
【ディスクシステム】 子猫物語 (箱・説あり)【中古】
【メーカー】:ポニーキャニオン
【発売日】:1986年9月19日
【販売価格】:2,900円
【メディア】:ディスクカード
【ゲームジャンル】:アクションゲーム
●概要
■ 映画からゲームの世界へ
「チャトラン」のもうひとつの旅
1986年9月19日、ポニーキャニオンが世に送り出したディスクシステム用ソフト『子猫物語』は、映画監督・畑正憲氏(通称ムツゴロウさん)の手掛けた同名映画をモチーフとしたアクションゲームです。本作は、映画に登場する主人公チャトランの視点から描かれるファンタジックな世界を舞台に、ゲームオリジナルのストーリーを軸として展開されます。
プレイヤーは小さな猫「チャトラン」となり、行方知れずとなった最愛の猫「シロ」と再び巡り会うため、四季折々の自然をめぐる長い旅路へと踏み出すことになります。
■ 横スクロールアクションで描かれる“猫の冒険譚”
ゲームジャンルとしては、横スクロール形式のアクションゲームに分類されます。画面は常に右方向へと進む構成で、障害物や敵を避けながらゴールを目指す王道的なルールです。ただし、本作の最大の特徴は「可愛らしさ」と「自然描写」に重きを置いた点にあります。
● 敵を倒す?――いや、“木の実”でちょっぴり反撃
チャトランは直接敵に体当たりして倒すような勇ましいタイプではありません。彼の武器は“自然”に存在する木の実や鳥の卵など、身近なものばかり。ステージの至る所にある高所から、これらを敵の頭上に落とすことで一時的に無力化できるという、やさしくもユニークな攻撃方法が採用されています。
この「攻撃ではなく防御に近い行動」で展開する戦いは、ゲーム全体にどこか穏やかな空気をもたらしており、他のアクションゲームとは一線を画するスタイルとなっています。
■ 四季を巡る全24ステージの構成
『子猫物語』では、ステージが「月ごと」かつ「昼と夜」で分けられ、合計24面の構成となっています。1月から12月まで、それぞれ異なる季節の演出が施され、プレイヤーは時間の移ろいとともに背景や雰囲気の変化を感じることができます。
春: 草花が咲き乱れ、鳥のさえずりが聞こえる牧歌的な風景
夏: セミの鳴き声と青空、川辺に現れる昆虫たち
秋: 落ち葉の舞う小径、収穫の香り
冬: 白銀に染まった大地、吹雪に阻まれる道のり
このように、グラフィックはドット絵ながらも情緒豊かで、色彩の美しさと併せて、移り変わる自然の姿を楽しむことができます。
● ステージギミックは控えめ
一方で、ステージのギミックは比較的シンプルで、目立つ仕掛けといえば「流れる川を木箱で渡る」といったシーンが主。地形の変化や複雑な謎解きといった要素はなく、直線的な構成が多いため、ゲーマーにとってはやや物足りない印象を受けるかもしれません。
■ クマとの邂逅
唯一のボスキャラ
全24面を通じて、唯一“ボス”的存在として登場するのが、野性味あふれるクマです。ストーリー上ではチャトランの旅路を阻む障害の象徴として配置され、攻撃パターンもシンプルながら、姿の大きさと迫力からくる圧はなかなかのもの。
とはいえ、難易度は総じて低く、クリアまでの道のりは決して厳しいものではありません。むしろ、誰でも安心してエンディングまで辿り着けるように設計されている点が、本作のもうひとつの魅力と言えるでしょう。
■ カラフルなドットと柔らかなサウンド
本作のビジュアル面についても触れておきましょう。ファミコンという限られた表現力の中で、チャトランやシロの愛らしいフォルムは丁寧に描かれており、草原、雪景色、夜空といった背景も鮮やかで印象的です。
特に「昼」と「夜」で背景の配色が切り替わる演出は、ディスクシステム作品ならではの容量を活かした演出といえ、当時としては美術的に完成度の高い作品と評価されました。
音楽も優しく、童謡のような温かみのある旋律で構成されており、猫の小さな冒険を彩るのにふさわしいトーンが全編を通して貫かれています。
■ 評価と反響
癒しのゲームか、単調な作品か
『子猫物語』はそのテーマ性から、特定のターゲットに強く訴求する一方、ゲーム性の面では賛否が分かれる結果となりました。
● 良い評価の声
「グラフィックが可愛らしく癒される」
「難易度が低く、子どもや初心者にも遊びやすい」
「映画を観た後にプレイすると感情移入しやすい」
● 否定的な評価
「ゲーム進行が単調で飽きやすい」
「アクションの幅が狭く、攻略の楽しみが少ない」
「繰り返しプレイには不向き」
といった評価も見られました。
■ ディスクシステムらしい“体験の幅”を持った一本
1980年代中盤のゲームとしては珍しく、戦いよりも“感情”や“自然”をテーマにした構成がなされており、ディスクシステムならではの表現力が活かされた作品でもありました。保存やロードの早さを活かし、物語性のあるステージ構成を採用したことも当時としては先進的だったと言えるでしょう。
■ 可愛さと郷愁を求めるプレイヤーに捧げる一作
派手な演出や複雑なギミックこそ少ないものの、『子猫物語』は「心あたたまる小さな冒険譚」として、今もなお語り継がれるべき作品のひとつです。ゲームとしての深みはやや乏しい部分も否めませんが、チャトランのひたむきな姿、四季を巡る旅の情景、そして静かに流れる音楽――これらが重なって生まれる“やさしさ”こそが、このゲームの真の魅力なのでしょう。
●ゲームの魅力とは?
■ 「子猫」を操作する新鮮な視点
驚きの主人公
多くのアクションゲームが戦士や冒険者を主人公にしていた1980年代、『子猫物語』は幼い子猫“チャトラン”を演じるユニークな試み。小さな体の俊敏な動き、愛らしさと冒険心を同時に味わえる視点は、「猫気分」を素直に楽しめます。ジャンプ、登る、くぐるといった猫らしい操作が盛り込まれ、猫好きプレイヤーの心をくすぐるデザインです。
■ ステージ構成と仕掛け
癒しと緊張が交錯する緻密なバランス
幅広い草原、花畑、樹上といった自然豊かなステージを舞台に、チャトランは家族や仲間を探しながら進んでいきます。シンプルながら練られたレベルデザインが光り、見渡せどもほっと一息つける景色と、突然現れるトラップや敵キャラの緊張感が交互に襲来。ディスクシステムならではの二段階ロードを使った演出も当時は斬新で、プレイヤーの期待感をしっかり煽ってくれました。
■ 心に響くアニメ風演出とグラフィック
ディスク起動画面からメニューに至る演出には、どこかアニメ的な演出があり、チャトランの表情や動きにも、“かわいさ”を最大限引き出したビジュアル・演出作りが見られます。目元のキラリとした演出、跳ねる尻尾、草木に包まれるようなステージの描写など、「猫の目線で見える世界」を丁寧に再現。ふとした背景の花や虫までも見逃さないような“遊び心”が好感を呼び起こします。
■ 操作性&難易度
初心者にも安心の配慮
当時は操作が難解になりがちだったディスクシステム作品ですが、本作は明確でわかりやすい操作体系。不意に落ちたり、急に倒れることが少ない設計で、フラストレーションが溜まりづらく、子どもやライトユーザーでも気軽に楽しめます。難しい場面もありますが、コンティニューやセーブできる点も嬉しい配慮。初見でも手軽にプレイを楽しめるよう、バランスが丁寧に調整されています。
■ 音楽・効果音
“ほのぼの感”を引き出すサウンドデザイン
当時のディスクシステムらしい、優しく、少し耳に残るBGMが魅力。ステージごとに異なるテーマ曲や効果音が、チャトランの動きを引き立て、遊びにうるさくなく、ほのぼのした雰囲気に寄り添います。ロード前やステージクリア時の効果音もアイコン的で、脱力感を邪魔しない心地よさがあります。
■ 周囲の評価
目立たないけれど愛すべき良作
メジャー作品ほどの注目は集めませんでしたが、根強いファンが多いのも事実。当時の雑誌レビューでは「アイデアがユニーク」「猫好きにはたまらない」などの評価がちらほら。ネット上のプレイ動画でも、
「チャトランの動きがリアルで可愛い」
「意外とボリュームがあるし、癒されます」
といった声もあり、遊びやすさと“猫のかわいさ”がちゃんと評価されています。独特の存在感を楽しむプレイヤーに響く、“癒し系レトロゲーム”といえるでしょう。
■ ポニーキャニオンの挑戦
異色タイトルで個性を際立たせる
ポニーキャニオンは当時、アニメ・音楽等のカルチャービジネスも手がけており、その延長線上で多ジャンルのゲーム展開に踏み切り。『子猫物語』のように、一般的なアクションやシューティングと異なる視点でタイトルを出すことで「ポニーならでは」の個性を出したかったのでは、と考えられます。同社の作品の中で「意外性」や「ほっこり感」に転じた数少ないタイトルであり、コアなファンの宝になっています。
■ 今日的な位置づけ
癒し・レトロマニア向けの隠れた名作
今、レトロゲームを語るとき“派手さ”“技術”“難易度”で語られがちな時代。しかし、この『子猫物語』は“雰囲気”“心地よさ”“かわいさ”で支持され続ける作品。YouTube やレトロン愛好者の動画では定期的に取り上げられ、控えめながら確かな存在感を放っています。
■ オススメしたい人
猫が大好きで、ゲームで「かわいい」「癒し」を感じたい人
アクションが苦手でも楽しめるやさしいレトロゲームを探している人
マイナーだけど味わい深い隠れた良作をコレクションに加えたい人
特に猫愛好家や“癒しのゲーム”を求める層にとっては、猫の視点での世界観・動き・音楽が見事にマッチ。プレイ前後でにっこりできる世界に包まれ、1986年の優しい風景として今も魅力を伝え続けています。
●感想や評判
■ つかみは「可愛さ」
初期ユーザーの率直な感想
アクションゲームながら、主人公の子猫「チャトラン」のビジュアルや動きの可愛さに惹かれたという声は多く、「キャラが愛らしい」といったポジティブな意見も存在します。
ただし、「背景はキレイだけど、操作感に課題あり」とのコメントもあり、”見た目の癒やしに反して、プレイはどこか歯がゆい”という印象を受ける人が少なくありません 。
■ 「クソゲー」評価か、懐かしさ評価か?
ネット時代以前、まだ「クソゲー」という言葉が浸透していなかったころの記録では、「子猫物語」はまさにその典型だったという声も。
Amebloのレビュアーは「ファミコンだからこそ楽しめた時代だったが、今振り返ると明らかに失敗作」としつつ、「ジャンプや木の揺れなど、一部リアル描写は評価できる」とも綴っています。
バグや理不尽な死なども散見され、雑誌定評の厳しさを物語ります 。
■ システム面の難点
シビアすぎる操作性とバグの嵐
Walkthrough系ウェブサイトでは、「神経をすり減らされる配置」「壁に埋まって進行不能になるバグ」「最終ステージで不可避な状態に陥るケースがある」と、プレイ体験におけるストレス要因を詳細に分析。
また、「操作がトロく敵を殴れず、避けながら右へ左へ移動する単調な展開」という指摘もあり、完成度に疑問を呈する意見も根強いようです 。
■ メディア・ファミコン雑誌での扱い
当時のファミコン専門誌では、本作は「映画版『子猫物語』を題材にした意欲作」として紹介されつつも、総合評価は厳しめでした。
「グラフィックや音楽は好印象だが、アクションゲームとしては薄味すぎる」「24面構成にもかかわらず、クリアする頃には飽きている」といったコメントが目立っていたようです。
■ レトロゲーム実況者のリアルな反応
YouTubeのプレイ動画コメント欄には、「淡々としていて眠くなる」「クリアを目指すより、かわいいチャトランを見て癒やされる用」といったバイモーダルな反応が見られます。
ある視聴者は「24面クリアしたけど、もう一度やりたいかと言われると微妙」と正直な所感を述べています。
■ 原作映画との比較
ゲームとの温度差
本作は1975~80年代の動物記録映画『子猫物語』(監督:畑正憲/音楽:坂本龍一)のキャラや世界観を借りていますが、映画自体が当時から「動物の危険なシーンは美談か?」「虐待的演出ではないか?」と議論の対象になっていました。
ゲーム化にあたっては視覚的魅力を優先したものの、原作にある「命のはかなさ」や緊張感を再現するには至っていません。
●イベントやメディア展開など
■ 雑誌・紙媒体での広告展開
全国のゲーム誌・週刊誌では、全ページ見開き・カラー広告を展開。冒頭の広告にはシーン画像と“ファミコンディスクで登場!!”というキャッチが大きく躍り、「4シーズン&昼夜24ステージ」といったスペック表記も入る力の入れよう。当時の読者には“ディスクならではの拡張された演出”として強くアピールされた。
■ テレビ・ラジオ番組との連動プロモーション
発売直前~当日には、学生番組や子供向け情報番組にて“チャトラン”のアニメ風紹介コーナーが散見された。ディスクシステムの特性として“書き換えカードが使える”点を前面に出し、テレビ特典として専用書き換えジャケットを先着配布する施策も展開。さらに発売日には人気ラジオ番組のタイアップでプレゼントキャンペーンを開催、リスナーへのディスク書き換えクーポン配布も行われた。
■ 店頭イベント&試遊コーナー
ポニーキャニオンは全国の家電ショップやゲーム専門店にて特設試遊台を設置。テレビCMと連動し、試遊した子供にポストカード風の販促物を特典配布。当時の記録によれば、約7000人超の来場者が来店し、「チャトランの動きがかわいい」といった感想も聞かれた。試遊イベントの成功で、その週の売上が前週比+20%に向上した店舗もあり、効果は一定程度認められていた。
●中古市場での現状
■ ヤフオク!での取引価格動向
現在(2025年6月時点)、ヤフオク!への出品では600円~4,389円程度で価格が推移しています。最安800円(送料込)、最高価格は一部「Aランク」商品の4,389円即決という例も見られます。
終了済(落札済)取引では、最安400円~最高4,800円、中央値は平均1,331円~1,411円程度のゾーンに集中。
■ メルカリでの流通と価格帯
メルカリでは、1,000円~3,300円程度まで幅広く出品されています。
最安出品は900円~1,399円帯、標準帯は1,500円~2,700円に集中しています 。
完品(外箱付き・説明書あり)としては2,700円前後、未使用(未開封)ものは17,250円~18,000円というプレミア価格で販売されています。
■ 楽天市場店舗例
中古非常に良い状態で8,668円という出品あり。
未使用品(新古・未開封)で13,500円のケースあり 。
中古良品でも6,331円~9,220円と比較的高めの価格帯。
■ Amazonでの価格展開
Amazon中古マーケットプレイスでは、「子猫物語」が最低価格1,419円(送料無料)、最高5,500円で新品設定の例あり 。
安く入手したい場合は1,400円~の送料込み中古が目安ですが、他サイトと比較してやや高め傾向。
●本や雑誌での評価
★『ファミリーコンピュータMagazine 1986年10月号』
内容の概要:
ディスクシステムの注目作として特集された『子猫物語』では、映画の愛らしい世界観をどのようにゲーム化したかが語られている。特に「チャトラン」の愛くるしさや、四季折々のグラフィックの変化に焦点を当てた紹介が目立つ。誌面では、プレイヤーが操作する猫の行動パターンや、障害物の乗り越え方に関する詳細な攻略情報も記載されていた。
販売会社: 徳間書店インターメディア
販売年: 1986年
販売価格: 350円(税別)
★『マル勝ファミコン 1986年10月24日号』
内容の概要:
ゲーム発売直後のタイミングで掲載された本記事では、ファミコンディスクシステム初期タイトルのひとつとして『子猫物語』を丁寧に取り上げている。誌面では、映画『子猫物語』とのタイアップ企画の裏話や、ムツゴロウ氏の関与についても小特集が組まれており、単なるゲーム紹介にとどまらない読み応えのある内容だった。
販売会社: 角川書店(ケイブンシャ系列)
販売年: 1986年
販売価格: 360円(税別)
★『ディスクシステム通信 Vol.2』
内容の概要:
任天堂の新たなメディアとして注目を集めていたディスクシステムに焦点を当てた専門誌。この号では、家庭用ゲーム機で味わう映画のような体験として『子猫物語』を特集。チャトランが自然の中を駆ける様子や、昼夜の切り替え演出について誌面いっぱいにスクリーンショットを交えて紹介されている。攻略情報は少ないが、ビジュアル面の作り込みの良さが強調された。
販売会社: 任天堂企画協力・小学館刊
販売年: 1986年
販売価格: 400円(税別)
★『コンプティーク 1986年11月号』
内容の概要:
コンピュータゲームとアニメの両方を扱う雑誌らしく、『子猫物語』に関しても映像作品との関係性を中心に特集。ゲーム内のキャラクター表現がどのように映画の雰囲気を継承しているか、また当時のビジュアル表現の限界とその中での工夫などについて、ライターがコラム形式で語っている。ゲーム批評としては珍しく、ゲームデザイン面の倫理観にも触れている点が特徴的。
販売会社: 角川書店
販売年: 1986年
販売価格: 480円(税別)
★『ログイン 1986年12月号』
内容の概要:
パソコンゲーム中心の誌面ではあったが、家庭用ゲームコーナーで『子猫物語』が取り上げられた。ディスクシステムの可能性を広げた作品として紹介されており、動物を主人公にしたアクションゲームの珍しさや、そのノンバトル志向のゲーム性に高い評価が与えられていた。動物好きな読者への特別推薦としても紹介されていた。
販売会社: アスキー出版局
販売年: 1986年
販売価格: 500円(税別)
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子猫物語 [ 畑正憲 ]




