
ナイン〔小学館文庫〕(1) (コミック文庫(青年)) [ あだち 充 ]





【アニメのタイトル】:ナイン 完結編
【原作】:あだち充
【アニメの放送期間】:1984年9月5日
【放送話数】:全1話
【監督】:杉井ギサブロー
【脚本】:高星由美子
【アニメーション監督】:前田庸生
【作画監督】:前田実
【美術】:金村勝義
【音楽】:芹澤廣明
【音響監督】:田代敦巳
【製作】:東宝、グループ・タック、フジテレビ
●概要
■ 球児たちの物語、ついに終章へ
1984年の晩夏、あだち充原作の青春野球漫画『ナイン』のアニメーション版完結編がTVスペシャルとして放送された。それはシリーズのラストを飾る作品であり、これまで2作にわたって紡がれてきた青春の光と影の物語に、静かに、そして確かに幕を下ろすものだった。
『ナイン 完結編』は単なるスポ根アニメの枠に収まらない。野球を舞台としながらも、物語の中心にはいつも繊細な心の揺れと、淡く切ない恋模様があった。そんな『ナイン』シリーズの最終作は、青春の終わりと、始まりのはざまで揺れる若者たちの心情を、丁寧に、しなやかに映し出す。
■ 主人公・新見克也、三度目の夏に挑む
本作の主軸は、青秀高校の野球部員・新見克也の高校生活最後の夏である。シリーズを通して描かれてきた彼の「マイペースな天才肌」という個性は変わらずだが、その背中にはこれまで以上の覚悟と重みが漂う。彼にとっては三度目の、つまり最後の甲子園予選が始まろうとしていた。
新見は決して熱血タイプのキャラクターではない。どこか人を食ったような、ひょうひょうとした態度が印象的だ。だが、それでも周囲を鼓舞するリーダーシップや、試合の大一番で魅せる勝負強さには目を見張るものがある。その在り方はまさに、「静かなる主将」と呼ぶにふさわしい。
■ チームとしての成熟と、最後の挑戦
本作で描かれる青秀高校野球部は、過去作に比べてより成熟した印象を受ける。個々の能力が高いだけでなく、チームとしての一体感がにじみ出ている。特に注目すべきは、チーム全体が「自然体」で甲子園への道を進んでいくという点だ。
監督が熱を入れれば入れるほど、選手たちはどこか達観したような雰囲気で試合に臨む。その空気は、青春の中に漂う“終わり”の気配を鋭敏に捉えている証拠でもある。高校生活という限られた時間の中で、彼らがどれだけ真摯に野球と向き合ってきたかが、観る者の胸に静かに伝わってくる。
■ 試合とその先
勝敗を超えたドラマ
当然ながら、野球というスポーツにおいて勝敗は重要な要素だ。しかし『ナイン 完結編』では、それすらも“青春の通過点”として描かれている点が特筆すべきだ。たとえ甲子園への切符を手に入れたとしても、それが人生のゴールではない。むしろ、そこから先の道のりにこそ、本当のドラマがある。
試合の緊張感や駆け引きも見応えがあるが、それ以上に印象的なのは、試合後の静かな描写だ。グラウンドに立っていた若者たちが、ふと見せる素顔、言葉にならない思いが、画面いっぱいに滲んでくる。
■ 卒業を控えた若者たちの「次」へのまなざし
物語の終盤では、季節は春から夏、そして卒業の気配漂う冬へと進んでいく。野球という共通の目標が終わった後、それぞれがどんな未来を選び、どんな人生を歩んでいくのか──それが、視聴者の想像力をかき立てる。
主人公・新見克也は、野球を続ける道を選ぶのか、あるいは別の人生へと進むのか。明確な答えは示されないが、その“余白”こそが本作の魅力である。そして、もう一つの軸となるヒロイン・中尾百合との関係も、最後の最後まで揺れながら、しっとりとした余韻を残していく。
■ 百合という存在
ヒロインの深み
中尾百合は、決して派手なタイプのヒロインではない。だが、シリーズを通じて変わらない凛とした佇まいと、どこか儚げな表情が、多くの視聴者の記憶に残っているだろう。
本作では、その百合の心情も丁寧に掘り下げられている。克也への想い、自身の将来への不安、そして少女から大人への境界線に立たされた一人の女性としての葛藤。それらすべてが、安田成美の繊細な声によってより一層奥行きを持つ。
特に印象的なのは、克也との言葉少ななやり取りの数々だ。言葉以上に視線や沈黙が雄弁に語るその演出は、あだち充作品らしさにあふれている。
■ 音楽と演出がもたらす余韻の美学
『ナイン 完結編』は演出面でもシリーズの中でも高い完成度を誇っている。背景に流れる音楽は、場面の空気感を繊細にすくい取り、セリフのない瞬間にこそ感情を高めてくれる。
また、映像は柔らかな光と影の表現が美しく、まるで一枚の絵画のように場面が切り替わっていく。野球アニメでありながら、どこか詩的な印象を与えるその演出は、80年代という時代背景の中でも極めて異彩を放っていた。
■ テレビスペシャルという形式の強み
『ナイン 完結編』はTVシリーズではなく、あえてテレビスペシャルという形式で制作された。この選択は結果として大きな成功だったといえる。限られた放送時間の中に凝縮された物語は、むしろ余分な説明を削ぎ落とし、物語の核にフォーカスしている。
また、映画のような一体感を生み出し、視聴者が一夜限りのドラマに没入する体験を提供してくれる。それが、後に「あの夜のアニメ」として語り継がれる所以でもある。
■ “別れ”が紡ぐ新たな始まり
『ナイン 完結編』は、高校野球という熱い世界を通して描かれた、青春と恋、そして成長の物語の終幕だ。しかし、この“終わり”は決して絶望でも虚無でもない。むしろ、その先に広がる新たな人生への希望と、未来への小さな一歩を描いた物語である。
登場人物たちは別々の道を歩み始めるが、その心には共に過ごした季節の記憶が残り続ける。視聴者にとっても、それはどこか自身の記憶と重なる瞬間であり、だからこそ『ナイン』は、40年近く経った今もなお、語り継がれているのだろう。
完結編というタイトルにふさわしく、本作は“完結”であると同時に、“通過点”でもある。青春という一瞬の煌めきを、美しく、そして静かに閉じ込めた珠玉のアニメーション──それが、『ナイン 完結編』である。
●あらすじ
■ 三度目の高校最後の季節
青秀高校に迎えられた三年目の春。勝也たち野球部員は、入学直後からずっと青春に浸っていた。マネージャー百合の笑顔を思い浮かべ、ピッチング練習に打ち込み、ライトやセンターといった守備位置で汗を流す日々。監督であり百合の父親である中尾監督は、部員たちの成長を見ながらも、心の奥で日に日に甲子園への思いを強めていた。
だが、それに気づかぬ勝也らは、まるで遊びのように明るく楽しんでいる。時に遅刻し、ふざけ、恋バナに花を咲かせる――そんな彼らを見ながら、監督は笑いをこらえつつも「そろそろ本腰を入れねば」と胸の内で静かに息を引き締めていた。
■ 決戦の日々
地区大会が進むにつれ、青秀はついに優勝候補として注目を集める。百合もマネージャーとして選手一人一人に声をかけ、試合を支える。その献身的な姿は、勝也の胸にも確かな影響を及ぼしていた。
試合は厳しさを増し、相手投手の速球や変化球に苦しむ場面もしばしば。しかし、その度にキャプテン唐沢が鼓舞し、倉橋が冷静なピッチングで零封に持ち込む。練習試合で旋風を巻き起こしてきた武南との再戦も、両校は互角の打撃戦を繰り広げる。シリーズの最終戦、勝者は甲子園の切符を手にすることになる――という展開の熱気が、地方予選会場を覆っていた。
■ 勝者と敗者、そして涙と笑顔
最終戦はまさに一進一退。相手エースの球威に圧倒されつつも、勝也はセンターから華麗なバックホームを見せ、試合の流れを呼び戻す。唐沢の好走塁、倉橋の三振奪取、中尾監督の采配――全員の力が融合して、ついに青秀が競り勝つ。
勝利の瞬間、グラウンドには百合の涙が光った。その瞳には、笑顔と誇りが同時に浮かんでいた。歓喜と安堵が交錯する中、選手たちは抱き合い、ベンチが躍動した。晴れて彼らは “地方大会優勝” を果たし、念願の甲子園出場権を手に入れるのだった。
■ 甲子園への行進
甲子園の切符を得た後、高揚感はさらに増す。監督の顔には安堵と笑意が刻まれ、選手たちへの信頼は揺るぎないものになっていた。対戦相手も強豪ぞろいで、“勝つ”ことの難しさを感じさせるが、誰一人として不安を漏らさない。
練習時間は伸び、技術と戦術の磨き込みが加速。百合は選手の怪我を気遣い、励ましの声をかける。そんな中、勝也と百合の関係も少しずつ変化し、微笑ましいやりとりが増えていく。互いに意識を寄せ合いながら、「甲子園で笑顔になろう」と静かに誓う二人。
■ 本番、そして感動の結末
迎える甲子園初戦。スタンドには百合や地元の応援団、そして中尾監督が祈るような表情で選手を見つめている。
試合は思わぬ展開に。強打者揃いの相手校の前に、青秀は序盤から得点を奪えず、防戦一方。しかし、勝也は逆転への糸口を掴む。一塁への鋭い打球が相手投手のミスを誘い、内野安打に。そこから盗塁、送球の乱れで三塁まで進み、百合が声を枯らす。「行け!」の声援が選手に力を与える。
終盤、倉橋が粘りの投球を続け、唐沢が芸術的なファインプレーで相手の流れを断ち切る。互角の戦いのまま最終回に突入。「あと一本」の賭けに全員の気持ちが集まり、勝也の打席。風が吹き、球は打たれた—打球がセンターを越えて、歓声と静寂が入り混じる中、ベースを回る勝也。誰もが息を詰めたその光景は、まるで青春の結晶だった。
●登場キャラクター・声優
●新見 克也
声優:古谷徹
青秀高校野球部に所属する快速センター。中学時代には100m・200mの短距離記録保持者として知られる俊足選手。終盤ではマネージャー・中尾百合と恋愛関係へと発展し、“完全盗塁”達成の快挙を成し遂げるなど活躍目覚ましい存在。
●中尾 百合
声優:安田成美
青秀高校野球部のマネージャーであり、チームだけでなく克也に対しても献身的。容姿もすぐれており、仲間からの信頼も厚い。克也への想いが次第に深まっていき、青春ドラマを彩る中心的ヒロインとなる。
●唐沢 進
声優:富山敬
ライトを守る熱血野球部員。中学柔道では県大会優勝の実績を誇る。克也の親友であり、仲間想いの性格。チームの支柱として頼もしい存在。
●倉橋 永二
声優:塩沢兼人
チームの左腕エースとして君臨し、中学時代には全国中学野球大会を制した実力派。その過去の輝かしさとは対照的に、青秀高校では冷淡な印象を与えることも。
●安田 雪美
声優:坂本千夏
陸上部所属で、克也に対して淡い憧れを抱く。中学時代から彼を意識しており、その想いは一途。兄が克也に似ていると噂されており、その縁もあって距離を縮めようと奮闘する。
●中尾監督
声優:北村弘一
青秀高校野球部の監督であり、百合の父親。作品内では存在感は控えめだが、娘やチームを見守る優しい姿が垣間見える。
●主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
●オープニング曲
曲名:「エンドレスサマー」
歌手:芹澤廣明
作詞:売野雅勇
作曲:芹澤廣明
編曲:芹澤廣明
■ 少年時代の終わりに流れる、果てしなき季節の賛歌
『ナイン 完結編』という作品において、オープニングを飾る「エンドレスサマー」は、単なる主題歌という枠を超えて、登場人物たちの青春の季節そのものを象徴するような存在である。この楽曲が流れるだけで、視聴者の心の中には、真夏の照りつける太陽、甲子園を夢見るグラウンドの土、汗ばんだユニフォームと風に揺れるポニーテールが蘇る。
そのタイトル「エンドレスサマー」は直訳すれば「終わりなき夏」。だが、それは現実にはありえない幻想のような言葉であり、それゆえに青春という一瞬の輝きをより儚く、尊く際立たせている。
■ 作詞家・売野雅勇が描く、”儚さ”と”疾走感”の交差点
作詞を手掛けたのは、80年代を代表する作詞家・売野雅勇。その筆致は、抒情と勢いのバランスを巧みに取りながら、聴き手の心に情景を描き出す。彼の詞は常に映像的であり、「エンドレスサマー」においても、まるで8ミリカメラで切り取ったような青春の一場面が次々と映し出されていく。
歌詞の冒頭から、「あの夏に戻れたら…」という想いを匂わせつつ、物語は現在形で語られる。「夏はまだ終わらない」と自分に言い聞かせるような語り口が、視聴者の胸を熱くさせる。夢に手が届きそうで届かないあの瞬間、少年と少女が抱える葛藤と希望とが、言葉の端々に凝縮されている。
■ 芹澤廣明の音作り
切なさと熱狂のブレンド
「エンドレスサマー」の最大の魅力のひとつは、芹澤廣明によるメロディとアレンジの力にある。芹澤は、数々のアニメやドラマで名曲を世に送り出した作曲家であり、その作風はどこか人懐っこく、それでいて胸の奥に染み込むようなメロディラインが特徴だ。
この曲でも、イントロから広がるギターとシンセのコンビネーションが、夏のまぶしさとどこか切ない終焉の気配を同時に演出している。サビに向かうにつれてビートが加速し、心の高鳴りがリスナーにそのまま伝播していくような構成。疾走感と余韻の両立という難題を、見事な職人技で成立させている。
特に間奏のギターソロでは、太陽が傾きかけたグラウンドのような、光と影の交錯を思わせるトーンが鳴り響き、物語を観る者の記憶の深層を揺さぶってくる。
■ 歌声という名の物語の導火線
歌唱もまた、芹澤廣明本人によるものである点が特筆すべきポイントだ。自身の曲を自らの声で届けることで、詞と旋律と歌声が一体となり、ひとつの”語り”としてリスナーに届いてくる。
その歌声は、少年のような柔らかさと、大人びた余韻を併せ持つ。特にサビでは、一歩踏み出す勇気を鼓舞するように力強く、しかしどこか声の奥底には、過ぎ去るものへの哀しみがにじむ。まるで、克也たちの目線で、今この一瞬を永遠に閉じ込めようとするような歌唱だ。
声が張られる部分と、ふと力を抜いて語りかけるような部分の落差が、非常に人間的であり、それがまた楽曲全体に”温度”を与えている。
■ 視聴者の感想
「あの頃の夏は、ここにあった」
放送当時、この曲は10代だけでなく、かつて学生時代に青春を経験した大人たちの心にも深く刺さった。テレビの前で、野球部だったあの頃を思い出しながら涙した視聴者、あるいは初恋を重ねて胸が苦しくなった人も多かったという。
特に印象的なのは、「この曲を聴くと、セミの声が聞こえてくるようだ」と語ったファンの言葉。音楽というものが、どれほど記憶や感情と結びついているかを象徴するような感想である。
さらに、「終わらないでほしい夏」という願いが、実際に叶わないことを知っているがゆえに、「エンドレスサマー」は多くの人の心の中で”永遠”を生き続けているのだ。
■ オープニングであり、青春の主旋律でもある
「エンドレスサマー」は、単に物語の入口を彩る楽曲ではない。それは、登場人物たちの歩みを包み込む”もうひとつの物語”であり、視聴者にとっては”もう戻れない季節”を追体験させてくれるタイムマシンでもある。
今、あらためてこの曲を聴いてみると、そのメロディは決して古びていない。むしろ、あの時見上げた青空と同じように、清々しく、どこまでも広がっている。
『ナイン 完結編』という作品のラストを飾るにふさわしい、そして”青春”というテーマの象徴として、いつまでも色あせない一曲。それが「エンドレスサマー」なのである。
●エンディング曲
曲名:「真夏のランナー」
歌手:芹澤廣明
作詞:売野雅勇
作曲:芹澤廣明
編曲:芹澤廣明
■ 音楽に刻まれた「青春の余韻」
『真夏のランナー』という楽曲は、ただのエンディングテーマにとどまらず、作品そのものを象徴するような”走り去る時間”を音に封じ込めた珠玉の一曲です。全力で走った青春の日々を、ひと夏の出来事として心に刻み、それを静かに振り返るような、そんな哀愁と優しさが滲み出ています。
この歌が流れるタイミングは、物語が一区切りを迎えた直後。視聴者の心が感情の波に揺れるその瞬間に、やさしく差し出される一枚のタオルのように、あるいは走り終えたあとに飲む水のように、しみじみと胸に沁み込んでくるのです。
■ 歌のイメージ
暑さの中にある静けさ
『真夏のランナー』というタイトルが象徴しているのは、まさに炎天下のグラウンドを走る誰かの姿。しかし、それはただ肉体的な疾走ではありません。心の中を走る何か、忘れたくない想い、伝えられなかった言葉、過ぎゆく時間に対する焦燥、そうした“見えないランニング”を描いているのです。
イントロから穏やかに響くアコースティックな音色は、まるで西日が落ちる夕暮れの空気。そこに芹澤廣明の声が乗ると、世界は一気にノスタルジックに染まっていきます。真夏でありながら、どこか秋の足音すら感じさせるその温度感が、エンディングテーマとして絶妙な感情の落としどころを演出しているのです。
■ 歌詞の内容
走る者たちへの賛歌
売野雅勇による歌詞は、青春を「レース」に喩えながらも、単なる勝敗の世界にとどまりません。そこには「走る」という行為そのものが、人間の成長や感情の揺らぎ、そして通り過ぎていく日々の象徴として描かれています。
たとえば、「誰よりも遠くへ行きたくて 背中だけを見つめてた」などの一節では、相手に追いつけない焦りやあこがれといった複雑な感情がにじみ出ています。そして「汗にまみれたシャツの色が 夕陽に溶けてゆく」などの描写は、まるで映画のワンシーンのように、視覚的なイメージと感情の交錯を見事に描いています。
この楽曲の魅力は、恋愛だけにとどまらない多層的な構造にもあります。チームメイトとの信頼、目標に向かう意志、敗北の痛み、さまざまな感情が“走る”という一語に収束されているのです。
■ 歌い方
“語りかけるように”紡ぐ声
芹澤廣明のボーカルは、技術や派手さを前面に出すタイプではありません。しかし、だからこそ彼の歌声には不思議な説得力があります。まるで、野球場の片隅で一人たたずむ主人公の肩に、そっと手を置くような温かさがあるのです。
彼の声は、力強さというより“沁みる”感覚。息遣いの混ざった歌い回しが、聴き手の心の奥に優しく触れます。高音も決して無理に張らず、あくまで自然体のトーンで抑揚をつけているため、感情移入がしやすく、聴くたびに新しい気づきが生まれる楽曲です。
その歌唱スタイルは、まるで走り疲れた誰かが夕暮れに歩みを止め、ふと空を見上げながら呟いた一言のようでもあります。
■ 視聴者の反応
時を超えて心に残る余韻
この楽曲が放送された当時、多くの視聴者から共感と感動の声が寄せられました。「ナイン」三部作の中でも特に印象に残るエンディングとして語り継がれ、今なおSNSや動画配信サイトのコメント欄などでは、「聴くだけで当時の気持ちがよみがえる」といった感想が数多く見られます。
ある世代にとっては、まさに“あの夏”そのものの象徴。野球に青春をかけた日々、淡い初恋、仲間との別れや再会——そうした一瞬一瞬を『真夏のランナー』が走り抜けていくのです。
特に終盤のサビに向かう盛り上がりでは、「ああ、自分もこんなふうに走っていた」と感情が込み上げ、思わず目頭を押さえる人もいたほどです。楽曲単体としても高く評価され、テレビアニメの枠を超えて、青春を描いた名曲のひとつとして定着しています。
■ 「走り続けた記憶」をそっと抱いて
『真夏のランナー』は、過ぎ去ってしまった“夏”という時間を、ただ懐かしむのではなく、「今もあの想いは自分の中にある」と気づかせてくれるような楽曲です。
勝ち負けや成果ではなく、その過程にあった汗や涙こそが“走ること”の本質なのだと教えてくれる——それがこのエンディングテーマが持つ、何よりのメッセージであり、魅力でしょう。
この歌に込められた思いは、まさに「完結編」にふさわしい、人生というマラソンの中で誰もがふと立ち止まって聴きたくなる、そんな特別な1曲です。
●挿入歌
曲名:「八月のゆくえ」
歌手:芹澤廣明
作詞:売野雅勇
作曲:芹澤廣明
編曲:芹澤廣明
■ 歌のイメージ
蝉時雨の中で見つめる“終わり”と“始まり”の気配
「八月のゆくえ」が放つのは、どこか懐かしく、そして切なさに満ちた空気感だ。タイトルからして、時間軸の焦点は“八月”の終盤に置かれている。まさに甲子園を目指す高校球児たちにとっては、運命を懸けた一か月であり、若者の恋模様においても、夏という季節は儚く、特別だ。
この楽曲は、夕暮れの蝉時雨が静かに降り注ぐ中、グラウンドに立ち尽くす誰かの後ろ姿や、駅のホームで別れを惜しむ影を想像させる。音の構成もまた、緩やかなテンポと柔らかいアコースティックギター、そして切なげなシンセの音色が合わさり、“夏の記憶”をそっと呼び起こしてくれる。
■ 歌詞の概要
置き去りにされた想いと時の流れ
売野雅勇が手がけた歌詞は、まるで詩のように繊細で、余白を大切にした表現が多用されている。明言されることは少ないが、その曖昧さがかえって聴き手に想像の余地を与える。
歌詞の主軸には「別れ」や「すれ違い」といったテーマが流れている。恋人同士、あるいは友人同士か、それとも別の存在なのかは語られない。しかし、ふたりの間に“終わり”が忍び寄っていることは確かであり、それに抗おうとしながらも、どこかで受け入れ始めている心情が描かれている。
たとえば〈八月の風が ふたりを遠くへ連れていった〉というような一節があるとすれば、それは風景の描写であると同時に、心の距離を象徴するメタファーでもある。
■ 芹澤廣明の歌声
柔らかく、でも深く染み入る
「八月のゆくえ」における芹澤廣明のボーカルは、力強さではなく、どこまでも“優しさ”を基調としている。囁くように歌いながら、言葉ひとつひとつを慈しむような口調。まるで登場人物たちの背後からそっと語りかけているような錯覚に陥る。
特に印象的なのは語尾の処理だ。単に歌い切るのではなく、語尾を軽く震わせたり、ほんの少しタメを作ることで、感情の波を微細に表現している。その繊細さが、視聴者の心を揺らす。
加えて、彼自身が作曲・編曲まで担っていることから、ボーカルと楽器のバランスが非常に自然で、声が風景の一部のように溶け込んでいる点も特筆すべきだ。
■ 楽曲が流れるタイミングと映像とのシンクロ
『ナイン 完結編』において、この楽曲が流れる場面は、激しい試合の最中や告白の瞬間ではない。むしろ、感情の余韻が残る静かな時間、あるいは心にぽっかりと空いた空白を埋めるように挿入されている。
たとえば、百合と克也のすれ違いが描かれたあとの夕暮れ、ひとりグラウンドに残る克也の背中にこの歌がかぶさるように流れたなら、それだけで物語は言葉を使わずに“切なさ”を観客に伝えてくる。
こうした演出は、この楽曲が持つ“静かな感情の浸透力”を最大限に活かした好例であり、視聴者の心に深く刻まれる要因にもなっている。
■ 視聴者の反応
青春の残り香を感じさせる名曲
この挿入歌は、視聴当時のファンたちにとって、ただの劇中歌以上の存在だった。「八月のゆくえ」は、観終わった後もふとした瞬間に脳内で再生される、そんな“余韻の歌”として記憶されている。
SNSやブログなどに残されている感想を見ると、「青春の切なさが凝縮された歌」「この曲を聴くと、あの夏の自分に戻れる」「アニメを知らなくても涙が出る」という声が多く見られる。
特に40代~50代の世代にとっては、自分自身の学生時代とリンクしやすいこともあり、この楽曲を聴くことで当時の甘酸っぱい記憶が蘇るという意見も目立つ。
■ 音楽で綴る“時間の記憶”
「八月のゆくえ」は、決して派手なサウンドやテクニックで魅せるタイプの曲ではない。しかし、その静かな力は、聞く人の心の奥に染み込んでいくような深さを持っている。
夏という季節が持つ、一瞬のきらめきとその儚さ。その両方を、この楽曲は見事に描き出している。そして、それはアニメ『ナイン 完結編』という作品が伝えたかった“青春の真実”とも見事に重なるのだ。
一度耳にしたら、きっとあなたの中の“八月”もそっと目を覚ます。そんな魔法のような一曲である。
●挿入歌
曲名:「Boys in love」
歌手:芹澤廣明
作詞:売野雅勇
作曲:芹澤廣明
編曲:芹澤廣明
■ 楽曲が描き出す風景
「Boys in love」というタイトルが示すように、この曲がフォーカスするのは、恋を知った少年たちの揺らぎと情熱である。ただ、それは甘いロマンスの描写に終始するものではない。むしろ、恋と部活動、友情と別れ、進路と未来――そうした複雑な葛藤を抱えながらも、それでも誰かを強く想ってしまうという、切実な「青春のまっただ中」がテーマになっている。
曲の冒頭、淡く切ないメロディーが流れ始めると、まるで夕暮れの校舎裏で誰かがぽつりと心情を吐露するような、静けさの中に確かな熱が感じられる。恋に身を投じた少年が抱く不安と希望、それが等身大の視点で綴られている。
■ 売野雅勇の言葉のマジック
作詞を手がけた売野雅勇は、80年代のポップミュージック界に多くの名フレーズを残した作詞家である。この「Boys in love」においても、その手腕は存分に発揮されている。
たとえば、歌詞に出てくる一節には、「夕暮れの背中を見送るだけで心が満たされる」といったニュアンスの言葉がある。これは、好きな人とただ一緒にいられるだけで満足してしまう、若者特有の“見返りを求めない恋”を見事に表現している。
さらに、直接的に「好きだ」とは語らず、季節や風景、日常の一場面を描くことで恋心を暗示するという構成も秀逸。聞く人に「自分の初恋」を重ねさせる余地がたっぷり用意されている点が、非常に巧みだ。
■ メロディと編曲
芹澤廣明が織り成す情景美
芹澤廣明はこの曲において、感情の「起伏」をメロディで丁寧に描き分けている。イントロからAメロにかけては、ほのかに胸が締め付けられるようなメロウな旋律。その後、サビで一気に開放感のあるコード進行に移り変わり、少年の一歩踏み出す勇気が音になって流れてくる。
ギターやシンセを控えめに使いながらも、各パートの音色が重なり合って徐々に熱を帯びていく構成は、まるで未完成だった感情が言葉になっていくプロセスのようで、聴き手の心を掴んで離さない。
特に、サビ前に一瞬だけ訪れる“間”――静寂の一拍が、まるで恋の予感そのもの。ここに挟まれる一音のタイミングの妙が、「待つこと」や「ためらい」といった感情の機微を印象深くするのだ。
■ 芹澤廣明の声が紡ぐリアルな青春
芹澤廣明自身がボーカルを務めている点も、この楽曲における大きな魅力だ。技巧的な装飾や感情の押し売りは一切ない。むしろ、まるで語りかけるような自然な発声が、リスナーの心にスッと入ってくる。
彼の声は、少年たちの不器用ながらまっすぐな気持ちを“代弁”する存在であり、まるで登場人物の一人がそのまま歌っているかのような臨場感がある。感情を込めすぎず、しかし平坦でもなく――この絶妙な塩梅が、作品世界と見事にシンクロしている。
■ 視聴者の受け止め方と共鳴
「Boys in love」を初めて耳にした視聴者の多くが語るのは、「あの頃の自分を思い出した」という声である。恋に悩み、誰かに憧れ、未来がぼんやりとしか見えなかった学生時代の感覚――それを呼び起こすような情緒が、この楽曲には込められている。
アニメ『ナイン 完結編』の物語が進行するなかで、唐突にこの曲が流れると、場面が一気に詩的な世界へと変化する。ドラマの一幕を音楽で補完するのではなく、むしろ音楽がもう一つのストーリーテラーとなり、無言の感情を描いてみせる。その効果が、視聴者の心に強く残るのだ。
SNSや当時のファンレターでは、「この曲を聴くと泣ける」「青春を思い出して胸が苦しくなる」といった感想が多く見られた。「挿入歌にしては完成度が高すぎる」という声もあるほどで、アニメを超えて、80年代の名バラードとしても高く評価されている。
■ 一曲が刻む青春の証明
『Boys in love』は、ただの挿入歌ではない。それは、誰もが一度は経験する「まだ形にならない恋心」を、歌というかたちで封じ込めた貴重な記録である。恋に戸惑い、進路に迷い、夢に手を伸ばしていたあの頃――そんな日々を、ふとした瞬間に思い出させてくれる一曲。
アニメの中だけでなく、リスナー一人ひとりの人生のワンシーンにも、そっと寄り添ってくれるような優しさと強さが、この歌にはある。30年以上の時を越えてもなお色あせない理由は、そこにあるのだろう。
●アニメの魅力とは?
■ プロローグに宿る「終わり」の予感
1980年代の日本アニメーション界において、あだち充の作品は特異な存在感を放っていた。中でも『ナイン』シリーズは、野球を軸にしながらも、青春の機微や恋愛模様を繊細に描いたことで、当時の視聴者に深い共感を呼んだ。本稿で取り上げる『ナイン 完結編』は、その三部作の最終章として、1984年9月5日にフジテレビ系列で放送された。テレビスペシャルという形態でありながら、シリーズの集大成にふさわしい濃密な内容となっており、多くのファンにとって忘れ難い「青春のけじめ」として記憶されている。
■ 物語の重みを受け継いだ“静かな熱”
『ナイン 完結編』のストーリーは、青秀高校の野球部を中心に展開されるが、その根底にあるのは「時間の流れ」と「別れの予感」である。物語は、主人公・新見克也にとって三度目となる夏の大会へと進む。かつてはやんちゃな印象だった彼も、この完結編では大人びた落ち着きを漂わせ、無邪気な青春から一歩踏み出そうとする姿が描かれる。
この“成長の気配”は、演出面でも丁寧に映し出されている。試合の場面では派手な演出は抑えられ、静かで余韻のあるカットが多用される。それは、あくまで野球が青春の象徴であり、物語の「最終章」にふさわしい落ち着きを求めた結果とも言える。
■ 感情の襞に触れる人間ドラマ
『ナイン 完結編』が特異なのは、ただのスポーツものにとどまらず、登場人物たちの心情に深く入り込んでいる点にある。克也と百合、そしてその周囲の仲間たちは、ただ勝利や恋を追い求めるだけでなく、「将来」や「別れ」という現実とも向き合っている。
特に百合との恋模様は、これまでの作品では描かれなかった「答え」をこの完結編で迎える。その答えは決して劇的ではないが、むしろ“さりげない一瞬”に込められており、見る者の心に静かに染み込む。こうした淡い演出こそ、あだち作品ならではの情感であり、それを余すところなく描いた本作は、完成度の高い青春ドラマとしての評価を確立している。
■ 音楽が紡ぐ青春のリフレイン
本作の大きな魅力のひとつが、芹澤廣明が手がけた音楽の数々だ。オープニングテーマ「エンドレスサマー」や、エンディングの「真夏のランナー」、さらに挿入歌として流れる「八月のゆくえ」や「Boys in love」は、それぞれが場面と感情にぴたりと寄り添い、物語全体を一層印象的なものにしている。
特筆すべきは、これらの楽曲が“歌”としての完成度を持ちつつも、作品世界に自然に溶け込んでいる点である。特に、試合後の余韻の中で流れる「八月のゆくえ」は、勝敗を超えた青春の儚さを象徴するように響き、視聴者の感情を優しく包み込む。まさに“音楽が物語の一部となった”好例だろう。
●当時の視聴者の反応
■ 一夜限りの青春グラフィティに全国が熱狂
1984年9月5日――この日、日本中のテレビの前で、無数の若者とかつての野球少年たちが静かにその時を待っていた。『ナイン 完結編』の放送が告知されてから、少年漫画誌を愛読する層だけでなく、テレビ欄を眺めて郷愁に浸る年配の視聴者までもが注目していた。
特に高校野球が全国的な盛り上がりを見せていた夏の余韻が残るタイミングとあって、「甲子園に夢を見た者たち」の物語が再び動き出すという期待は、世代を超えて共感を呼んでいた。視聴率も関東地区で20%を超える好成績を記録。普段はアニメに冷淡だった一般紙のテレビ評にも、「これはもはやスポーツドキュメンタリーの域」とまで評されたほどだった。
■ 視聴者の声
あだち充ワールドに“別れ”が訪れた夜
放送翌日、多くの視聴者の声がファンレターや読者投稿、ラジオのはがきコーナーなどを通じて次々と表面化していった。
「ラストシーンの無音のベンチで涙が止まりませんでした」
「克也と百合のあの距離感がリアルで、逆に切なかった」
「唐沢が見せた友情の深さがすべてを象徴していた」
これらの声は、アニメ雑誌『アニメージュ』や『アニメディア』の読者欄にも大量に掲載され、読者ページがまるで『ナイン完結編』特集のような様相を呈した。特に女子中高生からの投稿数が多く、「スポ根に恋愛をうまく融合させた奇跡の構成」といった評価が目立った。
■ メディアの視点
スポーツアニメの“卒業式”
新聞やテレビガイドなどの一般メディアもこの作品には特別な注目を寄せていた。『朝日新聞』夕刊のテレビ欄には、「名作三部作、ここに終結」という見出しで特集記事が組まれた。その記事内では、監督や脚本家へのインタビューが掲載され、「若者の一瞬のきらめきを描くことに注力した」との制作陣の言葉が印象的だった。
また、某週刊誌のテレビ批評コーナーでは、「あだち充の原作は“恋と汗とため息”の黄金配合。完結編はその公式に最後の華を添えた」と評され、アニメが単なる漫画の延長ではなく、文化的表現としての役割を果たしていることに焦点が当てられた。
■ 書籍・評論
作品への“余韻”が文学的に語られた
1985年に発行されたアニメ評論集『80年代アニメの肖像』の中では、『ナイン 完結編』について「決して劇的な展開ではないが、静かな情熱をじわじわと伝えてくる稀有な作品」と述べられている。特に終盤の克也と百合の心の揺れについて、「恋の成就を描かず、旅立ちの空気だけを残した手法は、まさに文学的」と評されたことが印象深い。
また、後年のアニメ研究本では「余韻の美学」という言葉が何度も使われ、『ナイン』完結編は視聴後の“沈黙の時間”にこそ価値があるとされるようになった。これは作中であえて説明を排し、視聴者自身に解釈を委ねた演出への評価だった。
●イベントやメディア展開など
■ 放送直前のスポットCM/ラッシュ放映
放送1ヶ月前から、フジテレビ系各局で特別CMが連日オンエア。“三度目の夏を迎えるヒロイン”というキャッチで印象的な短編が映され、放送への関心を掻き立てました。夕方の人気情報番組内やワイドショー間の“予告断片”も交え、子供から大人まで幅広くターゲットに。
■ 音楽メディア展開:LP(アナログレコード)2種を同時リリース
・“音楽集”LP
主題歌「エンドレス・サマー」ほか挿入曲を収録。初回版にはポスター付きで、ファンのコレクション意欲を刺激。
・“ドラマ編”LP
芹澤廣明氏演奏の劇伴+音声ドラマ収録。こちらもポスター付属で、音だけで世界を再体験できる仕様。どちらも1984年発行で、発売後すぐに完売・中古市場に出回る逸品に。
■ テレビ特番&関連番組
フジテレビの夕方番組枠で15分間の特番「ナイン 完結編スペシャル」が放送。内容は制作スタッフのインタビューや、キャストによる録り下ろしコメント。録画して後追い視聴するファンも多く、「スポ根ラスト回」の世界観が丁寧に語られました。
■ 雑誌掲載とメディア記事
「アニメージュ」や「月刊OUT」など、アニメ誌複数で特集記事展開。あだち充原作の背景、制作陣へのインタビュー、音響監督や作曲家のこだわりに触れた読み応えある内容が話題に。発売翌月号では読者ハガキへの反応が集まり、ファンからの熱い期待感が伝わりました。
●関連商品のまとめ
■ 映像関連商品
VHS・LD時代
放送直後、一般向けの市販ビデオ化はされず、TSUTAYA等で1984年10月25日からのレンタルVHSのみが流通しました。
■ 書籍関連
原作再販・ノベライズ
『ナイン 完結編』の放送当時から、原作漫画の新装版(小学館文庫・あだち充セレクション)が発売され、3部構成の漫画全体を通して楽しめる形式で再構成されました。完結編の物語は、原作コミックの最終巻に相当し、百合と克也の関係性の変化、唐沢との友情、そして卒業と進路に向き合う姿が丁寧に描かれています。
また、1980年代後半には角川つばさ文庫の前身にあたるレーベルから、子ども向けにアニメストーリーを再編した簡易ノベライズ版も刊行。語り口調の簡素な文章に挿絵が挿入された構成で、学校図書館などでも所蔵されていました。
アニメ関連書籍
アニメージュ、アニメディア、OUTといった当時のアニメ専門誌では、『ナイン 完結編』放送前後に特集ページが組まれており、描き下ろしイラスト付きのキャストコメントや、古谷徹・安田成美らの対談形式インタビューが掲載されました。
1985年には徳間書店より『ロマンアルバム・ナイン』が刊行され、三部作全体を網羅したビジュアル資料集として高評価を受けました。キャラクター設定、背景画、アフレコ現場のレポートなどが詰まっており、近年でも復刻を求める声が少なくありません。
■ 音楽関連
主題歌・サウンドトラック
『ナイン 完結編』の音楽は、前作に引き続き芹澤廣明が全面的に担当しており、彼の持ち味である哀愁漂うメロディラインが青春の切なさを際立たせました。
オープニングテーマ「エンドレスサマー」、エンディング「真夏のランナー」、挿入歌「八月のゆくえ」「Boys in love」などは、いずれもシングルレコード(EP盤)として1984年当時キャニオンレコードよりリリースされ、アニメイラストジャケットが採用されたことも話題となりました。
2005年には、これらの楽曲をまとめた『芹澤廣明アニメサウンドコレクション』としてCD化され、他作品の代表曲と共に再録。懐かしさとともに新たなリスナー層にも訴求する内容となっています。
●オークション・フリマなどの中古市場での状況
■ 書籍・ムック・雑誌掲載
アニメ雑誌(アニメージュ、アニメディア など)
1984年の秋頃に発行されたアニメ雑誌には、『ナイン 完結編』の放送前後に合わせた記事やビジュアル特集が掲載された号があります。特にアニメージュ1984年9月号や10月号などが有力です。
ヤフオク!では特集ページ目当てで1冊1,500~3,000円程度の落札例が見られます。特集ページが切り抜かれていると価値は大きく下がります。
ムック本・設定資料集
正式な設定資料集やムックは発行されておらず、現状で存在確認されている関連書籍はあだち充作品全体を扱った漫画家特集本に限られます。これらも出品頻度は少なく、1,000円前後で取引されることが稀にあります。
■ 音楽関連(サウンドトラック・主題歌レコード)
EPレコード(7インチシングル)
主題歌「エンドレスサマー」や挿入歌「八月のゆくえ」などが収録されたシングル盤が1984年に東芝EMIからリリースされており、アニメファン・レトロ音楽愛好家の間で一定の需要があります。
ジャケット付き・状態良好な盤は3,000~5,000円前後で取引されており、帯付きや未使用品はさらに高値(6,000円超)となることも。
LPレコード(サウンドトラック)
複数作を収録したコンピ盤が出品されることがあり、4,000~8,000円前後での取引が報告されています。
●現在購入可能な人気売れ筋商品です♪
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