
【中古】PS2 ステッピングセレクション
【メーカー】:ジャレコ
【開発】:ジャレコ
【発売日】:2000年3月4日
【販売価格】:6800
【メディア】:DVD-ROM
【ゲームジャンル】:音楽ゲーム
●概要
■ 音楽と体感が融合した新時代の扉を開けたゲーム
2000年、次世代ゲーム機・プレイステーション2のデビューに合わせて、多くのソフトが同時発売されました。その中でも一際異彩を放っていたのが、ジャレコが送り出した『ステッピングセレクション』です。本作は、1999年に業務用アーケードとして登場した「ステッピング」シリーズの集大成ともいえる内容を、家庭で体験できるように再構築した作品で、プレイヤーの足を使ったアクションと音楽を融合させた斬新なリズムゲームでした。
■ 業務用から家庭用へ:『ステッピングセレクション』の誕生背景
アーケードで一定の人気を博した「ステッピング」は、いわば“足で踏むビートゲーム”という独自ジャンルを確立していました。その家庭用移植版である『ステッピングセレクション』は、アーケード版のシリーズ作品の中から選りすぐりの楽曲とゲーム性を凝縮し、さらに新たな要素を追加して構築されています。
開発元のジャレコは、当時としては先進的な映像と音響のクオリティを誇るプレイステーション2というプラットフォームの特性を活かし、DVD-ROM2枚組という大容量での提供を決断。13曲ずつ収録されたディスクには、懐かしさと革新が同居するビートトラックの数々が収められています。
■ ゲームシステム:リズムと身体を一体化させる「踏み」のアクション
本作最大の特徴は、足でリズムを刻むというプレイスタイルにあります。専用の「ステッピングコントローラー」を使うことで、画面に表示されるマーカーと同じタイミングで床を踏み、音楽に合わせてスコアを伸ばしていきます。
画面上には、ミュージッククリップとともに、踏むべきタイミングを示す矢印やバー、そしてテンションメーターと呼ばれるエネルギーゲージが表示されます。このメーターは、プレイヤーの踏みの正確さに応じて増減し、成功が続けば安定した状態を保てますが、ミスを重ねると下降。メーターが限界まで下がるとゲームオーバーとなるというスリリングなシステムが導入されており、集中力と持久力が試されます。
また、従来のアーケード版とは異なり、ステップポイント(判定地点)が上下に揺れ動く仕様となっており、タイミングのズレがゲームに直接反映されるという家庭用ならではの新要素も取り入れられています。
■ 視覚演出:家庭のテレビ画面でも輝くミュージックビジュアル
映像面でもPS2の高性能が遺憾なく発揮されています。ミュージックビデオ風のムービーが、MPEG2方式で表示され、アーケード版よりも高解像度かつ滑らかなビジュアル体験が可能となっています。
ゲームプレイとシンクロする映像は、単なる背景ではなく、プレイヤーのテンションを高める演出装置として機能。演奏中のステージやキャラクター、抽象的なアート表現などが、音楽のジャンルやテンポに応じて目まぐるしく変化し、視覚的な没入感を高めています。
■ コンテンツ構成:充実の楽曲群と段位モード
『ステッピングセレクション』には、シリーズを通じて人気を博した名曲から、家庭用新規収録曲まで、バラエティ豊かな音源が揃っています。各ディスクに13曲ずつ収録され、ジャンルもテクノ、ダンス、ポップス、クラシックアレンジなど多岐にわたります。
さらに、プレイヤーの腕前を試す“段位認定モード”も搭載されており、設定された課題をクリアすることで段位が上がっていくというシステムが、やり込み要素として高く評価されました。初級者から上級者まで、己の限界に挑戦できる構造が魅力です。
■ コントローラーと操作感:足で操作する新たなユーザー体験
ゲームの操作には、専用の「ステッピングパッド」と呼ばれる足踏みコントローラーが使われます。このコントローラーは、ダンスマット形式で構成され、左右前後の踏みポイントに応じたセンサーが反応。手ではなく足で操作するというスタイルは、身体全体を使った新しいゲーム体験として注目されました。
なお、通常のコントローラーでもプレイは可能ですが、本来の魅力を存分に引き出すためにはやはり専用パッドが必須であり、同梱版が同時発売されたことも記録されています。
■ プレイヤーの反応と評価:ローンチタイトルとしての存在感
当時のユーザーからは、「音ゲーの進化形」「体を動かすゲームとして秀逸」といった好評が多く寄せられました。家庭用ゲーム機で本格的なフィットネス的要素を取り入れた先駆け的存在として、ダイエット用途で利用する人も現れるほどでした。
また、ゲームとしての難易度も段階的に設計されていたため、リズムゲーム初心者でも入り込みやすく、徐々に上達を実感できる構成は教育的な側面も持っていました。一方で、ステップポイントの移動やテンションメーターの厳しさが「難しい」という声もあったため、万人向けというよりは、音ゲー愛好者向けの中級者以上を想定した設計だったとも言えます。
■ 技術的側面:PS2の性能を生かした試金石
DVD-ROM2枚組という大容量メディアを活用し、楽曲数と映像の両面で豊かなボリュームを実現した本作は、プレイステーション2の性能を試す“テストベンチ”的な一面も持っていました。
特に映像の美しさとテンポの良さは、当時のCD-ROMベースの音ゲーと比べても段違いで、MPEG2によるムービー再生も「次世代機のパワーを実感できる瞬間だった」と評されました。
■ その後の影響と遺産:足で楽しむ音ゲーの可能性
『ステッピングセレクション』は、後のダンス系音楽ゲームブームに先駆ける形で登場したタイトルであり、足を使った操作系ゲームのパイオニアのひとつとされています。コナミの『Dance Dance Revolution(DDR)』などと比較されることも多かったものの、ステッピングシリーズ独自のアプローチは確固たるファンを生みました。
ジャレコのアーケードタイトルを家庭用に再構築したこの試みは、家庭用音楽ゲームのあり方に新たな可能性を提示した点で、大きな意義を持っていたと言えるでしょう。
■ 終わりに:音に乗って身体で感じる“遊びの原点”
『ステッピングセレクション』は、音楽ゲームという枠を超えて、身体の動きそのものをゲームに取り込んだ意欲作でした。ゲームという「静」の娯楽から、「動」の体験型エンタテインメントへとジャンルを進化させたこの作品は、2000年という節目にふさわしい1本だったといえるでしょう。
ステージ上でリズムに合わせて軽快に踏む。そんな一見シンプルな行為に、音と光と映像が重なることで、まるで“自分が楽曲を演奏している”ような没入感を生む――その体験こそが『ステッピングセレクション』の本質であり、プレイした者の心に長く残る理由なのでしょう。
●ゲームの魅力とは?
■ 専用コントローラーで体感度アップ
『ステッピングセレクション』の最大の特徴の一つが、専用の足踏みコントローラーの存在だ。当時、ダンスパッド系の入力装置はまだ一般的ではなかったが、本作ではそれをいち早く導入し、自宅で「アーケードのようにステップを踏む」体験を再現。プレイヤーはテレビの前に立ち、画面に表示されるマーカーに合わせて足を動かすことで、リズムに乗ったプレイが可能になっている。
この「踏む」という行為が、ボタンを押すだけの音ゲーとは異なるフィジカルな爽快感を生み、運動不足の解消やストレス発散にも一役買うと評判だった。
■ ゲームシステム――テンションメーターと評価の妙
ゲーム画面は1画面構成で、中央にミュージックビデオ風の映像、上部にマーカー、下部にプレイヤーの得点やテンションゲージが表示される。タイミングよくマーカーを踏むことで得点が加算され、テンションゲージが上昇。逆にミスが続くとテンションは急落し、最悪の場合はその曲での演奏が強制終了される。
この「テンション」の概念がうまく設計されており、単に点数を競うだけではなく、“どれだけ盛り上がったプレイができるか”という観点が加わったことで、ゲームの奥深さが格段に増していた。
■ 段位認定モードで腕前を試せ
アーケード経験者にはおなじみの「段位認定」モードも、本作の家庭用ならではのやり込み要素として搭載されている。初段から始まり、各段位ごとに設定された課題曲とスコア条件をクリアすることで昇格。段位が上がるにつれて譜面の難易度もアップし、自らの成長を実感できる仕組みがプレイヤーの意欲を刺激した。
家庭用でありながら“試験的プレイ”というストイックな楽しみ方ができる点も、このゲームの特異性だった。
■ MPEG2で彩られたビジュアルの臨場感
映像面においても、『ステッピングセレクション』は当時の水準を大きく超えていた。プレイ中にはMPEG2形式による高画質なミュージックビデオ風の映像が流れ、まるで音楽番組を見ながらプレイしているかのような没入感があった。
背景映像は単なる装飾ではなく、リズムや曲調に合わせてカットインやエフェクトが変化するなど、プレイ体験の臨場感を巧みに高める演出が随所に散りばめられていた。
■ サウンドの魅力――耳に残る名曲の数々
本作に収録された楽曲群は、いずれもキャッチーでクセになるものばかり。中にはアーケード時代にプレイヤーの心を掴んだ名曲の再録もあり、当時のファンが思わず「おっ」とうなずくような構成が随所に見られた。作曲陣にはクラブミュージック系の実力派も参加しており、BGMというより“楽曲そのもの”として聴けるクオリティの高さを誇っていた。
■ プレイスタイルの多様性とリプレイ性
また、本作は初心者から上級者まで幅広い層が楽しめるよう設計されており、難易度選択やプレイモードも豊富。純粋に音楽を楽しむ“フリープレイモード”、段位を目指して挑戦する“チャレンジモード”、複数人で競う“バトルモード”など、シーンに合わせてプレイスタイルを変えられるのも大きな強みだった。
何度でも遊びたくなる“クセになる体感”を生む要因として、これらの多彩なモードの存在は欠かせない。
●感想や評判
■ 新鮮な体験と戸惑い
『ステッピングセレクション』は、専用の足踏みコントローラーを使用し、色分けされたシーケンスに合わせてステップを踏むという独自の操作性が特徴です。この新しい体験に対し、多くのプレイヤーが新鮮さを感じた一方で、戸惑いも見られました。
あるユーザーは、「色を判断して踏んでいくパズル的要素で楽しめるダンスゲームです。やりこんでいく内に色の識別を瞬間的に行えるようになり、反射神経に自信は無いけどパズルなら得意だって人にお勧めです」と述べています。
一方で、「矢印ではなく、色で表示されるため、リズムに合わせて何も考えず踊るというよりも、まず、どこの位置がどの色か覚える必要があり、かなりストレスがたまります」との声もありました。
■ 家庭用音楽ゲームとしての挑戦
『ステッピングセレクション』は、家庭用音楽ゲームとして新たな挑戦を試みましたが、世間の評価は賛否両論でした。一部のユーザーは、「曲も知っている曲が多いので、やりやすいだろうと思っていましたが、赤・青・黄それぞれ左右あるのでステップが結構難しいです。数曲踊るだけで汗が出るのでいいダイエットにもなりそうです」と、運動効果を評価しています。
しかし、他のユーザーは、「全体的にセンスが良くない。フォント選び、画面デザインがかっこ良くない」と、デザイン面での不満を述べています。
■ 総合的な評価と影響
『ステッピングセレクション』は、独自のシステムや選曲によって一部のプレイヤーから支持を受けましたが、広く普及するには至りませんでした。ゲーム性や操作性に関して賛否が分かれ、特にリズムゲームとしての直感的な操作感に課題があったと考えられます。しかし、懐かしの楽曲を楽しめる点や、映像と音楽の融合による演出は、当時としては新しい試みであり、一定の評価を受けました。
●イベントやメディア展開など
■ プロモーション活動と販促展開
『ステッピングセレクション』の発売に際して、ジャレコは積極的なプロモーション活動を展開しました。特に注目されたのは、販売店向けに配布された非売品の販促ポスターで、ゲームのロゴや専用マットのビジュアルが大きく描かれ、視覚的なインパクトを与えていました。これらのポスターは、現在でもオークションサイトなどで取引されており、当時のプロモーションの一端を垣間見ることができます。
また、東京ゲームショウなどのイベントにおいても、ジャレコは『ステッピングセレクション』の体験ブースを設置し、来場者に実際のプレイを通じてゲームの魅力を伝える試みを行っていました。これにより、ゲームの認知度向上とともに、専用マットを使用した新しいゲーム体験をアピールすることができました。
■ メディア展開とユーザーの反応
『ステッピングセレクション』は、当時のゲーム雑誌やテレビ番組などでも取り上げられ、注目を集めました。特に、専用マットを使用したゲームプレイの様子や、アーケード版との違いなどが紹介され、読者や視聴者の興味を引きました。
ユーザーからの反応は賛否両論で、DDRと比較してゲームスピードが遅く、難易度が低いと感じるプレイヤーもいれば、色の識別を重視したパズル的な要素に魅力を感じるプレイヤーもいました。Amazonのレビューでは、「色を判断して踏んでいくパズル的要素で楽しめるダンスゲーム」と評価され、反射神経よりも色の識別能力が求められる点が特徴として挙げられています。
また、アーケード版からのファンにとっては、家庭で同様の体験ができることが大きな魅力であり、専用マットを使用したプレイに没頭するユーザーも少なくありませんでした。
●中古市場での現状
■ 中古市場での取引状況
ゲームソフト単体の価格帯
『ステッピングセレクション』のゲームソフト単体は、状態や付属品の有無により価格が変動します。一般的には以下のような価格帯で取引されています。
メルカリ:300円から1,000円程度。
Amazon:中古品が約243円から販売されています。
ヤフオク:状態や付属品により価格は異なりますが、数百円から取引されています。
特に、説明書やハガキなどの付属品が揃っている場合や、状態が良好なものは高値で取引される傾向があります。
■ 専用コントローラーの価格帯
ゲームプレイに欠かせない専用コントローラーは、希少性が高く、比較的高値で取引されています。価格帯は以下の通りです。
メルカリ:1,800円から11,800円程度。
Yahoo!ショッピング:中古品が998円から、新品は約2,120円から販売されています。
ヤフオク:状態や動作確認の有無により価格は異なりますが、数千円から取引されています。
特に、新品未開封や動作確認済みのものは高値で取引される傾向があります。
●本や雑誌での評価
★『電撃PlayStation Vol.154』(2000年2月25日発売)
内容概要:
本誌ではPS2のローンチラインナップ特集の中で、独自色を打ち出した体感音楽ゲームとして『ステッピングセレクション』が紹介されていました。記事内では「自宅でアーケード感覚のステップを再現できる稀有なタイトル」として掲載され、家庭用TV上でのプレイ映像の臨場感や、DVDを活かした映像演出にも触れていました。
★『週刊ファミ通 No.581』(2000年3月3日号)
内容概要:
リリース直前のゲームレビューコーナーで特集され、レビュワーのコメントとして「ダンスゲームとは異なる踏み感覚の魅力がある」「一人で黙々と鍛錬するモードが妙に熱中させる」と記載。さらに、段位認定モードの存在と、リプレイ性の高さについても評価されていました。一般の音楽ゲームとは異なるポジションとして興味深く分析されていたのが印象的です。
★『The プレイステーション2 完全読本』(エンターブレイン刊・2000年4月発売)
内容概要:
PS2発売初期の注目タイトルを網羅的に取り上げた解説本で、『ステッピングセレクション』のページでは、専用マットの使用感と難易度ごとの曲構成にフォーカスしており、「筋トレ感覚で遊べる健康派ソフト」とも紹介されています。プレイスタイルによっては本格的な運動にもなることから、「一汗かけるゲーム」として、ユニークな切り口で語られていました。
★『BEEP! ゲームレビュー総集編2000』(ソフトバンクパブリッシング刊)
内容概要:
レビュー集の中で音楽ゲームジャンルの変遷を追う特集が組まれ、その中に『ステッピングセレクション』が登場。他作品と比較しながら、家庭用ゲームにおける「足で操作する革新性」が取り上げられ、「『ビートマニア』の手に対して、足で勝負を挑んだゲーム」と評されていました。