『ワンチャイコネクション』（セガサターン）を振り返りましょう

【メーカー】：セガ
【開発】：マイクロネット
【発売日】：1994年11月22日
【販売価格】：7,800円
【メディア】：CD-ROM
【ゲームジャンル】：アドベンチャーゲーム

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●概要

実写とサスペンスが交錯する異色作
1994年、家庭用ゲーム市場に激震が走った年のひとつである。プレイステーション、3DO、セガサターンと次世代機が出揃う中、セガが自社ハードの本命として送り出したセガサターンのローンチタイトル群の中に、特に異彩を放つ一本があった。それが『ワンチャイコネクション』である。
本作は、リアルな俳優演技と実写映像をふんだんに取り入れたコマンド選択型アドベンチャー。開発には、脚本家・演出家として高名なジェームス三木が原作と脚本を手がけ、映像作品としても非常に強い個性を放っている。物語は返還前夜の香港を舞台にしたミステリーであり、そこに人間ドラマとアクションが重厚に絡み合う。まさに「セガらしさ」の極みともいえる、野心的な一本だ。

主人公・マイケル・リー──演じるは布川敏和
プレイヤーが操作するのは、香港警察に所属する捜査官「マイケル・リー」。演じるのは、当時テレビや映画で活躍していた布川敏和氏であり、その軽妙かつシリアスな演技がキャラクターに深みを与えている。彼は冷静沈着ながら情熱的な正義感を持ち、常に真実を追い求める人物として描かれている。
単なる「ゲームの主人公」としてではなく、ひとりの人間としての葛藤や人間関係までもが描かれる点に、本作のリアリティと重厚さがある。俳優の実写映像が使われていることもあり、まるで一本のTVドラマを観ているかのような没入感が味わえる。

舞台は返還間近の香港──現実と虚構が交錯する街
本作の舞台となるのは、1997年の中国返還を間近に控えた香港。政治的・社会的に揺れ動くこの時代背景が、作品にスリリングな緊張感を与えている。特に「九龍城砦」などが既に取り壊されつつあった時期でもあり、過渡期の香港の姿をスクリーン越しに感じ取れるのは、本作ならではの魅力だ。
序盤では、香港の人気観光地であるオーシャンパークで不可解な事件が発生する。全裸の女性が麻袋に詰められた状態で発見され、一命は取り留めるものの記憶を失っている。この事件を皮切りに、物語は次第に複雑な陰謀の渦へと巻き込まれていく。

ゲームシステム──コマンド選択式のドラマ体験
『ワンチャイコネクション』は、プレイヤーが画面に表示された選択肢から行動を選ぶコマンド式アドベンチャーゲーム。移動や調査、会話、証拠の提示などを通じて物語が展開していく。選んだ行動によってストーリーの進行が変化することはないが、特定の情報やシーンを見落とすと展開が難解になり、プレイヤーの推理力が問われる場面も多い。
映像はすべて実写で構成されており、街中での尋問シーンや警察署内での会議、緊迫したカーチェイス、さらには恋愛模様まで、ドラマ的演出が随所にちりばめられている。

登場人物たち──個性派俳優陣による熱演
本作のもう一つの特徴は、登場人物がすべて実在の俳優によって演じられている点である。演技派の俳優たちが、警察関係者、事件の関係者、裏社会の人物など、バラエティ豊かな役柄をリアリティをもって演じている。
ヒロインを中心に物語は進行していくが、その正体や過去が少しずつ明かされていく構成は、まさにTVサスペンスそのもの。加えて、香港マフィアや警察内部の腐敗といった社会的テーマにも踏み込んでおり、単なるミステリーに留まらない深みがある。

サウンドと演出──実写を彩る音と映像の融合
音楽は、香港映画を思わせるアジアンテイストのメロディや、緊張感のあるサスペンスBGMが中心。事件現場の張り詰めた空気や、尋問シーンでの駆け引きを、音が一層引き立てている。
また、セガサターンのCD-ROM容量を活かし、映像のクオリティは当時としては非常に高く、カット割りやズーム演出など、まるでテレビドラマの撮影現場を覗いているかのような臨場感が味わえる。

記憶喪失と陰謀──絡み合う謎の糸
物語の中心には、「記憶喪失」と「過去に封じられた真実」というテーマがある。記憶を失ったアニーが語る断片的な夢、手がかりのない過去、そしてそれに関係する新たな殺人事件の発生。それぞれのピースがつながっていくことで、物語は予想もつかない展開を迎えていく。
このあたりの構成は、ジェームス三木氏ならではのドラマ脚本的センスが光る。単なる推理では解けない「人間関係の複雑さ」や「立場の違いから生まれる葛藤」が描かれており、見る者・プレイする者の感情を揺さぶる仕掛けが数多く施されている。

評価とプレイヤーの声──実写ゲームの試金石
『ワンチャイコネクション』は、当時としては非常に斬新なゲームだった。CD-ROMの性能を最大限に活かし、フルモーションビデオ（FMV）とコマンド選択式ADVを融合させた試みは評価が分かれるところだったが、演出面やストーリー性については高く評価する声が多い。
一方で、操作性やテンポの面ではやや冗長に感じるユーザーも存在し、「映画を見ている感覚」に重きを置いた設計はゲーム性を求める層とは相容れなかった面もある。だが、この挑戦こそが後年のインタラクティブムービー作品への道を切り開いたと言えるだろう。

総括──ゲームという名の映像体験
『ワンチャイコネクション』は、単なる推理アドベンチャーゲームではない。俳優による実写演技、緻密な脚本、緊張感あるサスペンス演出が融合した、まさに「観るゲーム」「体験するドラマ」と言っても過言ではない作品である。
時代背景や登場人物の人間模様を丹念に描き出すジェームス三木の手腕と、香港という国際都市のダイナミズムを背景にしたドラマ性の高さは、2020年代の現在においても再評価に値する。
セガサターンというハードの黎明期に生まれたこの実験作は、今なお語り継がれるべき“異色の名作”である。

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●ゲームの魅力とは？

実写演技が創り出す“生の物語体験”
『ワンチャイコネクション』最大の特徴は、すべての登場人物が俳優によって演じられ、映像として収録されている点にある。紙芝居形式やアニメ絵ではなく、実在の人物が動き、話し、感情を露わにする。これにより、プレイヤーはまるで刑事ドラマの一員として事件に関わっているような没入感を味わえる。
主役のマイケル・リーを演じるのは、アイドルグループ「シブがき隊」の元メンバー・布川敏和。彼のキャスティングは意外性がありつつも、演技には安定感があり、刑事としての緊張感と人間味を見事に体現している。
本作では、事件関係者との会話や尋問シーン、警察内部での葛藤、裏社会との対峙など、リアルな人物同士のやりとりが映像で再現されている。その一つひとつがドラマとして成立しており、プレイヤーは「読む」のではなく「観る」ことで物語を追体験していく。

舞台は返還前の香港──空気ごと切り取った臨場感
本作の舞台は1997年の中国返還を目前に控えた香港。このタイミングでの香港という設定は、単なる背景ではない。社会の不安定さ、文化の交錯、警察組織の揺らぎといった要素が、物語に独特のリアリズムと緊張感を与えている。
映像には、実際に香港で撮影された街並みや建物、施設などが多く使われており、観光地の賑わいから裏路地の影まで映像として収録。それらはすべて、返還前の香港という時代の記録としても価値が高い。歴史的な空気ごと保存された映像世界に、プレイヤーはそのまま引き込まれる。

コマンド選択の妙──観るだけで終わらない
「実写ドラマゲーム」と聞くと、「結局ただ映像を観ているだけなのでは？」と想像する人もいるだろう。しかし『ワンチャイコネクション』は、単なる鑑賞作品ではない。プレイヤーの選択によって、表示される情報やシーンの展開順が変化し、場合によっては重要な手がかりを見逃す可能性すらある。
特に尋問や会話の場面では、どの順番で質問するか、どの選択肢を選ぶかによって相手の反応が変化するなど、ゲーム的な「読み合い」の要素が巧妙に組み込まれている。また、情報を集めて再構成する推理のプロセスも要求されるため、単なる「受動的体験」には終始しない。

サスペンス×人間ドラマ──意外性あるストーリー展開
物語は、観光地で起こる謎の事件から始まる。一命を取り留めるも記憶を失った女性、背後にうごめく組織の影、警察内部の人間関係…。それらが複雑に絡み合いながら、プレイヤーを事件の核心へと導いていく。
本作はただのサスペンスではない。記憶、過去、アイデンティティ、そして正義とは何かという普遍的なテーマが背景にあり、一人の刑事の人間的成長や、ヒロインとの絆の深まりまで丁寧に描かれている。脚本を手がけたのは映像作家としても名高いジェームス三木氏であり、その緻密な構成力と人間描写の巧さは、ゲームの枠を超えた「作品性」を感じさせる。

ゲームにおける演技──脚本×俳優の融合
俳優たちの演技は一切手抜きがなく、まさにドラマ撮影の現場そのもの。警察署内の緊迫した会話、容疑者との駆け引き、感情が爆発する場面…。それぞれのキャラクターが実在の人物であるかのように立ち上がってくる。
これまでのアドベンチャーゲームでは、「キャラクター」と「プレイヤー」は明確に分かれていたが、本作では実写映像と演技によってその距離が一気に縮まり、プレイヤーは自らの選択が“現実の人間”に影響を与えているような感覚に陥る。これは当時としては斬新で、現在でも得がたい没入感を提供していた。

セガサターンの性能を活かした映像技術
当時、フルモーションビデオ（FMV）を採用したゲームは限られていたが、『ワンチャイコネクション』はその先駆けといえる作品だ。CD-ROM媒体の特性を活かし、豊富な映像素材を収録。画質や音質もセガサターンの性能を活かしており、滑らかな再生が実現されている。
特に音楽面では、シーンごとに空気を変えるようなBGMの挿入が光る。アジアンテイストの旋律や、緊張感を高める低音など、映像とのシンクロが極めて巧妙。視覚・聴覚の両面での臨場感が、従来のアドベンチャーゲームとは一線を画している。

プレイヤーの声と反響──「早すぎた実写革命」
発売当初からプレイヤーの間では賛否が分かれた作品ではあるが、「新しい表現に挑戦したゲーム」として一定の支持を集めた。特に、映画やドラマが好きなユーザーからは、「ゲームと映像が融合する瞬間に立ち会った感動がある」といった声も多く、今なお“記憶に残るゲーム”として語られている。
一方で、「ゲーム性が薄い」「テンポが悪い」といった批判もあり、ゲーム慣れしたユーザー層には合わなかった側面もある。しかし、それすらも“時代が追いついていなかっただけ”と解釈する向きも多く、後年インタラクティブ・シネマ形式のゲームが主流になる中で、本作の先見性が再評価される流れが生まれた。

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●感想や評判

実写映像と俳優の演技
多くのプレイヤーが、実写映像の活用と俳優陣の演技に注目しています。​特に、主人公マイケル・リーを演じた布川敏和さんや、捜査本部長役の原田大二郎さんの演技が話題となりました。​あるプレイヤーは、「フックン（布川敏和）と杉本彩の大根役者っぷりと、こんな仕事断ればいいのに…と余計な心配をしてしまう原田大二郎が織り成すゲームの世界観は天下一品」と述べています。 ​

ゲームシステムと操作性
ゲームの進行はコマンド選択式で、聞き込みや証拠品の調査を行いながら事件を解決していく形式です。​しかし、一部のプレイヤーからは「コマンド総当たり性な所が欠点」との指摘もあります。 ​

ストーリー展開
物語は全13章で構成され、サスペンスドラマのような展開が特徴です。​プレイヤーからは「終わった後は2時間ドラマのようにサッパリとした達成感がありました」との声も寄せられています。 ​

世間の評価
発売当初、本作は実写ムービーの画質やゲームシステムの単調さから厳しい評価を受けました。​しかし、近年ではその独特な雰囲気やキャスティング、ストーリー展開が再評価され、カルト的な人気を博しています。 ​

メディアの評価
ゲーム誌『ファミ通』のクロスレビューでは、40点満点中22点（7・4・6・5）という評価を受けています。

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●イベントやメディア展開など

発売記念イベント
発売直後、主要都市のゲーム販売店で発売記念イベントが行われました。​これらのイベントでは、主演の布川敏和さんや杉本彩さんが登場し、ファンとの交流やサイン会が実施されました。​特に東京・秋葉原の大型店舗で行われたイベントは、多くのファンが詰めかけ、大盛況となりました。​

メディア向け試遊会
ゲーム発売前には、ゲーム雑誌やテレビ番組の関係者を招いた試遊会が開催されました。​この試遊会では、実際にゲームをプレイし、その感想やレビューをメディアで紹介する機会が設けられました。​実写映像を多用したゲームプレイは、当時のゲーム業界では新鮮であり、多くのメディアが注目しました。​

テレビCMとその反響
発売前後には、テレビCMが放映され、実写映像を前面に押し出した内容で視聴者の関心を引きました。​特に、主演俳優たちの演技やゲームのサスペンスフルな雰囲気が強調され、視聴者からの反響も大きかったとされています。​

ゲーム雑誌での特集記事
主要なゲーム雑誌では、『ワンチャイコネクション』の特集記事が組まれ、ゲームの特徴や開発秘話、出演俳優のインタビューなどが掲載されました。​特に、実写映像を取り入れた背景や、脚本を手掛けたジェームス三木氏のコメントなど、読者の興味を引く内容が多く取り上げられました。​

テレビ番組での紹介
ゲーム情報番組やバラエティ番組でも『ワンチャイコネクション』が紹介され、実際のゲームプレイ映像や出演俳優のコメントが放映されました。​特に、実写映像を活用したゲームとしての新しさが強調され、視聴者からの関心も高まりました。​

ファンミーティングの開催
ゲーム発売から数ヶ月後、主要都市でファンミーティングが開催されました。​これらのイベントでは、ゲームの舞台裏や制作秘話が語られ、ファンとの質疑応答の時間も設けられました。​参加者からは、「実際の撮影現場の話が聞けて興味深かった」「俳優陣と直接交流できて嬉しかった」といった声が寄せられました。​

ゲーム大会の実施
一部のゲームセンターやイベント会場では、『ワンチャイコネクション』のゲーム大会が開催され、プレイヤー同士がスコアやクリアタイムを競い合いました。​これにより、ゲームのリプレイ性や競技性が再認識され、多くのプレイヤーが再びゲームに熱中するきっかけとなりました。

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●中古市場での現状

1. ヤフオク!における取引状況
日本最大級のオークションサイトであるヤフオク!では、『ワンチャイコネクション』の取引が継続的に行われています。​過去180日間の落札データによると、以下のような傾向が見られます。​
落札価格帯: 最安値は400円、最高値は3,860円、平均落札価格は約1,035円となっています。 ​
出品数: 同期間中に約16件の取引が成立しており、一定の需要があることが伺えます。 ​
これらのデータから、ヤフオク!では比較的安価で取引されていることが分かります。​ただし、商品の状態や付属品の有無によって価格に差が生じている点には注意が必要です。​

2. メルカリでの販売状況
フリマアプリのメルカリでも、『ワンチャイコネクション』は多数出品されています。​2025年4月時点での出品状況を分析すると、以下のような特徴があります。​
価格帯: 中古品は800円から1,800円程度で取引されており、新品・未開封品は2,999円から5,000円程度で出品されています。​
セット販売: 他のセガサターンソフトとセットで販売されているケースも見受けられ、セット内容によって価格が変動しています。​
メルカリでは、商品の状態や付属品の有無、さらには出品者の評価などが価格に影響を与えていると考えられます。​

3. Amazonでの価格設定
大手オンラインショップのAmazonでは、新品および中古品の両方が取り扱われています。​2025年4月時点での価格設定は以下の通りです。​

新品: 2,580円で販売されています。 ​
中古品: 出品者によって価格が異なりますが、概ね1,000円から2,000円の範囲で販売されています。​
Amazonでは、出品者の評価や商品のコンディションが価格に大きく影響していると考えられます。​

4. 駿河屋での販売価格
中古ゲームの販売で知られる駿河屋では、『ワンチャイコネクション』の中古品が以下の価格で販売されています。​
中古ランクB: 550円（税込）で販売されています。 ​
駿河屋では、商品の状態をランク付けしており、ランクBは「多少の使用感があるが、動作には問題ない」状態を指します。

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●本や雑誌での評価

★『BEEP!メガドライブ 12月号増刊』
販売会社: ソフトバンク​
販売年: 1994年11月​
内容: セガサターンの新作ソフト特集として、『ワンチャイコネクション』のレビューを掲載。ゲームのストーリーやシステム、実写映像のクオリティ、操作性などについて詳しく解説し、総合的な評価を行った。​

★『ファミ通 1994年12月号』
販売会社: アスキー（現KADOKAWA）​
販売年: 1994年12月​
内容: 新作ゲームレビューコーナーにて、『ワンチャイコネクション』を取り上げた。ゲームの特徴やプレイ感、実写映像の評価、シナリオの出来栄えなど、多角的な視点から分析し、読者に向けて紹介した。​

★『セガサターンFAN 1995年1月号』
販売会社: 徳間書店​
販売年: 1995年1月​
内容: セガサターンの特集記事内で、『ワンチャイコネクション』の詳細なレビューを掲載。ゲームの魅力や独自性、実写映像の活用方法、登場人物のキャスティングについて深く掘り下げ、読者にその魅力を伝えた。

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