
【MD/MD互換機用】 エル・ヴィエント
【メーカー】:日本テレネット
【開発】:ウルフチーム
【発売日】:1991年9月20日
【販売価格】:8,500円
【メディア】:CD-ROM
【ゲームジャンル】:アクションゲーム
●概要
1991年9月20日、日本テレネットはメガCDという新たなハードの可能性を試すかのように、アクションゲーム『エル・ヴィエント』をリリースした。本作は、スピーディなゲーム展開と魔法アクションが融合した異色の作品であり、プレイヤーを瞬時にその世界へと引き込む魅力に満ちている。開発はウルフチーム、キャラクターデザインにはアニメ・ゲームファンにはおなじみの山根和俊氏を起用。世界観、操作性、サウンド、すべてにおいて尖った作りの本作は、当時としても強い個性を放っていた。
■ ストーリー:黄昏の都市に響く魔の予兆
舞台は1920年代のアメリカ。だがそこは歴史通りの世界ではなく、オカルトと科学が交錯するパラレルワールドだ。プレイヤーは、異国の血を引く少女「アネット・マイヤーズ」を操作する。彼女は古代の秘術と現代の知恵を受け継ぐ“魔術の継承者”として、復活を目論む邪神「ハスター」の封印を阻止すべく、闇の組織と戦いを繰り広げていく。
単なるアクションゲームではなく、神話と歴史が交錯するドラマティックな物語が展開されるのが本作の特徴だ。クトゥルフ神話にインスパイアされた設定や、禁断の召喚儀式といった描写が随所に盛り込まれており、物語性重視のプレイヤーにも刺さる作りになっている。
■ ゲームシステム:スピードと多彩なアクションが鍵
アネットの基本武器は、手にしたブーメランだ。投げれば遠距離攻撃となり、戻ってくる軌道も利用すれば敵を連続で攻撃することもできる。ブーメランには弾数制限がなく、リズムよく投げることでほぼ常に敵を牽制できるという、初心者にも優しい設計がなされている。
もうひとつの主力は魔法。ゲームが進行するにつれてアネットは新たな魔法を習得していき、最終的には全5種の魔法を使い分けられるようになる。火の魔法で一掃したり、雷で広範囲を攻撃したりと、使いどころを見極める戦術性もある。MPの概念こそ存在しないが、連続使用にはクールタイムが必要なため、連打は効かず頭脳プレイが求められる。
■ ステージ構成:9つの局面と強敵たち
全9ステージで構成される本作は、それぞれに個性的な地形と仕掛け、そしてボスキャラが待ち受けている。都市の街並みを高速で駆け抜ける序盤、地下水路や崩壊する橋をジャンプで乗り越える中盤、そして異世界に近づいていく後半と、ステージの雰囲気が巧みに変化することでプレイヤーを飽きさせない作りだ。
各ステージの終わりには、異形のボスがアネットの行く手を阻む。空中を縦横無尽に飛び回る機械獣、巨大な触手を持つ異形の神、魔術で分身する邪教徒など、倒すには単なる連打だけでなく、それぞれの特性に応じた立ち回りが必要になる。とりわけ後半のボス戦では魔法の使い方が攻略の鍵を握る。
■ グラフィックとアニメーション:キャラが“生きている”演出
キャラクターデザインを手掛けた山根和俊氏によるヒロイン・アネットのビジュアルは、当時としては非常に洗練されていた。ロングヘアーをなびかせて疾走する姿、跳躍時のなめらかなモーション、魔法発動時のきらびやかなエフェクトなど、細部まで作り込まれたドットアニメーションが彼女の存在感を際立たせている。
また、ステージ背景も単なる飾りではなく、崩壊する床や炎が噴き出す天井、波打つ海面など動的演出が多用されており、プレイヤーに緊張感を与え続ける設計だ。メガCDの性能を活かし、グラフィックだけでなく“演出”としての映像表現にも力を入れていた点は特筆に値する。
■ 音楽とサウンド:FM音源×PCMの融合美
本作のBGMは、FM音源によるメロディラインに加え、PCM音源によるドラム・効果音が合わさることで、よりアクション性を強調するサウンドデザインとなっている。疾走感あるステージ曲、緊迫感を煽るボス戦、そして物語を支える神秘的な旋律まで、場面に応じた多彩な楽曲が揃っている。
特に、ステージ序盤の曲は一度聞いたら耳から離れない中毒性を持ち、アクションへの没入感をさらに高めてくれる。ゲームプレイと音楽が一体となってプレイヤーのテンションを引き上げるあたりは、音楽に定評のあるウルフチームならではのクオリティだ。
■ 難易度とプレイ感:やりごたえのある中級者向け
操作自体は直感的で、ジャンプ、攻撃、魔法使用とシンプルながら、ステージ構造が複雑であり敵の攻撃も多彩なため、手応えのある難易度に仕上がっている。リトライ性は高く、短いロード時間もあってテンポが良い。アクションゲームが好きなプレイヤーにとっては、心地よい挑戦となるだろう。
特に後半ステージでは、一度のミスが命取りとなるシビアな構成もあり、慎重さと大胆さをバランス良く保つことが重要になる。単に突き進むだけではなく、マップの構造を理解し、魔法を駆使する柔軟な思考も必要とされるため、攻略のしがいがある作品と言える。
■ まとめ:メガCD初期を代表する意欲作
『エル・ヴィエント』は、その独特な世界観とスピーディなアクション、そしてヒロインの魅力が融合した傑作である。メガCDというハードの特性を活かし、映像・音・演出すべてにおいて当時としては革新的な挑戦がなされていた。知名度こそ高くはないが、いまだに根強いファンを持つのも頷ける。
もし、90年代アクションゲームの中で“スピード感と魔法の融合”というキーワードに惹かれるなら、本作は間違いなくその欲望に応えてくれる1本だ。メガCDを語る上で、『エル・ヴィエント』は決して外せない作品のひとつである。
●ゲームの魅力とは?
■ ヒロイン「アネット」の圧倒的な存在感
本作最大の個性は、何といっても主人公「アネット・マイヤーズ」のキャラクター性だ。1920年代のアメリカを舞台に、邪神の復活を阻止すべく戦う東洋と西洋の混血女性という設定は、当時のアクションゲームとしては異例中の異例。物語を彩るのはクトゥルフ神話を彷彿とさせるオカルト的な世界観と、その中で孤独に戦う彼女の凛とした姿だ。
アネットは単なる“可愛いヒロイン”ではない。鋭い眼差しと強靭な意思を持ち、華奢な体からは想像できないほどのスピードと攻撃力で敵を圧倒する。そのギャップがプレイヤーの心を掴んで離さない。
■ スピード重視の滑らかなアクション操作
『エル・ヴィエント』の操作感は、当時のアクションゲームの中でも群を抜く“スピードとキレの良さ”が特徴的だ。アネットの動きはとにかく俊敏で、ジャンプ、走行、攻撃すべてが軽やか。しかも反応もダイレクトで、プレイヤーの入力が即座に画面に反映される快感は、一度味わうとクセになる。
ジャンプ中に軌道を微調整したり、魔法で先制攻撃を仕掛けたりと、操作に幅がありながらも複雑すぎない絶妙なバランス感覚がある。上手く動かせたときの“自分がキャラと一体化したような快感”は、まさにアクションゲームの醍醐味だ。
■ 魔法×ブーメランの戦略的コンボ
アネットが使える武器は2種類。ひとつは手元に戻ってくるブーメラン、そしてもうひとつは強力な魔法だ。ブーメランは連射可能で、射程も長く、ステージ中のザコ敵を掃除するのに非常に役立つ。これだけでも十分に戦えるのだが、そこに魔法が加わることで戦略の幅が広がる。
ゲームが進むにつれて覚えていく魔法は、炎や雷など多様で、場面によって使い分けることで難所を突破できる。特にボス戦では、魔法の使い方が攻略のカギとなる。例えば、空中に浮遊するボスには雷を選ぶとダメージが通りやすいなど、プレイヤーに戦術的な思考を促す設計になっている。
■ 異色のクトゥルフ風味の世界観
アクションゲームにありがちな“さらわれた姫を助ける”という安直な展開ではなく、邪神の復活を阻止するというスリリングなテーマが本作の核にある。舞台は禁忌の魔術と近代文明が交錯する架空のアメリカ。神話的な要素が濃く、背景にはクトゥルフ神話を思わせる巨大な存在が蠢く。
この不穏で重厚な世界観にアネットという光のような存在が立ち向かう構図が、プレイヤーの感情を揺さぶる。ストーリーの随所に“狂気”と“希望”が混在しており、単なるアクションでは味わえないドラマ性があるのだ。
■ 山根和俊デザインのキャラ美学
キャラクターデザインを務めたのは、後に『ヴァリス』シリーズや多くのアニメ・ゲームで活躍する山根和俊氏。アネットの造形は、強さと美しさが見事に融合しており、プレイヤーからは「動いている姿そのものが魅力的」と高い評価を受けた。彼女の長い髪が揺れ、魔法発動時にきらびやかなエフェクトが舞う様子は、まさに90年代のドットアニメーション美学の極み。
さらに、敵キャラやステージ背景も精緻に描き込まれており、オカルト要素や工業的な背景、異形のボスなど、ビジュアル面の魅力も計り知れない。
■ 耳に残るFM+PCMサウンド
ゲームサウンドにも本作は強烈なインパクトを残している。FM音源による鋭くメロディアスな旋律に、PCMドラムの生々しいリズムが融合したBGMは、聴くだけで当時の熱狂が蘇る。
ステージごとに展開するサウンドトラックは、スピード感と緊張感を高める作りになっており、ボス戦では鼓動が早くなるような重低音が響く。音楽がプレイ感に直結しており、アクションと音が完全に一体となっているのは、ウルフチーム作品ならではの完成度といえる。
■ 他にない独自のアクション性
『エル・ヴィエント』を評価する際、最も強く推せるのは「他に代えの効かない個性」だ。アクションゲームとしては非常に速く、魔法と近接の二軸攻撃、異色の世界観とヒロインの強烈な存在感をここまで両立できた作品は、当時でも稀有だった。
また、一本道ではない立体的なステージ構造も特徴的で、縦の移動やアスレチック的な場面も多く、単なる“横スクロールゲーム”では収まらない自由度がある。これによりリプレイ性も高く、何度でもプレイしたくなる中毒性を秘めている。
■ カルト的支持と再評価の波
発売当初、『エル・ヴィエント』は必ずしも大ヒット作ではなかった。しかし、プレイヤーの間では「メガCDの中で最も操作が気持ちいいアクション」「ヒロインが可愛いだけじゃなく強くてかっこいい」といった声が多く、じわじわと人気を集めた。特にアクション性の高さと世界観への没入感は熱心なファン層を形成し、後にカルト的な評価を得るようになる。
21世紀に入ってからはレトロゲーム再評価の流れもあり、YouTubeやSNSなどで紹介される機会も増えた。アネットのビジュアルやゲーム音楽が再注目され、コアなファン層によって「隠れた名作」として語り継がれている。
■ 総括:アクションと美学が融合した時代の異端児
『エル・ヴィエント』は、単なるアクションゲームにとどまらず、ヒロインの強さ、美しさ、そしてプレイヤーに委ねられたスピードと魔法の選択という“自由な操作性”が高次元で融合した作品だ。今でこそ当たり前になった“女性主人公が主軸の本格アクション”というコンセプトを、1991年の時点で高い完成度で提示していたことは、もっと評価されてよいだろう。
メガCDの性能を最大限に引き出し、プレイヤーの五感を刺激する異端の傑作『エル・ヴィエント』。その名は、時代を越えて今なお、多くのレトロゲームファンの記憶に鮮烈に刻まれている。
●感想や評判
プレイヤーの反応と感想
『エル・ヴィエント』は、そのスピーディーで爽快感のあるアクション性が多くのプレイヤーから高く評価されています。主人公アネットの操作性や、多彩な攻撃手段であるブーメランと風の呪文を駆使した戦闘は、プレイヤーに新鮮な体験を提供しました。また、各ステージ間に挿入されるビジュアルシーンによって、物語の進行が視覚的に楽しめる点も好評を博しています。
一方で、ゲームの難易度の高さや、一部のステージデザインに対する指摘も見受けられます。特に、敵の配置や攻撃パターンが緻密に設計されており、プレイヤーの反射神経や戦略的思考が求められるため、カジュアルなゲーマーにとっては挑戦的な内容となっています。
世間の評価とメディアのレビュー
『エル・ヴィエント』は、国内外のメディアから多様な評価を受けています。フランスのゲーム誌「ジョイスティック」は93%の高評価を与え、イギリスの「Sega Pro」も89%と高い評価をしています。一方、ドイツの「スーパープレイ」は66%、同じくドイツの「ビデオゲーム」は68%と、評価は分かれています。アメリカの「Entertainment Weekly」はD-と低評価をつけ、歴史的背景とゲーム内容の不一致を指摘しています。総じて、ゲームのテンポやアクション性は高く評価される一方、難易度の高さや一部のデザイン面で賛否が分かれる結果となりました。
復刻版の登場と再評価
2024年11月には、コロンバスサークルから『エル・ヴィエント』の復刻版が発売されました。これにより、当時のプレイヤーだけでなく、新たな世代のゲーマーにも本作の魅力が再認識されています。復刻版は、オリジナルのゲーム性を忠実に再現しつつ、現代のハードウェアでも楽しめるように調整されています。また、復刻に際してのプロモーション活動やメディア露出も増加し、再評価の機運が高まっています。
●イベントやメディア展開など
ゲーム雑誌での広告展開
当時の主要なゲーム雑誌に広告を掲載し、ゲームの特徴や魅力をアピールしていた可能性があります。スクリーンショットやゲームの設定、キャラクター紹介などを通じて、読者の興味を引く内容が掲載されていたと考えられます。
体験版の配布
ゲームショップやイベント会場で体験版を配布し、実際にゲームをプレイしてもらうことで、購入意欲を高める手法も一般的でした。『エル・ヴィエント』も、こうした体験版の提供を行っていた可能性があります。
関連イベントの開催
新作ゲームの発売に合わせて、ゲームショップやイベントスペースで関連イベントが開催されることがありました。『エル・ヴィエント』に関しても、以下のようなイベントが行われていた可能性があります。
発売記念イベント
主要都市のゲームショップで発売記念イベントを開催し、来店者に特典を配布したり、デモプレイを実施したりすることで、直接的なプロモーションを行っていたと考えられます。
トーナメントやスコアアタック大会
ゲームの腕前を競うトーナメントやスコアアタック大会を開催し、優秀な成績を収めたプレイヤーに賞品を提供することで、コミュニティの活性化とゲームの話題性を高めていた可能性があります。
●中古市場での現状
Yahoo!オークションでの落札価格
Yahoo!オークションにおける過去180日間のデータによると、『エル・ヴィエント』の落札価格は以下の通りです:
平均落札価格:約21,094円
最高落札価格:42,000円
Yahoo!オークション
最低落札価格:1,800円
この価格差は、商品の状態や付属品の有無、出品時の需要と供給のバランスによるものと考えられます。
商品の状態は価格に大きく影響します。例えば、未開封品や美品は高値で取引される傾向があり、逆に傷や汚れが目立つもの、説明書やケースが欠品しているものは低価格で取引されることが多いです。
駿河屋での販売価格
駿河屋では、『エル・ヴィエント』の中古品が以下の価格で販売されています:
中古通常価格:26,500円
なお、商品の状態や付属品の有無によって価格は変動します。
ブックオフオンラインでの販売価格
ブックオフオンラインでは、以下の価格で販売されています:
中古価格:38,500円(税込)
在庫状況は変動するため、購入を検討される場合は事前の確認が推奨されます。
●本や雑誌での評価
★『ファミコン通信』1991年10月号
販売会社:アスキー出版(現・KADOKAWA)
発売年:1991年
価格:500円
内容:『エル・ヴィエント』の発売直後に掲載されたレビュー記事では、ゲームのスピード感やアクション性が高く評価されました。特に、主人公アネットの多彩な攻撃方法や、ステージ間のビジュアルシーンの美しさが取り上げられています。一方で、一部のレビュアーからは、操作性に若干の難しさがあるとの指摘もありました。
★『電撃メガドライブ』1991年11月号
販売会社:メディアワークス(現・KADOKAWA)
発売年:1991年
価格:550円
内容:特集記事として『エル・ヴィエント』の開発者インタビューが掲載され、ゲームの制作背景やキャラクターデザインのこだわりが詳しく紹介されました。また、ゲーム内の音楽やサウンドエフェクトについても高い評価が与えられ、FM音源とPCM音源を組み合わせた独特のサウンドがプレイヤーの没入感を高めていると述べられています。
★『Beep! メガドライブ』1991年10月号
販売会社:ソフトバンク
発売年:1991年
価格:480円
内容:『エル・ヴィエント』の攻略記事が掲載され、各ステージのボス攻略法や隠し要素について詳しく解説されています。特に、魔法の習得方法や効果的な使用タイミングについてのアドバイスが、プレイヤーから好評を得ました。また、ゲームの難易度についても言及され、アクションゲーム初心者にはやや難しいが、慣れれば爽快なプレイが楽しめると評価されています。
★『メガドライブFAN』1991年10月号
販売会社:徳間書店
発売年:1991年
価格:500円
内容:読者レビューコーナーにて、『エル・ヴィエント』が取り上げられ、多くの読者から高評価を受けました。特に、ゲームのスピード感やアネットのキャラクター性、そして独特の世界観が魅力的だとの声が多数寄せられています。一方で、一部の読者からは、敵の攻撃が激しく、難易度が高いとの意見も見られました。
★『ゲーム批評』1992年1月号
販売会社:マイクロデザイン出版局
発売年:1992年
価格:600円
内容:『エル・ヴィエント』の総合的なレビューが掲載され、ゲームの独創性やアクション性が評価される一方で、ストーリー展開や難易度設定については賛否が分かれるとの分析がなされています。特に、ゲームバランスに関しては、もう少し調整の余地があったのではないかとの指摘がありました。