
未来警察ウラシマン Blu-ray BOX【Blu-ray】 [ 小林通孝 ]





【アニメのタイトル】:未来警察ウラシマン
【原作】:曽田博久
【アニメの放送期間】:1983年1月9日~1983年12月24日
【放送話数】:全50話
【監督】:真下耕一
【シリーズ構成】:曽田博久
【キャラクターデザイン】:なかむらたかし、加藤茂、井口忠一
【メカニックデザイン】:大河原邦男
【音楽】:風戸慎介
【技術監修】:宮本貞雄
【美術監督】:宮前光春
【キャラクター原画作監】:河合静男
【脚本】:曽田博久、山崎晴哉、高野太
【制作】:フジテレビ、タツノコプロ
【放送局】:フジテレビ系列
●概要
■ 時を超えてたどり着いた未来都市・ネオトキオ
1983年1月9日から同年12月24日まで、フジテレビ系列で全国放送されたアニメーション作品『未来警察ウラシマン』は、タツノコプロが手がけた近未来SFアニメである。放送開始当時から独自の世界観と親しみやすいキャラクター造形で、多くの子どもたちを魅了した。
舞台は、1983年から未来へタイムスリップした若者が、超近代都市「ネオトキオ」で新たな運命に巻き込まれていく物語だ。ハードなSF設定を持ちながらも、低年齢層へのアピールを意識して、全体にコミカルなタッチと軽妙なストーリーテリングが徹底された点が大きな特徴である。
■ 1983年から2050年へ、時を駆けるヒーロー
物語の主人公は、記憶を失ったまま2050年に辿り着いた若者、通称「ウラシマ」。偶然にも未来世界で目覚めた彼は、その高い身体能力と正義感を買われ、未来警察「メガロポリス・プライム」にスカウトされる。
人々を苦しめる犯罪組織「ネクライム」との戦いの中で、ウラシマは仲間たちと絆を深めつつ、自らの過去と向き合っていく。彼の正体とは何なのか? 失われた記憶に秘められた真実とは? 未来世界の喧騒のなか、ウラシマの青春が眩しく輝く。
■ コメディタッチの妙技:子どもたちに寄り添う演出
『未来警察ウラシマン』のもう一つの特徴は、低年齢層向けの親しみやすさを徹底した点だ。ストーリーの骨子はシリアスでありながらも、日常シーンでは大胆なギャグ描写やデフォルメ表現を多用。
キャラクターの顔が極端に崩れる演出は、「未来」という難解になりがちな設定に、軽やかな息吹を与えた。タツノコプロらしい、コメディとシリアスの絶妙なバランスが、この作品を唯一無二のものに仕上げている。
■ 音楽:未来感と青春の疾走感を彩るサウンド
主題歌や劇中音楽も作品の人気に一役買った要素である。オープニングテーマ「ミッドナイト・サブマリン」は、スピード感あふれるメロディラインと近未来的な歌詞が印象的で、今なお根強い人気を誇っている。エンディングテーマ「ドリーム・シティ・ネオトキオ」は、ネオトキオの夜景を彷彿とさせる哀愁漂うバラードとなっており、物語の余韻をやさしく包み込んだ。
これらの楽曲は、未来社会を駆け抜けるウラシマの姿を鮮やかにイメージさせ、視聴者の心に強く刻み込まれた。
■ 制作スタッフとその情熱
本作は、タツノコプロの精鋭スタッフによって制作された。特に、作画・演出面においては、当時のアニメ業界でも屈指の実力派クリエイターたちが関わっており、そのクオリティの高さが随所に現れている。
未来都市のメカニカルデザインや、スタイリッシュなキャラクターデザインは、当時の子どもたちだけでなく、若いアニメファンやクリエイター志望者たちにも大きな影響を与えた。
■ 2017年に蘇った記憶──Blu-ray BOX化
長らく再評価を待たれていた『未来警察ウラシマン』だったが、2017年、ついにBlu-ray BOXが発売された。このリリースは、当時のファンにとって待望の出来事であり、映像の高画質リマスター版によって、ウラシマたちの活躍が鮮やかに甦った。
パッケージには特典映像や新録インタビューも収録され、初放送から30年以上を経た今もなお、この作品が愛され続けていることを証明する内容となった。
■ 受け継がれるウラシマンのスピリット
『未来警察ウラシマン』は、単なる一過性のSFアニメにとどまらず、未来への憧れ、友情、成長、正義感といった普遍的なテーマを、軽やかでありながら深いタッチで描ききった。
現代のアニメ作品と比べれば、当時特有のレトロな演出も目立つが、その素朴さこそがウラシマンの魅力であり、視聴者の心を温かく照らし続けている。
新たなファン層にも受け入れられつつある本作は、今後も語り継がれていくに違いない。未来に憧れ、仲間とともに道を切り拓こうとする若者たちへ──ウラシマンは、これからも静かにエールを送り続けるだろう。
●あらすじ
■ 目覚めた先は未知の未来──ウラシマリュウ誕生
1983年──一人の青年が、警察から逃走する最中、突如として時空のひずみに呑み込まれた。彼が辿り着いたのは、なんと半世紀以上先、2050年の超巨大都市「ネオトキオ」だった。
名前も過去も思い出せない彼は、未来の社会で戸惑うばかり。しかし、ネオトキオの治安を守る組織「メガロポリス88分署(通称マグナポリス88)」の権藤警部と出会ったことで、運命が大きく動き出す。青年は「ウラシマリュウ」と名付けられ、警察組織の一員として新たな人生を歩むことになる。
■ 新たな仲間とともに──正義のチーム、結成!
ウラシマリュウは、天性の運動神経と超常的な能力を活かし、マグナポリス88の仲間たちと共に犯罪と闘っていく。冷静沈着な分析官クロード・ミロ、才色兼備の捜査官ソフィア・ニノミヤなど、多彩な仲間たちに支えられながら、彼は一人前の警官として成長していった。
ネオトキオは、最新技術が発達した未来都市である一方、巨大な闇を抱えていた。街には無法者がはびこり、犯罪組織「ネクライム」が暗躍。リュウたちは、日夜、凶悪な犯罪に立ち向かい、ネオトキオを守るために奔走する。
■ 立ちはだかる影──ネクライムと総統ヒューラーの野望
マグナポリス88の最大の敵、それが秘密結社ネクライムだ。科学と暴力を武器に、都市の支配を目論むネクライムの中心には、冷酷非情な総統ヒューラーが君臨していた。
しかし、リュウは、ヒューラーと対峙する中で、単なる敵対関係を超えた奇妙な因縁を感じ取る。果たして、リュウとヒューラーの間にはどのような繋がりが隠されているのか? リュウの失われた記憶には、未来の運命すら左右する重大な秘密が秘められていた。
■ 未来を変える鍵──リュウの過去と超能力
戦いを重ねる中で、リュウの隠された能力が徐々に覚醒していく。常人を遥かに凌駕する身体能力だけでなく、直感力、テレパシー的な感応能力など、人知を超えた力がリュウを支える。
リュウがなぜ未来に導かれたのか。彼の超能力はどこから来たのか──答えを求める旅は、やがてリュウ自身の出生の秘密、さらにはネオトキオを覆う陰謀に迫っていく。
■ 友情と絆──仲間たちとの信頼を胸に
どれほど厳しい戦いの中でも、リュウを支えたのは、仲間たちとの絆だった。クロードの冷静な知恵、ソフィアの優しさ、権藤警部の頼もしさ──未来に馴染めずにいたリュウにとって、彼らはかけがえのない家族のような存在となった。
一方で、リュウ自身も周囲を変えていく存在となる。未来の社会に閉塞感を抱いていた仲間たちは、リュウの純粋な行動力と信念に触れることで、再び正義を信じ、明日へ踏み出していく。
■ クライマックスへ──運命との対決
リュウとネクライムの戦いは、やがて未来都市全体を巻き込む大規模な抗争へと発展していく。ヒューラーの正体と、リュウの失われた過去──二つの謎が交錯したとき、物語は衝撃のクライマックスを迎える。
リュウは自らの運命を受け入れ、未来のために、そして自ら信じた仲間たちのために最後の戦いに挑む。彼が選び取る未来とは? そして、彼の冒険の果てに待っているものとは?
未来都市を駆け抜けた、ウラシマリュウの青春の物語は、今もなお、多くの人々の心に鮮やかに刻まれている。
●登場キャラクター・声優
●ウラシマ・リュウ
声優:小林通孝
本作の主人公で、1983年から2050年の未来都市ネオトキオにタイムスリップしてきた青年。記憶を失い、自分の名前すら思い出せない彼は、警部の権藤に「ウラシマ・リュウ」と名付けられ、未来の警察機構「マグナポリス38」の一員として活動を始めます。明るく人懐っこい性格で、正義感が強く、超能力を持つことから「ウラシマン」と呼ばれます。物語が進むにつれて、自らの過去や存在意義に悩みながらも成長していきます。
●クロード・水沢
声優:神谷明
マグナポリス38の機動刑事で、金髪碧眼の美男子。自称「スーパーウェイの稲妻クロード」と名乗り、冷静沈着で射撃や運動能力に優れています。当初はエリート意識が強く、リュウと対立することもありましたが、次第に人間味あふれるキャラクターへと変化していきます。また、神谷明は本作でナレーションも担当しています。
●ソフィア・ニーナ・ローズ
声優:横沢啓子
マグナポリス38の紅一点で、元は見習いシスターでしたが、権藤警部にスカウトされて秘書として採用され、その後機動刑事となります。明るく可愛らしい性格で、当時流行していた「ぶりっ子」言葉を多用します。弱いながらも予知能力を持ち、リュウに何らかの影響を与えることが期待されています。
●権藤 透
声優:大平透
マグナポリス38の分署長で、厳格ながらも部下思いの上司。リュウに「ウラシマ・リュウ」という名前を与え、彼を機動刑事として迎え入れます。経験豊富で頼れる存在として、部下たちをまとめ、ネクライムとの戦いを指揮します。
●ミャー
声優:勝生真沙子
リュウの相棒である黒猫。人間の言葉を理解し、コミカルな動きで物語に彩りを加えます。
●アドルフ・フォン・ルードヴィッヒ
声優:塩沢兼人
冷徹な美学を信奉するネクライムの幹部であり、後に二代目総統となる野心家。彼の冷静な判断力と策略は、ネオトキオを混乱に陥れる。物語終盤では、フューラーを追放し組織を掌握するが、ミレーヌの裏切りにより一度は敗北。しかし、最終話で再び登場し、悪の美学の不滅を宣言する。
●ミレーヌ・サベリーエワ
声優:北浜晴子
ルードヴィッヒの側近として行動する謎多き美女。実はフューラーの娘であり、記憶を消されてルードヴィッヒの監視役として配置されていた。物語終盤で記憶を取り戻し、ルードヴィッヒを裏切るが、彼の復活後には再び彼の側に戻る。
●ジタンダ・フンダ
声優:田中真弓
ネクライムの一員で、コミカルな言動と高い戦闘能力を併せ持つキャラクター。最終話では、ネクライムの生き残りとしてリュウの授賞式を襲撃し、自らを三代目総統と名乗るが、メカ分署のメンバーによって阻止される。
●総統フューラー
声優:丸山詠二
ネクライムの創設者であり、科学者としての顔も持つ高齢の指導者。片足が義足で、肩にはリュウと同じ傷がある。不老不死の研究の副産物であるサイコレーザーを発明し、組織を支配していたが、ルードヴィッヒによって一度は追放される。その後、コスモパワーを身につけて復活し、リュウとの関係性が物語の鍵となる。
●主題歌・挿入歌・キャラソン・イメージソング
●オープニング曲
歌名:「ミッドナイト・サブマリン」
歌手:HARRY
作詞:康珍化
作曲:鈴木キサブロー
編曲:HARRY
■ 歌のイメージ
「ミッドナイト・サブマリン」は、『未来警察ウラシマン』の世界観を一瞬でリスナーに伝える、疾走感あふれるロックナンバーだ。タイトルにある「ミッドナイト」と「サブマリン」という一見相反する単語が、未来都市ネオトキオの夜を疾駆するイメージと絶妙に重なり、リスナーにスピード感とミステリアスな空気を同時に感じさせる。
楽曲は、スタートから一気に駆け抜けるようなアグレッシブなギターリフと、力強いドラムビートで幕を開ける。その音の波に乗るように、HARRYの乾いたハスキーボイスが都会の夜を切り裂く。歌詞の世界観と音作りが完璧にシンクロしており、まさに「夜の都市を突き進む疾走感」を体感できる一曲に仕上がっている。
■ 歌詞の概要
歌詞は、冷たく光る都市の夜を舞台に、自由を求めて走り続ける若者の姿を描いている。
未来社会の巨大な圧力、何者かに監視されるような不安、それらを振り切るために、少年は「ミッドナイト・サブマリン」という名の孤独な航海に出る。
サビ部分では「誰も追いつけないスピードで走り抜けろ」というようなニュアンスのフレーズが繰り返され、聴く者に無意識のうちに高揚感を与える。都市の冷たさと個人の熱さのコントラストが、美しいバランスで描かれている。
■ 歌手・HARRYの歌い方
HARRYのボーカルは、全体に乾いた感触があり、情熱を内に秘めながらも表面ではクールに装っているような印象を与える。
特に高音域に差し掛かるサビでは、声が一瞬かすれるような絶妙なニュアンスを交え、聴き手に「切なさ」と「疾走感」の両方を叩きつけてくる。
リズムに乗せた早めのフレージングと、伸びやかなビブラートを抑えたシャウトが、ネオトキオのハードボイルドな夜を鮮烈に描き出している。
■ 視聴者・リスナーの感想
放送当時から現在に至るまで、「ミッドナイト・サブマリン」は『未来警察ウラシマン』の象徴とも言える存在として語り継がれている。
特にファンの間では、オープニング映像と楽曲のシンクロ率が非常に高いと絶賛されており、「曲を聴くだけでネオトキオの夜景が目に浮かぶ」という声も多い。
また、音楽ファンからは、「子ども向けアニメソングとしては異例の大人びたクールなアレンジ」「今聴いても全く色褪せない」といった高い評価を受けている。
後年、HARRY本人によるセルフカバーやカラオケ配信なども行われ、長年にわたって幅広い世代に愛される名曲として確固たる地位を築いている。
●エンディング曲
歌名:「ドリーム・シティ・ネオ・トキオ」
歌手:HARRY
作詞:康珍化
作曲:芹澤廣明
編曲:HARRY
■ 歌のイメージ
「ドリーム・シティ・ネオ・トキオ」は、オープニング曲とは対照的に、静けさと幻想をたたえたバラードだ。
未来都市に生きる人々の孤独と希望を、夜のネオンに溶けるように優しく描いている。
サウンドはシンセサイザーを多用し、どこか浮遊感のあるコード進行と、やわらかなストリングスが重なり、リスナーをネオトキオの夜空へといざなう。未来的でありながら、どこか懐かしさも感じさせる、不思議な情感に満ちた一曲である。
■ 歌詞の概要
この曲の歌詞は、華やかな都市のきらめきの裏にある、個人の孤独や切ない夢を描写している。
「ネオトキオ」という街は未来の象徴であると同時に、そこに住む人間たちの孤独の象徴でもある。
「明日へ続く道を信じて歩こう」というメッセージが込められており、ウラシマリュウの物語──つまり、未来に希望を託して走る若者たちの心情と、美しく重なり合っている。
■ 歌手・HARRYの歌い方
HARRYの歌唱は、オープニングとは打って変わって繊細かつ叙情的だ。
低音域では静かに語りかけるように、サビでは一転してエモーショナルに、しかし決して力強くはならず、柔らかい声色で未来への祈りを紡いでいく。
ビブラートを抑えたシンプルな歌い回しが、かえって感情の深みを強調しており、聴く者にじんわりと染み入るような余韻を残す。
■ 視聴者・リスナーの感想
「ドリーム・シティ・ネオ・トキオ」は、作品の余韻をそっと包み込むようなエンディングテーマとして、多くの視聴者の心に深く残った。
ネット上では「子どもの頃は気づかなかったが、大人になって聴くと泣けてくる」という感想が非常に多く、時を経て評価がより高まった楽曲とも言える。
また、「未来に希望を持つことの尊さを教えてくれた一曲」として、特に青春時代にこのアニメをリアルタイムで見ていた世代から、今なお熱烈に支持されている。
アニメソングという枠を超えた、完成度の高いバラードとして再評価される機会も増えており、HARRYの歌手としての表現力を改めて認識するきっかけになったとの声もある。
●挿入歌
歌名:「Crystal Knights NECRIME」
歌手:MoJo
作詞:竜の子プロ企画室
作曲・編曲:風戸慎介
■ 歌のイメージ
「Crystal Knights NECRIME」は、未来警察ウラシマンにおける“敵側”を象徴する一曲。
そのタイトルが示すとおり、「クリスタルの騎士団=ネクライム」という、どこか神秘的で冷たく、そして絶対的な悪の存在感を高らかに歌い上げている。
サウンドは重厚なエレキギターと硬質なドラムがリードし、未来世界の冷たさと緊張感を一気に表現している。曲調はややロック寄りで、直線的なリズムとダークなメロディラインが聴く者に鋭い印象を残す。まるでネオトキオの夜を静かに、しかし確実に侵食していくネクライムの姿が音になったかのようだ。
■ 歌詞の概要
この楽曲の歌詞は、ネクライムという組織の不気味な威容と、その圧倒的な力を詩的に描写している。
「結晶の鎧をまとい、未来をも支配する騎士団」として、ネクライムの冷酷さと統率力が強調されている一方、どこかで「この未来は誰のものか」という含みも感じさせる作りになっている。
歌詞全体に散りばめられた言葉選びは非常に硬質で、一般的なアニメ挿入歌の“明るさ”とは一線を画している。子ども向け作品にも関わらず、こうした重厚なテーマ性を持ち込んだ点は、当時としては異例だった。
■ 歌手・MoJoの歌い方
MoJoのボーカルは、力強さと哀愁を併せ持っている。
この楽曲において彼は、やや抑えめながら芯の通った歌声で、ネクライムの威厳と暗黒感を表現している。
特に低音域での太い声質が、ネクライムの絶対的な存在感とマッチしており、聴く者に一種の畏怖すら感じさせる。
また、サビでは感情を一気に爆発させるような歌い回しを見せ、緊迫感と緊張感が最高潮に達する。このダイナミクスの巧みさが、単なる敵キャラのテーマソング以上の説得力を与えている。
■ 視聴者・リスナーの感想
放送当時は、「敵側の歌がこんなにカッコいいのか!」という驚きの声が多かった。
特に少年層の視聴者からは、「ネクライムのテーマ曲を聴くと鳥肌が立つ」「あの曲が流れると場面の空気が変わる」という感想が寄せられた。現在でもネット上では、「未来警察ウラシマンの隠れた名曲」として評価が高く、MoJoの男臭いボーカルが“悪役の美学”を見事に体現していると絶賛されている。
●挿入歌
歌名:「Maybe」
歌手:MoJo
作詞:竜の子プロ企画室
作曲:風戸慎介
編曲:いちひさし
■ 歌のイメージ
「Maybe」は、『未来警察ウラシマン』の中でもひときわ異色の存在感を放つ、繊細でメロディアスなバラード曲。
タイトルに込められた「たぶん」という言葉が示すように、確信と不安のはざまを漂うような、どこか曖昧で切ない空気が全編に漂っている。
サウンドはシンプルなアコースティックギターと、穏やかなストリングス中心で構成されており、静謐で優しい音世界が広がる。未来都市の喧騒とは対照的に、個人の内面を静かに見つめるような曲調だ。
■ 歌詞の概要
歌詞は、リュウたち若者が抱える迷いや孤独、そしてそれでもなお未来を信じようとする気持ちを丁寧に描写している。
「もしかしたら、うまくいくかもしれない」──そんなかすかな希望を頼りに、進み続ける主人公たちの心情が、繊細な言葉で綴られている。
決して力強く背中を押すわけではなく、そっと隣で寄り添うような優しさが、聴く者の心に静かに染みわたる。
■ 歌手・MoJoの歌い方
MoJoは、この「Maybe」で、これまでの熱いイメージとは一線を画す、非常にナイーブなボーカルを披露している。
力を抜き、優しく語りかけるような歌い方は、普段の彼のパワフルな歌唱とのギャップも相まって、より深い感動を呼び起こしている。
特にサビで見せる、ほんのわずかに震えるような歌声が、若者たちの不安と希望を見事に表現しており、聴き手に切ない余韻を残す。
■ 視聴者・リスナーの感想
「Maybe」は、当時の視聴者には「静かな名曲」として愛され、現在でも「心に残る隠れた名バラード」として語られている。
「大人になって聴き返すと、子どものころには分からなかった歌詞の意味に涙が出る」という声も多く、年齢を重ねるごとにその魅力が増す一曲だと評価されている。アニメ本編で印象的に流れる場面とリンクして、強く記憶に焼き付いているファンも多い。
●挿入歌
歌名:「Brother ~That’s all right, Brother~」
歌手:神谷明
作詞:康珍化
作曲:風戸慎介
編曲:スワミヒロシ
■ 歌のイメージ
「Brother ~That’s all right, Brother~」は、ウラシマリュウと仲間たちの熱い友情をテーマにした、明るく力強いロックチューン。
タイトルに込められた「Brother」という言葉には、単なる血縁ではない、「戦友」としての深い絆が込められている。
軽快なギターカッティングとエネルギッシュなドラムがリードし、元気と前向きな気持ちを一気に引き上げるような、爽快なアレンジが特徴的だ。
■ 歌詞の概要
歌詞は、「困難な時代でも、仲間がいれば乗り越えられる」というストレートなメッセージが込められている。
ネオトキオの喧騒の中で、リュウたちは互いに支え合い、信じ合いながら前に進んでいく。その姿を、まっすぐで情熱的な言葉で歌い上げている。
特に「それでいいんだ、ブラザー!」というリフレインが、聴く者にポジティブなエネルギーを与える。
■ 歌手・神谷明の歌い方
神谷明は、声優業でも知られるが、この楽曲では抜群のリズム感と爽やかな高音を生かし、アーティストとしての実力を見せつけている。
クリアで突き抜けるような声は、楽曲の明るさとピュアなエネルギーをさらに引き立てており、聴く者を自然と元気づける。
感情を込めすぎず、あくまで自然体で歌い上げるスタイルが、リュウたちの素直な友情をよりリアルに伝えている。
■ 視聴者・リスナーの感想
「Brother」は、アニメ本編の仲間たちの絆を象徴する楽曲として、視聴者から長く愛されている。
特に「ウラシマンの友情シーンにはこの歌!」という印象を持つファンも多く、応援ソングとして支持され続けている。
ネット上では「今でもカラオケで歌いたくなる」「聴くだけで仲間と笑い合った青春時代を思い出す」といった、温かい感想が多く見られる。
●挿入歌
歌名:「Heart Walker」
歌手:神谷明
作詞:康珍化
作曲:風戸慎介
編曲:スワミヒロシ
■ 歌のイメージ
「Heart Walker」は、未来都市の喧騒のなか、孤独に立ち向かう若者の姿を繊細に描いたミディアムテンポのバラードだ。
タイトルの「Heart Walker」が示す通り、傷つきながらも心を信じて歩き続ける者へのエールが込められている。
アレンジは、80年代らしいエレクトリックピアノと淡いシンセサウンドを基調に、都会の冷たい夜風を感じさせるクールな音作りになっている。
それでいて、どこか温かみのある旋律が、聴く者の心にそっと寄り添う。
■ 歌詞の概要
歌詞は「たとえ孤独でも、心が導くままに進め」というポジティブなメッセージに満ちている。
未来都市ネオトキオの輝きと裏腹に、そこに生きる人々が抱える寂しさを背景に、リュウ自身の孤独な戦いと重ね合わせるような内容になっている。
「迷ってもいい、傷ついてもいい、大事なのは歩き続けること」という信念を、洗練された言葉で描き出している。
■ 歌手・神谷明の歌い方
神谷明は、この曲で優しい語りかけるような歌唱を披露している。
声にこもる微かな哀愁が、リュウの不安と希望を巧みに表現しており、単なるアニメキャラソングを超えた深い味わいを持たせている。
特にサビの盛り上がりでは、少しだけ力を込めて感情を押し出す歌い方が心に響き、聴き手の胸にまっすぐ届く。
■ 視聴者・リスナーの感想
視聴者の間では、「ウラシマンの隠れた名曲」として高く評価されている。
「大人になってから聴くと泣ける」「孤独な時にそっと寄り添ってくれる曲」という感想が多く、特に深夜に静かに聴きたくなる楽曲として人気を集めている。
神谷明のナチュラルな歌唱も高く評価され、「俳優としての表現力が歌にも生きている」という声が多い。
●挿入歌
歌名:「Boogie-Woogie Cat」
歌手:かおりくみこ
作詞:竜の子プロ企画室
作曲・編曲:風戸慎介
■ 歌のイメージ
「Boogie-Woogie Cat」は、ネオトキオの裏路地を気ままに歩く猫をイメージした、軽快でお洒落なポップナンバーだ。
ブギウギ調のリズムに乗せて、自由気ままに生きるキャラクター像をユーモラスに描いている。
軽やかなピアノリフと弾むようなベースラインが印象的で、聴くだけで自然と肩が揺れるような楽しさに満ちている。
■ 歌詞の概要
歌詞は「誰にも縛られず、自分らしく自由に生きる」ことをテーマにしている。
ネオトキオという人工的な未来都市でも、猫のように軽やかに、したたかに生き抜く姿をポジティブに描写。
未来社会におけるサバイバル術を、コミカルな表現で歌い上げたユニークな楽曲だ。
■ 歌手・かおりくみこの歌い方
かおりくみこは、明るく弾むような声でこの曲を歌い上げている。
声に絶妙な遊び心があり、楽しい中にもクールな色気を感じさせるパフォーマンスだ。
特にサビでの「Boogie-Woogie~♪」という軽やかなフレーズが、曲全体に軽快なムードを与えている。
■ 視聴者・リスナーの感想
視聴者からは、「耳に残る中毒性の高い曲」「元気が出る」という感想が多く寄せられている。
女性キャラに寄り添うような可愛らしいナンバーとして、特に子どもたちから人気を集めた一曲だった。
また、アニメのシリアスな場面と緩急をつける役割も果たし、「Boogie-Woogie Cat」が流れるだけで場面が和らぐという効果も絶賛された。
●挿入歌
歌名:「Battle URASHIMAN」
歌手:MoJo
作詞:竜の子プロ企画室
作曲・編曲:風戸慎介
■ 歌のイメージ
「Battle URASHIMAN」は、タイトル通りリュウの戦いをテーマにした熱いアクションソングだ。
シンセサイザーとギターリフが一体となった疾走感あふれるサウンドが特徴で、まるで戦闘シーンそのものを音楽化したような緊張感がある。
未来都市のビル群を背景に、スリリングなバトルを繰り広げるリュウの姿が、力強く描き出される。
■ 歌詞の概要
歌詞は、「どんな困難にも立ち向かい、正義を貫く」というリュウの覚悟を、力強い言葉で描いている。
「決して諦めない心」「仲間と共に勝ち取る未来」など、熱血ヒーロー像がストレートに表現されている。
未来社会という無機質な背景の中で、人間らしさを捨てずに闘う主人公像が鮮やかに浮かび上がる。
■ 歌手・MoJoの歌い方
MoJoは、骨太で力強い歌声でこの楽曲を熱唱している。
特にサビ部分では声を張り上げ、リュウの不屈の精神をそのまま音に乗せるような迫力がある。
彼の男気あふれるボーカルが、曲全体を熱く盛り上げている。
■ 視聴者・リスナーの感想
ファンの間では「ウラシマンの魂を感じる曲」として非常に人気が高い。
特にバトルシーンでこの曲が流れると、テンションが一気に最高潮に達するとの声が多い。
「何度聴いても燃える」「今でも運動するときに聴きたくなる」といった感想が、当時から今に至るまで絶えない名曲である。
●挿入歌
歌名:「Fire Dancing」
歌手:かおりくみこ
作詞:竜の子プロ企画室
作曲・編曲:風戸慎介
■ 歌のイメージ
「Fire Dancing」は、情熱的なリズムに乗せて、未来都市を生きる若者たちの情熱と葛藤を描いたファンク調のナンバー。
タイトルにある「Fire」は、燃えたぎる心、「Dancing」はその情熱を抑えきれずに表現する様を意味している。
激しいドラムと熱いホーンセクションが印象的で、聴くだけで心が躍り出すようなエネルギーに満ちている。
■ 歌詞の概要
歌詞は「困難な状況でも、心の火を絶やさずに自分を信じて踊り続けろ」というメッセージを力強く伝えている。
「誰かに決められた道じゃない、自分自身の情熱に従え」という主題が鮮やかに描かれている。
未来社会に抗う若者たちの、抑えきれない衝動を肯定的に歌い上げたアグレッシブな一曲だ。
■ 歌手・かおりくみこの歌い方
かおりくみこは、この曲でパワフルかつダンサブルな歌唱を披露。
声にしなやかな強さを持たせ、曲のグルーヴ感を一層引き立てている。
特にサビでは、情熱を爆発させるようなシャウト気味の歌い方が印象的だ。
■ 視聴者・リスナーの感想
視聴者からは、「とにかく元気が出る曲!」「未来に立ち向かう勇気をもらった」という熱い支持が集まっている。
また、「Fire Dancing」が流れるシーンは、アニメ本編でもテンションが一気に上がる場面だったため、非常に印象深いと語るファンが多い。
●アニメの魅力とは?
■ タイムトラベル×未来警察という斬新な融合
1983年にフジテレビ系列で放送された『未来警察ウラシマン』は、数多くのアニメ作品が群雄割拠していた時代において、独特な存在感を放っていた。
タイムスリップという王道SF要素と、未来社会で正義を貫く警察ストーリーを巧みに融合させ、視聴者に新しいタイプの「未来への憧れ」を提示したのである。
本作の最大の特徴は、ただ未来を描くだけではなく、「未来に迷い込んだ若者」という主人公の立場を通じて、見る者自身を未来の世界に引き込んでいく臨場感にあった。
■ 未来都市ネオトキオ──無機質と熱情が交差する舞台設定
ウラシマンの物語の舞台は、2050年に発展を遂げた巨大都市「ネオトキオ」。
ここではハイテクノロジーと犯罪が交錯し、光と闇が入り混じるカオスな世界が広がっている。
高層ビルが立ち並ぶ一方、地下には無法地帯が広がり、空には無数のパトロールメカが飛び交う。
未来を描きながらも、決して「理想郷」とはせず、むしろ人間社会が持つ矛盾や荒廃をリアルに描いたこの都市設定は、多くのアニメファンに強烈な印象を与えた。
加えて、サイバー感漂う街並みと、どこかレトロフューチャー的なデザインセンスが絶妙に調和し、後年のサイバーパンク作品にも影響を与えたとされる。
■ キャラクターの魅力──人間臭さが光る未来の住人たち
『未来警察ウラシマン』に登場するキャラクターたちは、未来という舞台設定にありがちな「超人」ではない。
彼らは皆、不安や迷いを抱えながらも、時にぶつかり合い、時に支え合いながら、懸命に生きている。
主人公リュウは、記憶を失いながらも純粋に正義を貫こうとする少年らしさを持ち、
ソフィアは理知的でありながら人間的な優しさを併せ持つ。
クロードは皮肉屋ながら、誰よりも仲間を思う繊細な面をのぞかせる。
こうした生きた人間描写が、未来の物語を決して「絵空事」にしなかった。
キャラクター同士の自然なやり取りや微妙な感情の機微が、視聴者に強い共感を呼び起こしたのである。
■ 物語展開の巧みさ──スピード感と奥深さの融合
『未来警察ウラシマン』は、1話ごとに完結するエピソードと、主人公リュウの出生の謎に迫る縦軸ストーリーを巧みに組み合わせている。
この構成により、毎週気軽に楽しめる一方で、全体を通して深いドラマ性が醸成されていった。
特に、正義と悪の対立構造を単純な善悪二元論に留めず、「正義とは何か」「未来は誰のものか」といった普遍的テーマを随所に織り込んだ点が秀逸である。
最終盤に明かされるリュウと宿敵ヒューラーの因縁には、多くの視聴者が胸を打たれた。
テンポの良いアクションと、重厚なストーリーが絶妙にバランスされていたからこそ、子どもから大人まで幅広い層に支持されたのだ。
■ 圧倒的な音楽の存在感──名曲とともに蘇る未来
『未来警察ウラシマン』の音楽は、作品世界を彩るうえで欠かせない要素だった。
オープニングテーマ「ミッドナイト・サブマリン」は、未来都市を駆け抜ける疾走感をそのまま音にしたような傑作であり、視聴者の心に強く刻まれている。
一方、エンディングテーマ「ドリーム・シティ・ネオ・トキオ」は、都市の孤独と希望を静かに描き出す名バラードであり、物語の余韻を美しく締めくくった。
さらに、挿入歌も非常にバリエーション豊かで、バトルシーンを盛り上げる熱いロックナンバーから、しっとりとしたバラードまで、場面ごとに的確な選曲がなされていた。
これらの楽曲は、単なるBGMではなく、物語と一体化して視聴者の感情を揺さぶる力を持っていた。
■ 独自演出の面白さ──デフォルメとギャグの絶妙な匙加減
『未来警察ウラシマン』はシリアスな世界観を持ちながら、要所要所で大胆なデフォルメ表現やギャグシーンを挟み込むという演出手法を採った。
キャラクターの表情が大きく崩れたり、ツッコミが飛び交ったりと、コミカルな演出が意図的に盛り込まれている。
この一見アンバランスとも思える手法が、未来社会の冷たさに「人間らしさ」という温もりを与え、作品全体に独特の味わいを生み出した。
子どもたちが楽しめるわかりやすさを保ちながら、大人でもクスリと笑えるウィットを忘れなかった点は、タツノコプロ作品ならではの真骨頂といえる。
■ 作品の社会的評価と影響
放送当時、『未来警察ウラシマン』は、アニメファンの間でじわじわと高い評価を集めていた。
「未来都市もの」と「青春群像劇」という一見異なるジャンルを見事に融合させた点、そしてストーリーの緻密さが、次第にアニメ雑誌や評論家たちからも注目を集めた。
さらに、後年になってBlu-ray BOX化されるなど、長く愛され続ける作品となった背景には、ただ懐かしさだけでない「作品の完成度の高さ」があった。
本作が与えた影響は、後のサイバーパンク系アニメや、若者たちの絆を描くSF作品においても見ることができる。
『AKIRA』や『攻殻機動隊』のような、未来社会における個人の闘いをテーマとした後続作品にも、少なからぬ影響を与えたと考えられている。
■ 現代から見た『未来警察ウラシマン』──色褪せない輝き
40年以上の時を経た今でも、『未来警察ウラシマン』が持つメッセージは色褪せていない。
未来への希望と不安、人間としての矜持、仲間との絆──こうしたテーマは、いつの時代でも普遍であり、視聴するたびに新たな感動を呼び起こす。
最新技術を駆使した現代アニメにはない、どこか泥臭くも真っ直ぐなエネルギーこそが、『未来警察ウラシマン』の本質的な魅力なのだ。
単なる懐古作品としてではなく、今だからこそ新たな世代にも触れてほしい、そんな普遍的な力を持った名作である。
●当時の視聴者の反応
■ 放送開始当初の空気感──期待と戸惑いの入り混じったスタート
1983年1月、日曜日の朝に放送が始まった『未来警察ウラシマン』は、当初から一定の注目を集めていた。
当時、タツノコプロといえば『科学忍者隊ガッチャマン』『タイムボカンシリーズ』などで圧倒的なブランド力を持っており、新作SFアニメというだけで期待感は大きかった。
しかし一方で、未来都市を舞台にした設定や、主人公が記憶喪失というやや大人びた要素が「子どもたちに受け入れられるか?」と不安視する声もメディアから出ていた。
実際、初期数話の放送後には「少し内容が難しい」という感想もちらほら見られた。
■ 小学生からの支持──リュウのキャラクターが人気の火種に
放送が進むにつれ、特に小学生の間でリュウ・ウラシマの人気が急上昇した。
明るく、正義感が強く、どこかドジなところもあるリュウのキャラクターは、未来という難しいテーマを親しみやすいものにしてくれたのだ。
当時、子ども向け雑誌のアンケートコーナーでは、「一番好きなキャラはリュウ!」という声が圧倒的多数を占め、似顔絵投稿コーナーには、リュウのイラストが数多く寄せられたという。
中には「リュウみたいに未来を冒険したい!」と夢を語る子どもたちもいた。
■ メカ描写への絶賛──未来的なデザインが話題に
アニメファン層、とくにメカニック好きの中高生たちからは、作中に登場するビークル(未来の乗り物)やメカのデザインが大いに注目された。
スタイリッシュで現代の延長線上にあるリアルな未来感、なおかつどこかレトロな味わいもあるメカたちは、「ウラシマンは乗り物がカッコいい!」と絶賛された。
アニメ誌『アニメージュ』では特集が組まれ、「メカファン必見の注目作」として紹介されたほか、模型雑誌でもプラモデル化を望む声が高まっていた。
■ 主題歌「ミッドナイト・サブマリン」の衝撃──音楽から入るファンも
アニメ本編だけでなく、オープニングテーマ「ミッドナイト・サブマリン」のカッコよさに惹かれて本作にハマったという視聴者も多かった。
特に当時の中高生たちからは「アニメの歌にしては異様にオシャレ」「大人びたロックが新鮮」という声が続出。
一部の音楽専門誌では、アニメソングという枠を超えた名曲として「ミッドナイト・サブマリン」が紹介され、後にアニメソング史を語る際にもたびたび言及される楽曲となった。
■ 女性ファンの開拓──ソフィア人気とキャラ同士の関係性
ウラシマンは、女性キャラクターの描き方にも新しい風を吹き込んだ。
ソフィア・ニノミヤは、当時のアニメ女性キャラにありがちな「か弱いヒロイン像」とは一線を画す存在だった。
理知的で、自立した捜査官として描かれたソフィアは、特に女子中高生から「カッコいい女性キャラ」として高く評価された。
また、リュウとソフィア、クロードたちの微妙な人間関係にドラマを感じた視聴者たちからは、「大人っぽい関係性が面白い」という意見も寄せられ、当時の少女漫画誌でも紹介記事が掲載されたことがある。
■ メディア・書籍での扱い──マニア層からの高評価
放送中盤に差し掛かると、アニメ情報誌『OUT』や『アニメック』などでは、ウラシマンを「隠れた良作」として特集する動きが現れた。
「メカニックと人間ドラマのバランスが絶妙」「未来世界の構築が本格的」というレビューが多く、特に評論家層からの評価は非常に高かった。
また、児童書市場でも『未来警察ウラシマン ぼくの未来日記』のようなタイアップ小説が刊行され、子どもたちの間でも話題となった。
この小説版では、リュウの心情がより深く掘り下げられ、「本編では語られないリュウの迷いと成長」を感じ取った読者から絶賛された。
■ 視聴率の推移と最終回後の反響──静かだが確かな支持
『未来警察ウラシマン』は、放送当時、爆発的な視聴率を記録したわけではなかったが、常に安定した支持を保ち続けた。
特に後半に進むにつれ、リュウとヒューラーの因縁が明らかになり始めると、ストーリーへの没入度が格段に高まり、ファンの間で「ウラシマンから目が離せない」という声が続出した。
最終回放送後には、アニメ誌やファンレターで「これほど熱いラストは久しぶりだった」「リュウにありがとうを言いたい」といった熱烈な感想が相次ぎ、小規模ながら「ウラシマンロス」とも言える現象が起こった。
■ 放送終了後の再評価──大人たちが見直した傑作
90年代以降、アニメ再評価ブームの中で、『未来警察ウラシマン』も改めて注目されるようになった。
特に当時子どもだった世代が大人になり、改めて本作を振り返ったとき、「ストーリーの重層性」「未来社会への鋭い視点」に気づき、称賛する声がネット上に溢れた。
また、タツノコプロの他作品と比較しても「もっと評価されるべき隠れた名作」という評価が定着し、2017年のBlu-ray BOX発売の際には、往年のファンから大きな歓声が上がった。
■ Blu-ray BOX発売時の盛り上がり──蘇る熱狂
2017年、満を持して『未来警察ウラシマン』のBlu-ray BOXが発売されると、SNSやアニメ系掲示板では「待ってました!」「あの感動をもう一度」と大きな盛り上がりを見せた。
特に、映像が高画質化されたことで、未来都市ネオトキオの美麗な背景や、細かいメカデザインの魅力が改めて再発見され、ファンたちは「こんなに作り込まれていたのか!」と感動を新たにしていた。
特典ブックレットに掲載された当時の設定資料やスタッフインタビューにも感激の声が集まり、まさに「大人になった今だからこそわかるウラシマンの魅力」が再確認された瞬間だった。
●声優について
■ 小林通孝(ウラシマ・リュウ役)
小林通孝さんは、本作で主人公ウラシマ・リュウを演じました。彼の演技は、明朗快活で人懐こいリュウの性格を見事に表現し、視聴者から高い評価を受けました。特に、記憶喪失の青年が未来の世界で奮闘する姿を、自然体で演じることで、キャラクターにリアリティを与えました。
視聴者からは、「小林通孝さんを始め嫌味のないコメディ演技のできる素晴らしい声優さんたち。今のようにタレントと声優のボーダーレス化が進んでいない時代の、いい仕事をみせてもらいました」といった感想が寄せられています。
■ 神谷明(クロード・水沢役)
神谷明さんは、クロード・水沢役を担当し、ナレーションも兼任しました。クロードは、金髪碧眼の美男子で、スマートな立ち居振る舞いをするややナルシストなキャラクターです。神谷さんの演技は、クロードのクールさとコミカルな一面を巧みに表現し、キャラクターに深みを与えました。また、神谷さんは挿入歌「Heart Walker」や「Brother ~That’s all right, Brother~」も歌唱し、作品の音楽面でも大きな貢献をしました。これらの楽曲は、キャラクターの心情や物語の雰囲気をより一層引き立てています。
■ 横沢啓子(ソフィア・ニーナ・ローズ役)
横沢啓子さんは、ソフィア・ニーナ・ローズ役を演じました。ソフィアは、機動メカ分署マグナポリス38の紅一点で、当初は見習いシスターでしたが、後に機動刑事となります。横沢さんの演技は、ソフィアの可愛らしさと芯の強さを見事に表現し、視聴者から愛されるキャラクターとなりました。また、ソフィアは弱いながらも予知能力を持っており、物語の中で重要な役割を果たします。横沢さんの繊細な演技が、ソフィアの魅力を一層引き立てています。
■ 大平透(権藤 透役)
大平透さんは、権藤 透役を担当しました。権藤は、機動メカ分署マグナポリス38の創設者であり、分署長を兼ねる警部です。禿頭で肥満体、くわえタバコがトレードマークのオヤジですが、熱意と先見の明を持ち、部下たちから「おやっさん」と慕われています。大平さんの演技は、権藤の威厳とユーモアを巧みに表現し、キャラクターに親しみやすさを与えました。また、権藤はリュウやソフィアなどの素性の怪しい人物を雇うなど、柔軟な考え方を持つ人物として描かれています。
■ ミャー(声:勝生真沙子)
ミャーは、主人公リュウと共にタイムスリップしてきた猫で、実はフューラーの飼い猫だったという設定です。勝生真沙子さんは、ミャーの愛らしさと神秘性を見事に表現し、視聴者から高い評価を受けました。彼女の演技は、ミャーのキャラクターに深みを与え、物語における重要な存在感を放ちました。
■ アドルフ・フォン・ルードヴィッヒ(声:塩沢兼人)
アドルフ・フォン・ルードヴィッヒは、犯罪組織ネクライムの幹部であり、「悪の美学」を追求する野心家です。塩沢兼人さんは、ルードヴィッヒの冷酷さと美学への執着を独特の高音ボイスで表現し、キャラクターに深みを与えました。彼の演技は、視聴者に強烈な印象を残し、今なお語り継がれています。
■ ミレーヌ・サベリーエワ(声:北浜晴子)
ミレーヌ・サベリーエワは、ルードヴィッヒの側近であり、実はフューラーの娘という複雑な背景を持つキャラクターです。北浜晴子さんは、ミレーヌの知的で落ち着いた雰囲気を見事に表現し、キャラクターに深みを与えました。彼女の演技は、ミレーヌの魅力を一層引き立て、視聴者から高い評価を受けました。
■ ジタンダ・フンダ(声:田中真弓)
ジタンダ・フンダは、ルードヴィッヒの忠実な部下であり、運転手兼執事のような存在です。田中真弓さんは、ジタンダのコミカルな一面と格闘技の達人というギャップを巧みに表現し、キャラクターに親しみやすさを与えました。彼女の演技は、ジタンダの魅力を一層引き立て、視聴者から高い評価を受けました。
■ 総統フューラー(声:丸山詠二)
総統フューラーは、ネクライムの創設者であり、最高権力者です。丸山詠二さんは、フューラーの威厳と狂気を巧みに表現し、キャラクターに深みを与えました。彼の演技は、フューラーの存在感を一層引き立て、視聴者から高い評価を受けました。
●イベントやメディア展開など
■ テレビ局との連携プロジェクト──未来都市を先取りした番宣
まず注目すべきは、フジテレビとの共同企画による事前プロモーションだ。
1982年末、『未来警察ウラシマン』放送決定を告知する特番ミニコーナーが、朝の情報番組内や子ども向けバラエティ番組で相次いで放送された。
そこでは、未来都市「ネオトキオ」のCGイメージ(当時はアナログ合成だったが)を背景に、リュウやソフィアが簡単な寸劇を繰り広げるスタイルが取られ、子どもたちに世界観を直感的に伝えた。
このアプローチは新鮮で、「なんだかすごいアニメが始まるぞ!」という期待感を一気に高めることに成功した。
特に、日曜朝の情報番組で流された特別予告映像は、放送直後に問い合わせが殺到し、局側も急遽再放送を検討したという逸話が残っている。
■ 主題歌プロモーション──HARRYによるミニライブツアー
ウラシマンのオープニングテーマ「ミッドナイト・サブマリン」は、そのクールな楽曲スタイルで異例のヒットを記録。
これに乗じて、主題歌を担当したHARRYによる全国ミニライブツアーが実施された。
ライブは小規模ながらも、全国数か所のデパート屋上やイベントホールで開催。
当時珍しかった「アニメソングを生で聴ける」機会に、多くのファンが詰めかけた。
特に東京・池袋サンシャインシティで行われたステージには1000人以上の観客が集まり、オリジナルTシャツやカセットシングルが飛ぶように売れた。
このミニライブでは「ミッドナイト・サブマリン」「ドリーム・シティ・ネオトキオ」に加え、当時未発表だったアレンジバージョンも披露され、ファンの間で伝説的なイベントとなっている。
■ 地方局コラボキャンペーン──未来グッズが当たる!
フジテレビ系列各地の地方局では、『未来警察ウラシマン』放送記念として、タイアップキャンペーンが展開された。
未来グッズが当たる懸賞企画が人気を博し、
オリジナルロゴ入り光るキーホルダー
ネオトキオデザインのクリアファイル
主題歌入りカセットテープ
などが景品として提供された。
特に、未来型通信機(実際は単なるAMラジオだが)を模したノベルティグッズは、未来への憧れを刺激し、当時の子どもたちの間で「友達に自慢できるアイテム」として大人気となった。
■ 雑誌展開──アニメ誌を超えたクロスオーバー
放送開始と同時に、『アニメージュ』『OUT』『アニメディア』といった定番アニメ誌では特集記事が組まれた。
特に『アニメージュ』1983年2月号では、リュウとソフィアの描き下ろしイラストが表紙を飾り、
「近未来青春ストーリーの幕開け」というキャッチコピーと共に、大々的な紹介が行われた。
加えて、一般男性誌や子ども向け雑誌でもウラシマン関連の記事が増加。
『小学五年生』『小学六年生』などでは、未来都市にちなんだ科学記事と絡めて紹介され、「未来の科学をアニメで学ぼう」という流れを作った。
これにより、アニメファン以外の子ども層への認知も広がり、視聴率の底上げにも貢献したと言われている。
■ 玩具・グッズ展開──プラモデルとカードブック
未来世界を舞台とした『ウラシマン』の人気に応える形で、玩具メーカーから関連商品が続々と発売された。
中でも注目されたのは、未来型バイク「ビートルジャイロ」のプラモデル。
この商品は、アニメ設定を忠実に再現したデザインが話題となり、
「未来の乗り物を手に入れた気分になれる」と子どもたちに大ヒット。
一時は売り切れ店舗が続出し、再販がかかるまでの間、プレミア価格で取引されるほどだった。
また、当時流行していた「カードブック」形式のウラシマンコレクションも展開。
未来都市ネオトキオのマップや、メインキャラクター紹介カードがセットになった商品で、コレクター魂をくすぐる仕様になっていた。
●関連商品のまとめ
■ 映像ソフト
『未来警察ウラシマン』の全50話を収録したBlu-ray BOXが2017年10月25日に発売されました。このBOXには、新規編集のブックレットやキャラクターデザインを担当したなかむらたかし氏による描き下ろしスリーブなど、ファン必携の特典が付属しています。高画質で作品を楽しめることから、多くのファンから好評を得ました。
■ プラモデルシリーズ
未来都市を象徴する乗り物「ビートルジャイロ」は、アニメ人気とともにプラモデル化された。
メーカーはバンダイ。設定資料に基づくリアルなディテール再現にこだわり、組み立て後も可動ギミック付きという本格派仕様だった。
他にも、ネクライムのメカや、リュウたちが搭乗する各種マシンがキット化され、未来都市ジオラマ作成を楽しむファンも多かった。
【主なプラモデル商品例】
ビートルジャイロ(ノーマル仕様)
ネクライム特戦車両シリーズ
ネオトキオ市街地ジオラマパーツセット
■ 超合金玩具
タカトクトイスからは「超合金ビートルジャイロ」も発売。
重量感ある合金パーツと、タイヤ回転ギミックが子どもたちに大好評。
「手に持った瞬間、未来が感じられる」というキャッチコピーとともに、クリスマス商戦でも人気商品となった。
■ 【音楽・映像ソフト部門】
シングルレコード
オープニングテーマ「ミッドナイト・サブマリン」、エンディング「ドリーム・シティ・ネオトキオ」は、それぞれEPレコードとして発売。
ジャケットにはリュウのイラストとネオトキオの夜景が描かれ、コレクターズアイテムとしても人気を博した。
【収録例】
A面:ミッドナイト・サブマリン
B面:ドリーム・シティ・ネオトキオ(インストゥルメンタル)
サウンドトラックアルバム
風戸慎介による劇中BGMを収録したLP『未来警察ウラシマン 音楽集』もリリース。
挿入歌「Crystal Knights NECRIME」や「Battle URASHIMAN」なども収録され、熱心なファンにはたまらない一枚となった。
ジャケットは未来都市を俯瞰するイメージイラストで統一され、SF感を全面に押し出していた。
■ 【書籍・出版部門】
アニメコミックス
放送エピソードをカラー静止画で再構成した「フィルムコミック」形式の単行本が、徳間書店から刊行された。
1冊につき2~3話分を収録し、リュウたちの冒険を紙面でも楽しめる構成だった。
セリフを吹き出し形式で掲載し、小学生にも読みやすい設計がされていた。
小説版
児童向けレーベルから刊行されたノベライズ版『未来警察ウラシマン ぼくの未来日記』は、アニメでは描き切れなかったリュウの内面描写を補完し、原作ファンにも新鮮な読み応えを提供した。
■ 学用品シリーズ
小学生向けに、ウラシマン柄の文房具が多数展開された。
クリアファイル(ネオトキオの地図デザイン)
下敷き(リュウ&ソフィア)
鉛筆・消しゴムセット(未来警察マーク入り)
特に未来都市ネオトキオの地図がデザインされた「下敷き」は、授業中でも未来への空想を膨らませられると子どもたちに大人気だった。
■ ランチグッズ・生活雑貨
未来感あるデザインを生かしたランチボックス、水筒、巾着袋なども登場。
特にビートルジャイロ型のお弁当箱は、斬新すぎるフォルムで話題になり、子どもたちの間で「未来弁当」と呼ばれた。
■ Tシャツ・ジャンパー
ビートルジャイロや未来警察エンブレムをあしらったTシャツや薄手のジャンパーが販売された。
鮮やかなメタリックブルーやシルバーを基調にしたデザインで、当時の子どもたちに「未来っぽさ満点!」と評判だった。
■ ファッションアクセサリー
ネオトキオモチーフのリストバンド、バンダナなども展開。
特にリュウ仕様の「ネオトキオ隊員バッジ型ペンダント」は、通信機能を模したデザインが人気を博し、当時のお祭り景品にも採用されたほどだった。
■ パズルシリーズ
未来都市ネオトキオをモチーフにしたジグソーパズルが発売された。
夜のネオトキオ、マグナポリス88本部、ビートルジャイロ発進シーンなど、壮麗なイラストを使用し、難易度別に複数種類が用意された。
■ ボードゲーム
「未来警察ウラシマン 追跡ゲーム」というボードゲームも登場。
リュウになりきってネクライムを追跡するスゴロク形式で、サイコロを振るだけで未来の大冒険気分が味わえると、家族向けに好評だった。
●現在購入可能な人気売れ筋商品です♪
未来警察ウラシマン Blu-ray BOX【Blu-ray】 [ 小林通孝 ]





ANIMEX 1200 11::未来警察ウラシマン 音楽集 [ (アニメーション) ]




