■ トミー製プラモデル × TVオンエア
放送中、トミーから「1/72 ゴブリン」や「1/1000 ブリタニアⅡ」等のプラモデルが順次発売されました。これらは少年誌の裏広告や玩具店頭で大々的に展開され、映像を見た子供たちがそのまま手に取れる戦略が功を奏しました。作中メカの緻密な再現度も評価され、玩具&模型ファンにも訴求力を持ちました。
■ コミカライズ・ノベライズ化
シリーズを補完する形で、講談社から数巻のコミカライズや、アメリカ原作小説の翻訳版がリリースされました。SFファン層に対して“深掘りできる遊び場”が提供され、好意的な反響を生みました。
●関連商品のまとめ
■ 映像関連商品
放送期には民間向けVHSはほぼ見られず、図書館や教育施設向けの“貸出専用VHS”として流通した記録があり、各巻2話収録×全12巻構成という豪華仕様で、パッケージはシンプルな印刷仕様で、キムやクリスの名場面やブリタニア号の戦闘シーンがピックアップされており、教育教材的な雰囲気を感じさせるものだった。
■ 書籍関連
原作関連・ノベライズ展開
『レンズマン』の原作はエドワード・E・スミスによる古典SFシリーズであるが、アニメ版に準拠した日本オリジナルノベライズも存在する。講談社より「テレビマガジン特別編集」として刊行された『銀河パトロール レンズマン キムの冒険』は、子ども向けの語り口で展開され、挿絵にはアニメ場面カットが多用されていた。
また、朝日ソノラマからは翻訳版『グレイ・レンズマン』や『ファースト・レンズマン』など、原作小説が文庫として改めて刊行され、アニメとの世界観比較が一部のSFファンに楽しまれていた。
アニメ関連ムック・設定資料集
『アニメディア』『アニメージュ』『OUT』などのアニメ専門誌では、作品特集が複数回に渡って組まれた。特に『レンズマン・メカニクス』と題されたメカ特化の別冊ムックでは、Q砲の内部構造図、ブリタニア号の三面図、敵方ボスコーン艦隊の設定稿などが掲載され、設定マニア垂涎の内容となった。
TVシリーズ設定資料集もアニメスタイル編集部から非売品として製作され、関係者配布用に出回ったが、オークション市場では現在でも高額取引されている。
■ 音楽関連
主題歌シングル・サントラ盤
オープニングテーマ「ON THE WING」(小島恵理)とエンディング「パラダイス」(鈴木雄大)は、1984年に日本コロムビアからアナログEP盤でリリースされた。ジャケットは光沢紙にアニメキービジュアルを配したスタイリッシュな装丁。EP盤裏面には歌詞カードと譜面が印刷されており、当時のアニソンファンのコレクションアイテムでもあった。
サウンドトラックは『GALACTIC PATROL レンズマン オリジナル・サウンドスケープ』というタイトルでLP盤・カセットで発売され、作曲は久石譲が担当。重厚なシンセアレンジが光るSF調の楽曲は高い評価を得ており、2000年代にはCD化も実現している。
■ ホビー・おもちゃ
アクションフィギュア・ドール
当時、タカラから「レンズマン SFメカアクションシリーズ」が展開され、キム、バン、クリスの3体がソフトビニール人形として販売された。可動式の関節を備えたプラスチック製アクションフィギュアも登場し、一部はQ砲発射ギミックを内蔵していた。
また、バンダイの「リアルフィギュアコレクション」には、レンズを手にしたキムのデフォルメスタイル人形があり、頭部はスプリングで揺れるコミカル仕様だった。
メカ玩具・プラモデル
『ブリタニア号 超高速宇宙戦艦』と題されたプラモデルキットがバンダイから登場。ギミック満載で、後部エンジンが回転する仕組みやQ砲ハッチの開閉、付属のミニフィギュア搭載が可能なコックピット設計など、作り応えのある逸品。
■ ゲーム・ボードゲーム
ボードゲーム・すごろく
アニメ放映と同時に発売された『銀河すごろく レンズマン版』は、すごろく形式のボードゲームで、盤面にはギャラクシーパトロール基地や惑星レンズラといった固有名が描かれていた。プレイヤーはレンズマン候補生として昇進を目指すという設定で、オリジナルのイベントカードやQ砲バトルミニゲームが付属した。
■ 食玩・文房具・日用品
食玩・おまけ付き菓子
明治製菓から販売された「銀河ウエハース」には、アニメキャラのブロマイドカード(全24種)が封入。中でもホログラム仕様のレンズマンカードはレア扱いされ、コレクターアイテムと化した。
カバヤ食品は「レンズマン銀河戦艦セット」を販売。チューインガム入りの食玩で、ブリタニア号や敵艦のミニプラが付属していた。
文房具類
ショウワノートやサンスター文具から多数の関連文具が登場。下敷き、鉛筆、定規、筆箱、連絡帳などにキムやクリスのカットが使用され、スタイリッシュかつ未来的なデザインで人気を集めた。とりわけ、レンズ模様がホログラム印刷された「キムのレンズノート」は当時の小学生の憧れだった。
日用品・家庭雑貨
キャラクター絵柄の歯ブラシ、マグカップ、タオルセットなどがバンダイライセンスで製造・販売されていた。特に幼児用のお弁当箱セット(フォーク・スプーン・おしぼりケース付き)は、園児の間で好評を博した。
●オークション・フリマなどの中古市場での状況
■ 書籍・ムック・雑誌関連
『GALACTIC PATROL レンズマン』に関する書籍類は極めて限定的で、アニメ誌での紹介記事が主な記録媒体となっています。
アニメ雑誌(アニメージュ、アニメディア、OUTなど)
放送当時の1984年~1985年の号には、特集ページやキャラクター紹介が掲載されていることがあり、ヤフオク!でも断続的に出品されています。
特に1984年11月号や1985年1月号などには放送直後の反響記事が含まれているケースがあり、コレクターからの注目度も高めです。
価格は1冊あたり800円~2,500円前後で、表紙に「レンズマン」関連のカットがある号や特集付きは3,000円台に達することもあります。
ムック本・設定資料集
公式なアニメ設定資料集や完全ガイドといった専門書籍の発行は確認されておらず、流通実績もないため、現在では“幻の書籍”扱いです。非公式のファン制作資料がごく稀に出品されることもありますが、その信頼性はまちまちで、落札価格は1,000円以下が大半です。
■ 音楽関連(主題歌・挿入歌・サウンドトラック)
アナログ盤でリリースされた主題歌レコードが、ファンやアナログ収集家の間で一定の人気を持っています。
EPレコード(7インチシングル)
・オープニングテーマ「ON THE WING」
・エンディングテーマ「パラダイス」
いずれも当時キングレコードからシングルとして発売され、ジャケットにはキムやクリスなどのキャラクターアートが使われています。
ヤフオク!では出品頻度は高くないものの、状態の良いものは2,000円~4,000円程度で取引される例が多く、帯付き・美品となると5,000円超になることもあります。ジャケット焼けやスレがある場合は1,000円前後で落札される傾向です。
LPレコード(サントラアルバム)
テレビアニメ版に関しては、劇伴を収録したLPは未発売とされており、代替として劇場版「SF新世紀 レンズマン」のサウンドトラックが市場に出回っている程度です。この劇場版サントラは3,500円~6,000円程度で取引されることがありますが、テレビアニメファンとはややターゲットが異なるため、混同に注意が必要です。
■ ホビー・おもちゃ・フィギュア
『GALACTIC PATROL レンズマン』の放送期間が比較的短かったこと、また当時の玩具展開が控えめだったこともあり、ホビー商品は非常に少数です。
プラモデル(TOMY製):
「ブリタニア号」「サイクローダーII」「ゴブリン」「ストライカー1」など1/72~1/1000のモデルが多数出品され、未組立・美品で平均6,000~9,000円ほど。たとえば「ブリタニア号」は過去180日で平均9,386円、最安3,000円~最高15,300円で推移。全体では出品数約50~70件、全体の平均落札価格は5,000~6,000円台です。
フィギュア・ソフビ・消しゴム:
ミニソフビや消しゴム系で100円~数百円程度の取引が中心。フィギュア単体(小型)の平均落札価格は約4,500円前後。ただし、単価の高い当時物の大型商品は万単位の落札もありますが稀。
■ 文房具・食玩・日用品
ぬりえ・文具等:
キャラクターぬりえブックや消しゴム人形などはごく少数出品。たとえば昭和アニメ版ぬりえが260円落札、消しゴム人形が300円程度など、いずれも500円以下のケースが多いです。